鼎談Three-cornered talk 平成乙未廿七年長月廿九日
今年も恒例となった「こころの好縁会」鼎談で「世相」をどう見てるのか聞きにいって来た。全席指定の504名であった。
共催は中日新聞社と大興寺さんで、今回も、前聖学院大学学長、東大名誉教授の姜(かん)尚(さん)中(じゅん)先生・芥川賞作家、福聚(じゅ)寺住職の玄(げん)侑(ゆう)宗久先生・中日新聞社社長の小出宣(のぶ)昭(あき)氏であった。
姜先生は「悪について」
最近同名の本を出されているらしく、今の世の中は悪というのがぴったりくるという。
どう定義されているのだろう。色々悪役の名を挙げて見えたが、分からなかった。
ところが、先生も学生の時読んだ石母田正氏の「中世的世界の形成」という本を取り上げ、古代から中世の封建社会の成立における悪党の役割はしいたげられた人々を救うという難しい話となりました。今日の問題ではやはり「イスラム国・IS」で、彼らはインターネットで殺人の儀式を行っている。オリンピックのエムブレムの問題はだれも責任を取らないという組織としての悪がある。もう行きいついたと考える金融資本主義が悪ではないのか。
「自分だけしか信じられない」というような社会に日本はなってきている。どこまで寛容 tolerantでおれるかでしょう。
玄侑先生は「律儀な私たち」として安倍政権への懸念を示し、鼎談では「唯一の被爆国として永世中立国をめざしては」と提案された。これにはびっくりしましたね。
どんどん安倍政権は、同盟関係を強固にしようと今回の安保法案は憲法改正を議論せずに通過してしまった。裏にオバマ大統領への年次報告とうりにして、『イスラム国叩き』をスムーズにしてあげよう。そしてそれ以外の紛争については、日本の地球裏まで行けるように解釈を、一旦緩急あれば、出来るようにしたばかりの状況です。
旧社会党の党是は確か非武装中立だったが、40年前の議論を思い出しますよ。丸腰ではだめなどと言ってましたね。こういう提案が出されるほど今日本は『国の立ち位置がぐらついている』証拠なんですね。
小出社長は『戦後70年平和であった実績にもっと自信を持つべきだ』と言われた。
去年は「IS」過激派に対して「中立」が良いと締めくくったが、結果は、日本ジャーナリスト2名殺害されて、規模が拡大し、おびただしい難民がヨーロッパ各地へ逃げていく。
悲惨な状況である。今年47万人が欧州に渡ったという。
それなりの鼎談でした。
お読み下され、感謝致します。