Simplex's Memo

鉄道と本の話題を中心に、気の向くまま綴ります。

えちぜん鉄道の二つの話題。

2006-10-22 07:10:12 | 鉄道(地方・専用線など)
先週の土曜日、えちぜん鉄道に乗って三国港まで往復してきた。
そのえちぜん鉄道に先月末から今月にかけて少し動きがあったことを知る。

「福井市:えちぜん鉄道と新駅を2カ所設置へ 来年度の着工・完成目指す」(MSNインタラクティブ、9/28)
「えちぜん鉄道 2新駅の場所発表」(asahi.com、10/20)
「えち鉄・上期、利用者147万人 前年同期比7・9%増」(中日新聞福井版、10/20)

新駅の設置箇所は5月の記事で紹介したとおり三国芦原線福大前西福井駅と新田塚駅間。
駅数が二つに増えたのは、福大前西福井駅と新田塚駅の間の長い駅間距離への対応や密集している地域住民の利用が見込める可能性もさることながら、決めては一駅あたりの建設費が0.35億円であるのに対し、二駅だと約0.6億円という。
簡便な構造を採ったためコスト面でも差がつかなかったのが決め手になったのと、当初の位置では国道416号線を跨いで利用せざるを得ない人が多いため。

ちなみに、二箇所設置される駅のうち福大前西福井駅から835mの地点に新設される新駅の駅名は10年間契約で日華化学(株)が命名権を購入したので「日華化学前」とでもなるのだろう。
余談だが日華化学(株)のHPを見ると、繊維用界面活性剤や消毒薬、シャンプー・リンスの素材を製造している。
日常何気ない形でこの会社の製品に触れているかも知れない。

話を戻す。
もう一カ所、新田塚駅の南666mに設置される新駅の駅名は未定だが、こちらも年内には決まる。
周囲に福井大付属小・中や養護学校などがあることから、これらに関連した駅名になるのかなと考えたりもするけれど、既に「福大前西福井駅」の存在を考えると、ちょっと命名には工夫が必要かと思う。
いずれにしても駅間距離が縮むことで沿線の利用者にとって駅まで歩く手間は省ける。
えちぜん鉄道もこの二駅の新規開業で年間7~11万人の利用者増を見込んでいる。
需要のある所に駅を作り、新たな需要を掘り起こす。
鉄道会社として前向きな対応だと思う。

そして、えちぜん鉄道の壁であった利用者数も今年度の実績で300万人を突破する見通しであることが明らかになった。
えちぜん鉄道の前身となった京福電鉄による通年最後となった2000年度の実績は288万人。これにはえちぜん鉄道に継承されずに廃止となった永平寺線の実績は含まれない。
これと比較してようやく京福電鉄時代と同水準まで利用客が戻ってきたと思う。
転換時に利用客が減ったままジリ貧になった可能性が危惧されたことを考えると大健闘だし、ここまで戻ってきたんだという感慨が先にある。
しかし、これでも京福電鉄時代と同水準まで戻ってきただけで、まだまだ利用者数を増やすために様々な営業施策を講じる必要がある。
その延長線上に今回の新駅設置がある。

利用客の状況を見ると大変興味深い事実に突き当たる。
・通学定期利用者は前年同期比11.9%増の約53万人、通勤定期利用者が同3.9%増の約22万人。
・回数券利用者が同10.1%増の約17万人、観光や買い物などの非日常型利用者が5.1%増の約55万人。
主なターゲットとなっている学生さんの利用実績は着実に伸びているが、通勤定期利用者は横ばい。これが今度の新駅開業でどのように変化するだろうか。
観光や買い物だとフリーきっぷ利用者が多いと考えられるため人数が増加しても客単価に比例するかどうかは微妙な感じがする。
そう考えると、今後の目標は通勤定期利用者と非日常的な利用客の増加にあることは間違いない。
その目標達成のために作られる新駅が目論み通りに役割を果たすかどうか気になるところだ。

路線別では、勝山永平寺線が同5.8%増の約61万人、三国芦原線が同9.3%増の87万人。
両線共に利用者数は増えているが、近距離での利用は好調なのに対し終点まで乗り通す人の伸びは低調という。
確かに先週三国芦原線で往復してきたときもその傾向はあり、福井市内を出る所までは立ち客も多く同乗するアテンダントも行き来するのに一苦労、という感じだったが、終点に近づくにつれて大分余裕が出てくるようになった。
帰りはその逆。三国港を出た時点でのんびりした車内が、福井市内に入るとクラブ活動後の学生さん等で一杯になる。
言われてみれば頷ける話ではある。

先の福井鉄道乗り入れ構想と合わせてどういった形のホームになるかどうかが個人的には気になる所だが、計画は11月に地元に提示され、来年度の完成を目指す。
地元で計画が提示される時点でこの構想についても言及があるのだろうか。

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