久しぶりに歩く通りを行くと、向かいから知り合いによく似た人が近づいて来ます。
ちょっと日焼けしているし雰囲気が違うので、似た人かなと思っていると、近づくにつれしだいに相好が崩れたのでご本人だと分かりました。
日を改めて待ち合わせると、その日はシャツの話だけでも3時間以上。
ジャケットおよびスーツの上着は、仕立て技術の歴史の中で着やすさ動き易さが研究され尽くしてきました。
パターンやアイロンワークの複合技で、着る人に合わせてかなりのレベルが達成されていると思います。
「フレデリック・ショルテによるウィンザー公の型紙」
ところが消耗品だからとシャツのグレードを落としてしまうと、せっかくの上着の着心地をたいてい損なってしまいます。
シャツの方が体に近く、それ自体が先に人の動きを制限するようでは、上に着る上着がどんなに優れた作りでもその良さの半分も味わえないでしょう。
そういう意味でも、シャツはとても大事だと思います。
女性でもボレッリやバルバ、マトッツォなんかを普段着ていた人が、ある時シャツがメインというその頃出て来たブランドの製品を着たところ、着づらさにその日一日ですぐ処分したと聞きました。
20年くらい前ナポリで歴史ある仕立屋のオーナーに何度か会って、こちらの顔を覚えたと思う頃、「この仕事で失敗談はありますか?」と尋ねてみました。
「一度、シャツを上着みたいにピッタリに作ってしまったことがあります」
とテレながら教えてくれたのが大いにヒントになりました。
そこの上着は、今時のと違ってもちろんピタピタだったりはしません。
また、そこの既製シャツは同じネックサイズならイタリアで最もゆったりしているのではというくらい身幅のゆったりした作りで、価格もボレッリやフライの2~3割増しでした。
ともあれ、コンパクトに作っても可動域を確保できるジャケットと違って、毎回洗濯することが前提のシャツは人の動きを妨げないゆとりが必要です。
何年か前から雑誌で見る、「上着の下で生地が溜まらないシャツがいい」という説を信じた方もいらっしゃるかもしれません。
時間が経って、最近若い方の中にもそういうサイズに疑問を持つ方が出てきました。
体が拒否したのか、昔の人の写真から学んだのか。
こういう事は人に言われてもなかなかピンと来ないもので、何かをきっかけに自ら気づかないと切り替えるのが難しいです。
現在買えない製品では伝わりにくいと思いますので、例えばFrayのシャツを複数お持ちの方だったらお分かりだと思いますが、非常に緻密でキレイなレベルの高い仕事が維持されています。
縫う人、製造責任者、検品する人、更にオーナーまで、出来上がりのレベルのイメージが共有されていないと、なかなかそのレベルは保てないように思います。
よほどしっかりした人がいるのでしょう。
着心地の柔らかさやステッチの緻密さでは、ナポリのメーカーにも同等かそれ以上の時期がありましたが、ボタンホールのメスだけ入っていてかがり忘れていたり、不完全な品がスルーして出回る場合があるので検品はゆるそうです。
(個人的には基本的なところが良く出来ていたら、後から手を加えられる程度の問題は楽しめます)
もしそんなレベルの品にも問題があるとしたら、生地やデザインや芯の選択、細身のパターンが選択されていたりと、作る側よりは発注の問題かもしれません。
あとは体つきとの相性もありますから、もちろん見た目のキレイさ完璧さがそのまま着心地を保証するわけではありませんので注意が必要です。
先入れ先出ししなかったので、25年くらい経ってしまいました。(わかり易くキレイという意味で名前を挙げましたが、一番良いという意味ではありません)
ちょっと日焼けしているし雰囲気が違うので、似た人かなと思っていると、近づくにつれしだいに相好が崩れたのでご本人だと分かりました。
日を改めて待ち合わせると、その日はシャツの話だけでも3時間以上。
ジャケットおよびスーツの上着は、仕立て技術の歴史の中で着やすさ動き易さが研究され尽くしてきました。
