オーストラリア(5)逆さまUpside down 平成己丑二十一年長月二十七日
ご存知のように、オーストラリアは南半球にある。駆け足のような旅行で南半球を感じるまでにはいかなかった。サザンクロスSouthern Cross(南十字星)でさえ、夕食会では見ることが許されなかった。というより再会の感激でゆとりを無くしていたのだろう。
スカイバスの起点たる駅がサザンクロス・ステーションだと知って、帰路に着いたくらいの慌しさであった。ホテルで湯船の排水が右回り(a clockwise)かどうかも見なかった。でも、オーストラリアでは「上が南、逆さ」の地図があるのだろうと探したら、“お土産や”にあった。”Upside down Map”で、上の写真である。地球の北が上と誰が決めたのだろう? 「地球には上も下もない」
「クリスマスは夏にやってくる」というように、“北半球の常識”が逆転する。
実際、今オーストラリアは初春である。自分たちの先入観を取っ払う必要がある。
「逆さの地図」で日本列島を見直した 竹村公太郎氏は「日本文明の謎を解く」で、この逆さの日本列島は、見慣れている自分たちの日本を何か「妙な列島」に感じさせる。なんと「うっとうしい列島だ!」となり、極寒のロシアのハバロフスク地方から亜熱帯の中国の福建省まで日本の列島群が大陸を覆っているとなり、「日本列島とはユーラシア大陸を封鎖している列島群なのだ」となる。そして、大陸の帝国が日本を襲う最前線基地として朝鮮半島があったが、その朝鮮半島の人たちは日本へは一度も攻めて来なかった。
朝鮮半島の安定が日本の安全だと見ている。
話が日本へ飛びましたが、「逆さま」ということで面白い話があります。
ホタルのとき読んだ「動物の言い分 人間の言い分」で、日高敏隆氏は、「我々の目の網膜に映った像は上下さかさまになっている。これを我々がそのまま感じとっているとすれば、われわれには世界がすべて上下倒立して見えるはずである。しかし、目の後ろには脳がある。我々が世界を見るのは、目ではなく、脳によってである。そこで、上下が倒立して見えるレンズをはめた眼鏡をかけてみた研究者がいる。この眼鏡をかけると、網膜には正立した像が映ることになる。しかし、その研究者に見えた世界は、完全に上下がさかさまになっていた。その人はこの異常な世界にじっと耐えて、一週間ほどその眼鏡をかけつづけていた。そしてある日、世界は突然に正立した。脳が情報処理のやり方を変えたのである。彼は倒立眼鏡をかけたまま、正立した世界を見るようになった。
そのおよそ一週間後、彼は倒立眼鏡をはずした。彼の網膜に映る像は上下倒立したものに戻った。すると何ということか、見える世界は倒立してしまったのである。彼の見る世界がふたたび、正立した「正常な」ものになるにはまた一週間ほどかかった。」と、不思議な実験を紹介している。
この脳の働きには驚かされる。何が正常か?を一週間はかかるけれど変更するとは不思議である。人間には慣れというか、適応能力が発達するとは考えやすいが、ここでの変更は分からない。
今は、飛行機の座席の前に、液晶画面があり、ゲーム、映画と楽しむことができるが、現在のフライト状況を知らせてもくれる。香港からメルボルンと、メルボルンから香港の地図は「上が北」の表示であった。「上が南」だと混乱するのか、キャセイ航空だからかは分からない。でも、チャプリンと違って、逆さまになって飛行しているのを分からずに、不時着しなかったのは、有り難かった。
お読み下され、感謝致します。
ご存知のように、オーストラリアは南半球にある。駆け足のような旅行で南半球を感じるまでにはいかなかった。サザンクロスSouthern Cross(南十字星)でさえ、夕食会では見ることが許されなかった。というより再会の感激でゆとりを無くしていたのだろう。
スカイバスの起点たる駅がサザンクロス・ステーションだと知って、帰路に着いたくらいの慌しさであった。ホテルで湯船の排水が右回り(a clockwise)かどうかも見なかった。でも、オーストラリアでは「上が南、逆さ」の地図があるのだろうと探したら、“お土産や”にあった。”Upside down Map”で、上の写真である。地球の北が上と誰が決めたのだろう? 「地球には上も下もない」
「クリスマスは夏にやってくる」というように、“北半球の常識”が逆転する。
実際、今オーストラリアは初春である。自分たちの先入観を取っ払う必要がある。
「逆さの地図」で日本列島を見直した 竹村公太郎氏は「日本文明の謎を解く」で、この逆さの日本列島は、見慣れている自分たちの日本を何か「妙な列島」に感じさせる。なんと「うっとうしい列島だ!」となり、極寒のロシアのハバロフスク地方から亜熱帯の中国の福建省まで日本の列島群が大陸を覆っているとなり、「日本列島とはユーラシア大陸を封鎖している列島群なのだ」となる。そして、大陸の帝国が日本を襲う最前線基地として朝鮮半島があったが、その朝鮮半島の人たちは日本へは一度も攻めて来なかった。
朝鮮半島の安定が日本の安全だと見ている。
話が日本へ飛びましたが、「逆さま」ということで面白い話があります。
ホタルのとき読んだ「動物の言い分 人間の言い分」で、日高敏隆氏は、「我々の目の網膜に映った像は上下さかさまになっている。これを我々がそのまま感じとっているとすれば、われわれには世界がすべて上下倒立して見えるはずである。しかし、目の後ろには脳がある。我々が世界を見るのは、目ではなく、脳によってである。そこで、上下が倒立して見えるレンズをはめた眼鏡をかけてみた研究者がいる。この眼鏡をかけると、網膜には正立した像が映ることになる。しかし、その研究者に見えた世界は、完全に上下がさかさまになっていた。その人はこの異常な世界にじっと耐えて、一週間ほどその眼鏡をかけつづけていた。そしてある日、世界は突然に正立した。脳が情報処理のやり方を変えたのである。彼は倒立眼鏡をかけたまま、正立した世界を見るようになった。
そのおよそ一週間後、彼は倒立眼鏡をはずした。彼の網膜に映る像は上下倒立したものに戻った。すると何ということか、見える世界は倒立してしまったのである。彼の見る世界がふたたび、正立した「正常な」ものになるにはまた一週間ほどかかった。」と、不思議な実験を紹介している。
この脳の働きには驚かされる。何が正常か?を一週間はかかるけれど変更するとは不思議である。人間には慣れというか、適応能力が発達するとは考えやすいが、ここでの変更は分からない。
今は、飛行機の座席の前に、液晶画面があり、ゲーム、映画と楽しむことができるが、現在のフライト状況を知らせてもくれる。香港からメルボルンと、メルボルンから香港の地図は「上が北」の表示であった。「上が南」だと混乱するのか、キャセイ航空だからかは分からない。でも、チャプリンと違って、逆さまになって飛行しているのを分からずに、不時着しなかったのは、有り難かった。
お読み下され、感謝致します。