【米国市況】米国債反発、FOMC後の売り一巡-日銀維持で円全面安
Rita Nazareth
2023年9月23日 5:55 JST ブルームバーグ
株は続落、週間で3月以来大幅安-アップルなど大型ハイテクは上昇
ドル・円は週間ベースで3週連続高、WTI原油は反発し90ドル台
22日の米金融市場では米国債相場が反発。連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利をより高く、より長く維持する姿勢が確認されたことを受けて神経質になっていた市場では、週末を控えたポジション調整が行われた。
国債 直近値 前営業日比(bp) 変化率
米30年債利回り 4.53% -4.8 -1.04%
米10年債利回り 4.43% -6.3 -1.39%
米2年債利回り 5.11% -3.8 -0.75%
米東部時間 16時54分
10年債利回りはアジア時間に2007年以来となる4.5%台に乗せ、その後は下げた。
ミラー・タバクのチーフ市場ストラテジスト、マット・メイリー氏は「一息ついてもおかしくない状態だった」と話す。米国債利回りは依然、数年ぶり高水準にあり、「この先の回復が順調に進むのは難しいだろう」と述べた。
日中は強い材料が見当たらなかったが、UAWがGMとステランティスの部品工場に対するストを拡大するとの発表で、先物がやや支えられる場面もあった。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)の金利ストラテジストらは、10年債利回りが4.75%に上昇する余地があるとみている。この水準に達した後はリスクセンチメントの軟化と金融環境の引き締まりで年末に向けて下がる見通しだという。一方でゴールドマン・サックス・グループは経済データの軟化と最新の金利予測分布図(ドットプロット)を理由に、来年に約75ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げを見込む市場の織り込み具合は「当面」続く可能性があると分析した。
株式
米株式相場は続落。週間では3月以来の大幅安で終えた。
株式 終値 前営業日比 変化率
S&P500種株価指数 4320.06 -9.94 -0.23%
ダウ工業株30種平均 33963.84 -106.58 -0.31%
ナスダック総合指数 13211.81 -12.18 -0.09%
最近売りがかさんでいた大型ハイテク株は、この日は上昇。最新のスマートフォンとスマートウオッチが発売されたアップルは上げた。米市場上場の中国株には、米中が経済と金融を協議する作業部会を設置することを好感した買いが入った。
シティー・インデックスのマーケットアナリスト、ファワド・ラザクザダ氏によれば、トレーダーらは今もインフレと金融政策の軌道を強く懸念している。最近の原油高と、FOMCが発信した当面は利下げがないというシグナルが背景にあるという。
「市場が底打ちしたと判断するのはあまりにも早い。ファンダメンタルズ的には何も変わっていないからだ」とラザクザダ氏は述べた。
インフレを2%目標に下げるには、少なくともあともう一度金利を引き上げる可能性と、金利をより高くより長く維持する必要性があると、2人の金融政策当局者が指摘した。ボストン連銀のコリンズ総裁はさらなる引き締めの可能性も「全く排除されていない」と発言。連邦準備制度理事会(FRB)のボウマン理事は複数回の追加利上げが望ましいと考えている可能性を示し、タカ派の先鋒(せんぽう)としての立場を確固とした。
サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は、インフレとの闘いで勝利を宣言する用意はまだできていないとの考えを示し、米金融当局は引き続き「可能な限り優しく」物価上昇圧力を抑制することに注力していると語った。
金利高止まりでリセッション(景気後退)リスクが強まるとの見通しから、投資家は昨年12月以来の速いペースで株式を手放していると、マイケル・ハートネット氏らバンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジストが指摘した。
BofAが引用したEPFRグローバルのデータによると、20日までの週に世界の株式ファンドから169億ドル(約2兆5000億円)が流出した。特に米株ファンドで資金の引き揚げが多く、欧州株ファンドの純流出は28週連続となった。
ゼネラル・モーターズ(GM)とステランティスは、さらに合計38の施設でストに直面している。全米自動車労組(UAW)との交渉が進展しなかった。一方でフォードはUAWとの交渉が前進し、スト拡大は回避された。
