Simplex's Memo

鉄道と本の話題を中心に、気の向くまま綴ります。

愛知環状鉄道の決算出る。

2005-06-30 07:43:01 | 鉄道(地方・専用線など)
最近書いた「鉄道」の記事を見ると、第三セクター鉄道関係のものが多い。
元々第三セクター鉄道を含む地方鉄道が最も好みだからと言ってしまえばそれまでだが、やはり関心がある以上取り上げない訳にはいかない。
それに決算が出そろいつつあるという事で、話題には事欠かない。

ただ、今回は取り上げるかどうか些か迷った。
というのも愛知環状鉄道はご存じのように「愛・地球博」の鉄道系アクセスとして、地味に脚光を浴びている路線。
しかも、赤字が続く大部分の第三セクターとは違って非常に優秀な業績を挙げ続けている。
その意味では路線の存廃が云々されるどころか、さらに発展が見込める路線でもある。

鉄道ファン的な話題を挙げると万博後に開業時から走ってきた旧形車が引退する事が既にアナウンスされていることぐらいだろうか。

「旧形車」とは言うものの、車齢自体は20年未満。
このような車を「旧形車」というにはかなり抵抗感がある。
名鉄には20年超えでも現役、という電車がゴロゴロしているが、やはり足回りが流用品だった事が活躍の場を失わせたのではないかと思う。

いつもながら前置きが長くなって申し訳ない。
業績優秀にして車両のバラエティに乏しい(これは鉄道ファンからの視点であって、愛知環状鉄道を利用する人から見ればどうということはない事だが)ことから鉄道ファンの話題に上る事が少ない愛知環状鉄道の2004年度の決算はどうだったのだろうか。

「愛知環状鉄道:営業収益、最高に 04年度決算/愛知」(毎日新聞、6/29)

記事の要旨は次のとおり。
・2004年度の輸送人員は「愛・地球博」の影響で対前年度比113.5%増の988万2651人。
・営業収益は過去最高となる27億1425万円。
・営業損益は、減価償却費の増加などにより営業損益は1億6914万円の赤字。経常損失も7902万円と4年連続の経常赤字となった。

最初、意外な結果だと思ったが、よく考えてみれば新車両の導入、高蔵寺駅での中央線との直通工事、岡崎駅の専用線化(かつては線路の一部をJRと共有していたため、ダイヤ上のネックになっていた)と輸送力増強に向けた設備投資を延々続けてきたわけで、その事を含めてよく考えてみれば納得の行く数字になっている。

しかも、2004年度でこれらの輸送力増強事業は完了し、今後は三河豊田-新豊田間の複線化事業を3カ年計画で始めるというから、設備投資は止まることを知らない。
今年度の見通しは、「愛・地球博」の観客輸送を18億円と見込んで単年度黒字を目指すという。

決算の話はこれぐらいにして、最後は車両の話題を。
今「愛・地球博」の期間中、愛知環状鉄道の電車にはヘッドマークが掲げられている。

更に、JR東海313系3000番台と同型車となる2000系。


この2000系には同社として初めてトイレを装備するが、そのトイレ部分には「モリゾー・キッコロ」のステッカーが貼られている。

このように地味ではあるが、「愛・地球博」の輸送アクセスを担っている事を地味にPRしている。

それにしても開業から20年未満で車両が総入れ替えになるとは予想もしなかったというのが正直なところである。
こんなに羽振りの良い第三セクター鉄道はここだけではないだろうか。

しかも、廃車になる電車は同じ第三セクター鉄道である、えちぜん鉄道へ無償譲渡されるのだから愛知環状鉄道の気前の良さには驚く。

「無償」といっても、えちぜん鉄道で使用するには二両を一両にまとめて両運転台化したり、1500Vを600Vに降圧したりと大規模な改造が必要になる。
その費用はえちぜん鉄道が当然負担するが、それでも車両調達費が安く上がる事でメリットはあるし、愛知環状鉄道にしてみれば、車両の解体費用等を考えると無償でも譲渡した方が得という計算も働いているのだが、とりあえず転職先は既に決まっているのでまずは良しとしたい。

追記:
愛知環状鉄道のHPを見ていたら、こんなが売られていた。
その名も「愛環運輸運転業務支援システム」。
既に「愛環1号」~「6号」まで出ており、全て揃えるとダイヤから車両運用まで運転に関する全ての業務をパソコン上で再現可能というから、驚くやら呆れるやら・・・。
というか、こんなソフトを愛知環状鉄道が販売している事を知っている人はあまりいないような気がする。



CGI


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