今日の画像はご覧になったことがある方も多いかも知れません。釣竿を片手にバランスを取りながら丸太橋を渡るゲーリー・クーパーを撮った、ロバート・キャパの一枚です。ここで使った本は、お嬢さんが出した「GARY COOPER OFF CAMERA」というタイトルの本で、この写真についてGary Cooper crossing stream, Sun Valley 1940となっています。
最近読み直した本、蓮實重彦・山田宏一両氏の対談で「傷だらけの映画史」(中公文庫)の中に、ヒッチコックが「海外特派員」の主人公にゲーリー・クーパーの出演を打診していたが、サスペンスは二流扱いだったので断られたという話が出て来ます。
公開後、作品の出来がすばらしいのでクーパーは断った事を後悔したそうです。奇しくも上の写真と同じ1940年の作品ですが、見てみたかったですねクーパーの「海外特派員」。
「北北西に進路を取れ」も当初クーパーを考えていたが体調を崩していてケーリー・グラントに決まったという話も出て来ますので、クーパーが一度でも出演していたら、ヒッチコックの傾向から考えて何本かの作品が残されたんじゃないかと想像すると楽しくなってきます。
またヒッチコックは自作のイメージにぴったりのグレース・ケリーに御執心で、あと数本出演を懇願していたという有名な話もあったので、クーパーとの再共演というのもあり得たかも知れません。
時として大根役者のように言われるクーパーを、共演者の一人イングリッド・バーグマンはこう言っています。
You never noticed that he was working.
He spoke quietly, never tried to do an
interpretation like Alec Guinness. Instead
he did little things with his face and his
hands, little things you didn't even know
were there until you saw the rushes and
realised how tremendously effective he was...