英競争・市場庁(CMA)はマイクロソフトがゲームソフト会社アクティビジョン・ブリザードの買収計画を修正したことを受け、買収承認に道が開かれるとの見解を明らかにした。
サスケハナ・ファイナンシャルは先週新規株式公開(IPO)したばかりの英半導体設計アーム・ホールディングス株の投資判断を、「ニュートラル」で開始した。サスケハナ以外でも、アームに対する見方は慎重な方向に傾いている。
外為
外国為替市場では日本銀行の大規模緩和維持を受けて、円が全面安となった。ブルームバーグ・ドル指数は週間ベースで上昇。この10週間で9週目のプラスとなった。
為替 直近値 前営業日比 変化率
ブルームバーグ・ドル指数 1258.08 1.24 0.10%
ドル/円 ¥148.36 ¥0.77 0.52%
ユーロ/ドル $1.0645 -$0.0016 -0.15%
米東部時間 16時54分
ドル・円は週間ベースで3週連続高。この日は148円42銭まで上げた。日銀の植田和男総裁は記者会見で、マイナス金利政策の解除への距離感にそれほど変化はないとの認識を示した。
主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は3日続伸。米国の製造業・サービス業を合わせた9月の総合購買担当者指数(PMI)速報値を受け、ドル指数は一時下げる場面もあった。同指数はエコノミスト予想を下回った。
シティのジゼラ・ホージャ、ベロニカ・クラーク両氏は「サービス業の活動は当面成長を続ける見通しだが、弱まり始める兆候が出てこないか注意して見ていくつもりだ。学生ローンの返済再開といった向かい風が吹いてくるからだ」とリポートで指摘した。
Dollar-Yen Stays Bullish as Momentum Gauges Support | Upper end of the 2023 trend channel may cap another run higher
出所:ブルームバーグ
ユーロは対ドルで一時0.4%下げた。ユーロ圏民間部門の経済活動は9月も縮小が続き、域内経済は7-9月(第3四半期)にマイナス成長となる可能性が示唆された。
ドイツ銀行のストラテジスト、ジョージ・サラベロス氏は「欧州に対する米国の例外的な立場を市場は織り込みつつある」とブルームバーグテレビジョンとのインタビューで指摘。「市場は恐らくユーロについてやや悲観的過ぎるのかもしれない」と述べた。
原油
ニューヨーク原油先物相場は反発。ロシアがガソリンとディーゼル油の輸出を一時的に禁止すると発表したことが引き続き買いにつながった。
ただ、週間ベースでは0.8%安となり、4週ぶりに下げた。米金融当局が高水準の金利をより長期にわたって維持する公算が大きいことを示唆したため、週初に付けた年初来高値からは下げている。
Crude Eases from Yearly Highs | WTI settled $90 a barrel, halting a previous rally
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物11月限は前日比40セント高の1バレル=90.03ドルで終了。北海ブレント11月限は3セント安の93.27ドルで引けた。
金
ニューヨーク金先物相場は小反発。前日に節目の4.5%を上回った10年債利回りが低下したため、利子を生まない金への買いが優勢になった。
ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限は6ドル(0.3%)高の1オンス=1945.60ドルで引けた。
原題:Treasuries Halt Fed-Fueled Rout as Stocks Struggle: Markets Wrap(抜粋)
Treasuries Rally Across Curve, Partly Unwind Fed-Driven Selloff(抜粋)
Yen Falls After BOJ; Dollar Set for Weekly Gain: Inside G-10(抜粋)
Oil’s Rally Cools as Tight Crude Market Vies With Hawkish Fed(抜粋)
Gold Edges Up After Dropping Following Fed’s Hawkish Messaging(抜粋)
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