Straight Travel

日々読む本についての感想です。
特に好きな村上春樹さん、柴田元幸さんの著書についてなど。

「うわさのベーコン」猫田道子著(太田出版)

2009-04-30 | 日本の作家
「うわさのベーコン」猫田道子著(太田出版)を読みました。
脈絡のないストーリー展開、数えきれないほどの誤字脱字、敬語のむちゃくちゃな用法の嵐。
私が3歳になった頃、兄は交通事故にあって亡くなった。二十歳になって、いとこに兄のかたみのフルートをあげた表題作ほか、未発表作品「西山さん」「正一新聞」「卯月の朝」を収録した著者の処女作品集です。
高橋源一郎さんが絶賛していたので読んでみました。

地の文、会話文、回想文、文章のルールを破った(というより頓着してない)私的なノートにつづられたものをのぞいているような気分。
著者の手書きのクセ字(私の想像です。)まで思い浮かぶような、独特の文体、文章です。「不思議田乙女」系。
本来出版時に直されるべき誤字脱字にこそ著者の個性が現れている!?その逆説が面白い。
私が一番いいと思ったのは「西山さん」。
これ、純文学の文体で書けば一家族のサーガ&西山さんの純愛。
しかし猫山さんが書くとそうならないくだけっぷり。
語り手はまじめなのに周りから見ると間が抜けている、その落差がなんともいえず面白いです。

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