Straight Travel

日々読む本についての感想です。
特に好きな村上春樹さん、柴田元幸さんの著書についてなど。

「ハルキ・ムラカミと言葉の音楽」ジェイ・ルービン著(畔柳和代訳)新潮社

2006-12-11 | 村上春樹
「ハルキ・ムラカミと言葉の音楽」ジェイ・ルービン著(畔柳和代訳)新潮社を読みました。
『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』などの英語翻訳者として名高いルービンさんによる村上春樹論です。
日本版は英語オリジナル版に加えて新たに「アフターダーク」「東京寄譚集」論が含まれています。
村上さんのジャズ喫茶経営時代から作家デビューしてからの生活の変化、作品の変遷、翻訳の仕事についてなど丁寧に追っていてとてもためになる一冊。
ルービンさんが冒頭で「私はムラカミのファンです」と公言しているとおり作品論にも村上さんへの愛(そして奥様の陽子さんへの賛辞)にあふれています。
読んでいて初めて知ったのが素人時代に猫の愛好家の雑誌に掲載されたことがあるという事実。その記事、読んでみたいなー。
レイモンド・カーヴァーの来日に向けて村上さんの自宅にカーヴァー用の特注ベッドまで用意していたのに亡くなられてしまったというくだりには悲しくなりました。
それから読売文学賞を受賞したときの大江健三郎さんとのやりとりが素敵でした。