Simplex's Memo

鉄道と本の話題を中心に、気の向くまま綴ります。

神岡鉄道、ついに廃止へ。

2005-06-30 21:46:03 | 鉄道(地方・専用線など)
去年の今ごろは岐阜の路面電車の存廃で右往左往していた。
そして、今年の同じ時期に、同じ岐阜県内の鉄道の廃止をまたも取り上げなければならないのが、実に残念だ。

「神岡鉄道、来年12月廃線へ 地元の関係者から落胆の声」(中日新聞、6/30)
「神岡鉄道、来年末で廃線 取締役会方針『乗客減、赤字が拡大』」(岐阜新聞、6/30)

岐阜県飛騨市を走る神岡鉄道。
主要な収入源であった貨物輸送が昨年10月で廃止されたため、昨年11月に廃止が検討されるようになった。

そして、神岡鉄道の経営を継承し、観光鉄道化しようと、コネックス社東京の旅行代理店「トラベル・プランニングオフィス(TPO)」大阪の「はとバス」が名乗りを上げた事も記憶に新しい。

その後、継承を巡る動きが全く報道されなかったが、結局「廃止」という結末を迎えることになった。

両者の記事を要約すると次のようになる。
・平成18年12月末までに神岡鉄道を廃止する。ただし、飛騨市を中心に、存続の可能性を検討することは妨げない。廃止の正式方針は8月の臨時株主総会で決定する。
・廃止理由として「乗客の減少に歯止めがかからず、赤字幅は今後さらに拡大傾向にある。JR西日本の脱線事故以来、安全対策にも十分な投資が必要となり、鉄道事業から撤退せざるを得ないと判断した」とのこと。
・コネックス社とTPOへの経営移譲については、「可能性がなかった。30日の市議会で特別委員会を開いて報告する」とのこと。
この点について、両社が事業から撤退した場合の線路撤去費用を誰が負担するかが懸念されており、両社と飛騨市の交渉は立ち消え状態になっていた事が触れられている。
・神岡鉄道が関連事業として営んでいる自動車整備、旅行代理業務及び全社員32人については、神岡鉱業が引き受ける。

ここで注目したいのは廃止理由の中に「更なる安全対策への投資が必要になった」としている点。
神岡鉄道の第三セクター鉄道への転換経緯を見ると、元々神岡鉱山から産出される濃硫酸の鉄道貨物輸送を前提に存続に向けた議論が進められてきた。

しかし、神岡鉄道へ転換してからも直通列車が廃止されたことや運賃が国鉄時代から大幅に上昇した事から乗客の減少に歯止めがかからなかった。
それでも今まで存続できたのは、貨物輸送という前提があったからであり、その前提がなくなった今、安全対策を充実させても乗客の増加は見込めない、従って、鉄道の使命は終わったとして廃止、という経営判断が働いたのだろう。
図らずも以前触れていた事が的中した事になる。的中しても別に嬉しくもなんともないが。

ところで、飛騨市との交渉が立ち消えになった形の二社だが、TPOは「今年一月以降、飛騨市から連絡がない。今でも引き受けるつもりでいるのに、一方的に止めてしまおうというのは納得いかない。廃止の結論を急がず、存続の道を探ってほしい」、コネックス社は「(廃線決定は)初めて聞いた。現地の事情が分からないので、何も答えられない」とのこと。
8月の臨時株主総会までに両社はどう対応するのだろうか。

それにしても、「一月以降連絡がない」というのは、結局のところ飛騨市に相手にされていなかったというのではないかという気がするのは自分だけだろうか。

最後に個人的な願望(というより妄想に近いが)を言うと、神岡鉄道にDMVを導入したらどうかと思ったことがある。
神岡鉄道線内は線路を走り、終点奥飛騨温泉口からは道路を走って奥飛騨温泉郷へのアクセスとして活用したらどうなるかを考えてみた。
実際に神岡鉄道と路線バスを乗り継いで奥飛騨温泉郷へ行った時の記憶を重ねてみると、このルートを利用している人はほとんどいなかった。
そのような路線にDMVを導入したところで、利用者が少ない状況に変化はないというのが個人としての結論だった。

DMVの車体はマイクロバスなので定員は30人程度。
現在の神岡鉄道の利用状況ならDMVでも十分賄える輸送量ではないかとは思う。
しかし、乗り換えなしで奥飛騨温泉郷へ行けるというメリットがあるとしても、実際に利用されなければ意味はない。

いずれにしても、神岡鉄道は廃止に向けて動き出した。
高山本線の一部区間が不通になっているため、名古屋から行こうとすれば、北陸本線を利用して行くしかない。
アルペンルートも絡めて行ってみるのも一つの手ではないかと考えている。



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