パターンやアイロンワークの複合技で、着る人に合わせてかなりのレベルが達成されていると思います。
「フレデリック・ショルテによるウィンザー公の型紙」
ところが消耗品だからとシャツのグレードを落としてしまうと、せっかくの上着の着心地をたいてい損なってしまいます。
シャツの方が体に近く、それ自体が先に人の動きを制限するようでは、上に着る上着がどんなに優れた作りでもその良さの半分も味わえないでしょう。
そういう意味でも、シャツはとても大事だと思います。
女性でもボレッリやバルバ、マトッツォなんかを普段着ていた人が、ある時シャツがメインというその頃出て来たブランドの製品を着たところ、着づらさにその日一日ですぐ処分したと聞きました。
20年くらい前ナポリで歴史ある仕立屋のオーナーに何度か会って、こちらの顔を覚えたと思う頃、「この仕事で失敗談はありますか?」と尋ねてみました。
「一度、シャツを上着みたいにピッタリに作ってしまったことがあります」
とテレながら教えてくれたのが大いにヒントになりました。
そこの上着は、今時のと違ってもちろんピタピタだったりはしません。
また、そこの既製シャツは同じネックサイズならイタリアで最もゆったりしているのではというくらい身幅のゆったりした作りで、価格もボレッリやフライの2~3割増しでした。
ともあれ、コンパクトに作っても可動域を確保できるジャケットと違って、毎回洗濯することが前提のシャツは人の動きを妨げないゆとりが必要です。
何年か前から雑誌で見る、「上着の下で生地が溜まらないシャツがいい」という説を信じた方もいらっしゃるかもしれません。
時間が経って、最近若い方の中にもそういうサイズに疑問を持つ方が出てきました。
体が拒否したのか、昔の人の写真から学んだのか。
こういう事は人に言われてもなかなかピンと来ないもので、何かをきっかけに自ら気づかないと切り替えるのが難しいです。
現在買えない製品では伝わりにくいと思いますので、例えばFrayのシャツを複数お持ちの方だったらお分かりだと思いますが、非常に緻密でキレイなレベルの高い仕事が維持されています。
縫う人、製造責任者、検品する人、更にオーナーまで、出来上がりのレベルのイメージが共有されていないと、なかなかそのレベルは保てないように思います。
よほどしっかりした人がいるのでしょう。
着心地の柔らかさやステッチの緻密さでは、ナポリのメーカーにも同等かそれ以上の時期がありましたが、ボタンホールのメスだけ入っていてかがり忘れていたり、不完全な品がスルーして出回る場合があるので検品はゆるそうです。
(個人的には基本的なところが良く出来ていたら、後から手を加えられる程度の問題は楽しめます)
もしそんなレベルの品にも問題があるとしたら、生地やデザインや芯の選択、細身のパターンが選択されていたりと、作る側よりは発注の問題かもしれません。
あとは体つきとの相性もありますから、もちろん見た目のキレイさ完璧さがそのまま着心地を保証するわけではありませんので注意が必要です。
先入れ先出ししなかったので、25年くらい経ってしまいました。(わかり易くキレイという意味で名前を挙げましたが、一番良いという意味ではありません)
その方は一度寄ってくれた方で、アパレル業界の人だそうです。
もちろんどなたでも、例えば普通サイズなのにスリムフィットのシャツをたくさん買ってしまう前に気づけば、せっかくの製品が後々処分されるのを防げますし、何より適切なゆとりがあった方が日々快適だと思います。
(同様に、ウエスト70cmならスリムフィットがちょうどいいと思います)
不自然なのは淘汰されていくと思いますから、ゆっくりご自分に合う良いものを集めれば大丈夫です!
ワインやチーズみたいに、熟成したシャツってのは着心地も変わるんでしょうか。あのフライのシャツの素材は、手元にあるヒルディッチ&キーの白無地より柔らかそうに見えます。いつかイタリアのシャツにも袖を通してみようと思います。