隻手の声(佐藤節夫)The voice of one hand clapping.

世の中の片手の声をココロで聴こう。

「たいせつなこと」The important book

2007-01-01 08:18:39 | Weblog
「たいせつなこと」The important book 平成丁亥年 元旦

明けまして おめでとう ございます。     

今年も1年よろしくお願い申し上げます。
今年も3日より 特訓を始めます。

昨年の10大ニュースの1、2番に挙げられているのが、学校現場でのいじめ自殺でした。教育基本法が改正され、学校現場にどのように下命されるか分かりませんが、既に現場では文部省より「心のノート」という小冊子が配られ、大枠の道徳が、教えられている。4,5年も前からです。それが効を奏していれば、このような事態にならなかったと思えます。親御さんに聞くと使われてないとのこと。どこをつついても役所の怠慢でしたね。もっとも、愛国心と同様、上からこうだよとあてがってもうまくはならない難しさはあると思います。
先日、中日新聞で「自殺」に対する予防なる本を数冊紹介されていた。
その中で教育評論家の斎藤次郎さんが、「たいせつなことThe important book」マーガレット・ワイズ・ブラウン作レナード・ワイズガード絵、内田也哉子訳を薦めて見えた。
私は早速英語の原本と絵本を取り寄せて、読んでみた。 書評のように、「あーそうか」となんとも良い気持がした。
そこで、特訓の前に中学生ではあるが、2ページづつ、英語で読み聞かせたところ、最後が知りたくなって、次はどんな話かと興味を持ってくれた。
最後は「あなたにとって大切なことは?」ときて、自分が大切なんだということに気付いてくれたことと思います。

毎年 中学生に、読んでもらうココロ温まる文があります。小6年生でもよいのですが、杉みき子さんの「夜のくだもの屋」という題の文です。
「少女の帰りは、毎日おそかった。・・・・」とはじまる。少女は合唱部の練習で、いつも真っ暗な夜道をこころぼそさをまぎらすために、歌いながら家に帰っていた。
ある日から、くだもの屋のあかりに守られながら、暗い夜道を帰るようになった。
そして、コンクールも無事に終わって 夕方帰宅するようになって、少女は、くだもの屋が夜遅くまで開いてるかどうかはもうどうでもよいことになっていた。
 それからまもなくの日曜日。同じ合唱部の友達が入院したので、見舞いに例のくだもの屋に寄った。すると何とコンクールの課題曲のハミングが店の奥から聞こえてきた。
 店のおばさんは「いえね、毎晩毎晩、いい声で歌をうたっておんなさるでしょう。お顔もなにも知らないんだけど、でも、うちのおやじさんがね、若い娘さんがこんな暗い夜道を帰るのはさぞ心ぼそいだろう、せめてうちの店のあかりだけでもつけといてあげれば、って言いましてね。それで、毎晩、歌の声がとおりすぎてしまうと、ああもう安心だと思って、まあ、それを合図みたいにして店をしめてたんですよ。毎日のことだもんで、わたしまでその歌おぼえちゃって、ほっほ。でも、このごろは、いつまでたっても歌が聞こえないもんで、どうしなすったかと思ってたんですよ。」と。少女は、声もなかった。
 この店のあかりがあんなにあたたかく見え、友達にはいちばんの見舞いになるみやげ話ができたと思った。     こういう話ですが、本文はもっとすばらしい文です。「商店のある風景」にあります。
杉みき子さんは今大学生より下のお子様なら誰でも知ってる「わらぐつの中の神様」の作者ですね。何でもない気配りに光をあてた良い文を書いておられる。
 子供だけでなく、大人も読んでもらえればココロが洗われる気がします。
お読み下され、感謝致します。