発熱インナーに次ぐアイテムとして、この冬は「あったかジーンズ」に注目が集まっている。ジーンズメーカーは素材に始まり、加工、シルエット、高級感とあの手この手で市場を刺激してきたが、NBはこのところ企画の手詰まりで、売上げが低迷。昨年は完全に激安ジーンズに飲み込まれ、ライトオンが「シャイニーデニム」でコツンのヒットを出した程度だった。
冬場のコーディネートはトップス偏重が否めず、ショート丈が主流の昨今、ボトムは擦りジーンズやローデニムでは寒々しい。実際、デニムは肌に触れた温感がひんやりするので、敬遠する人も少なくないだろう。筆者はそうである。(擦りは貧乏臭いところが一番嫌なのだが)
ならば、男性はともかく、女性はインナーにタイツなどを履くことも考えられなくはないが、これがスキニージーンズになると、微妙なシルエットが台無しになる。そこがファッションの難しいところだ。
こうしてジーンズトレンドを考えていくと、メーカーは定番デニムでは勝負にならないと、素材開発から行なう「機能性」にシフトし始めたということだ。まあ、常にマスマーケットを刺激しているユニクロが昨年、「暖パン」というカテゴリーで、防風、ヒートテックなどのジーンズを発売。ある程度の手応えを得たことで、この冬は各メーカーとも一気にあったかジーンズ市場の攻略に参入するようである。
先日、南充浩さんが「繊維産業ブログ」で、「おそらく、今冬は「防風ジーンズ」「HOTジーンズ」などの保温系の、(中略)こういう機能商品が注目されている状況を見ると、ボブソンは「惜しかったナー」と思う。(中略)現在、店頭を賑わせている保温ジーンズを真っ先に開発したのもボブソンである。しかし、時代が早すぎたのか、ボブソンという会社が粘り腰が足りなかったのか、当時はあまり広がらなかった上に、他社が類似商品で追随し始めると、あっさりとこの市場を手放してしまった。」と書かれていたが、何のかんの言っても日本ではメーカーの方がマーケティング力、商品開発力ともに凄いということである。
ユニクロが暖パンの発売に踏み切ったのも、素材メーカーと生地を共同開発できる体制をもっているからで、ジーンズメーカーのマーケティング情報を入手すればSPAのスケールメリットを活用して、いとも簡単に企画開発に踏み出せる。
ヒートテックも、もとはスポーツ用の機能性インナーとして「アシックス」がはるか前に開発し、それをユニクロが焼き直したにすぎない。あれだけの店舗数を抱えていれば、リスク吸収なんか容易いからだ。
日本の流通構造はメーカー、問屋、小売りがそれぞれの立場を維持しているため、いくらメーカーが自信をもつ商品を開発しても、問屋や小売りが仕入れに二の足を踏めば、商品は市場に流れない。スポーツ用品ですらそうなのだから、中小メーカーが多いファッションではなおさらだろう。
リスクを踏める大手SPAが少しでも市場を掘り起こすと、メーカー他が一気になだれ込むというわけだ。今では百貨店から量販店他までが扱う発熱インナーが良い例だ。
そこで気になるのがトレンドファッションを牽引するセレクトショップがどう出るかである。昨年冬、ビューティー&ユース・ユナイテッドアローズのレジ横には、機能性インナーのパック商品がユニクロより1000円程度高い値段で陳列されていた。
だとすると、この冬はともかく、来冬にはSPAバイング系のセレクトも、あったかジーンズを売り出すのだろうか。セレクトショップであっても、経営効率を考えるとマスマーケットにも、脚を踏み入れなければならないのはわかるが、バイヤーにもジレンマがあるだろう。
元来、冬場のボトムと言えばコーデュロイが定番だったが、それもすでに陳腐化している。また、素材製造の「畝」切り込みで出るクズが産業廃棄物となるとの指摘もある。だったら、起毛素材のままやピーチスキンでもいいのではないか。こしがあればヘビーデューティさが出せるし、ストレッチ系ならスタイリッシュに履きこなせる。コットンなのに暖かみが感じられ、何より肌触りがいい。
バイヤーに聞くと、これも「お客さんからの声は多いけど、メーカーが作らないから」とのおざなりな解答。ただ、セレクトショップのスタンスを堅持するなら、売れ筋商品の後追いだけはしてほしくない。他にはないオリジナルの「冬ボトム」にもぜひ、チャレンジすべきではないだろうか。
冬場のコーディネートはトップス偏重が否めず、ショート丈が主流の昨今、ボトムは擦りジーンズやローデニムでは寒々しい。実際、デニムは肌に触れた温感がひんやりするので、敬遠する人も少なくないだろう。筆者はそうである。(擦りは貧乏臭いところが一番嫌なのだが)
ならば、男性はともかく、女性はインナーにタイツなどを履くことも考えられなくはないが、これがスキニージーンズになると、微妙なシルエットが台無しになる。そこがファッションの難しいところだ。
こうしてジーンズトレンドを考えていくと、メーカーは定番デニムでは勝負にならないと、素材開発から行なう「機能性」にシフトし始めたということだ。まあ、常にマスマーケットを刺激しているユニクロが昨年、「暖パン」というカテゴリーで、防風、ヒートテックなどのジーンズを発売。ある程度の手応えを得たことで、この冬は各メーカーとも一気にあったかジーンズ市場の攻略に参入するようである。
先日、南充浩さんが「繊維産業ブログ」で、「おそらく、今冬は「防風ジーンズ」「HOTジーンズ」などの保温系の、(中略)こういう機能商品が注目されている状況を見ると、ボブソンは「惜しかったナー」と思う。(中略)現在、店頭を賑わせている保温ジーンズを真っ先に開発したのもボブソンである。しかし、時代が早すぎたのか、ボブソンという会社が粘り腰が足りなかったのか、当時はあまり広がらなかった上に、他社が類似商品で追随し始めると、あっさりとこの市場を手放してしまった。」と書かれていたが、何のかんの言っても日本ではメーカーの方がマーケティング力、商品開発力ともに凄いということである。
ユニクロが暖パンの発売に踏み切ったのも、素材メーカーと生地を共同開発できる体制をもっているからで、ジーンズメーカーのマーケティング情報を入手すればSPAのスケールメリットを活用して、いとも簡単に企画開発に踏み出せる。
ヒートテックも、もとはスポーツ用の機能性インナーとして「アシックス」がはるか前に開発し、それをユニクロが焼き直したにすぎない。あれだけの店舗数を抱えていれば、リスク吸収なんか容易いからだ。
日本の流通構造はメーカー、問屋、小売りがそれぞれの立場を維持しているため、いくらメーカーが自信をもつ商品を開発しても、問屋や小売りが仕入れに二の足を踏めば、商品は市場に流れない。スポーツ用品ですらそうなのだから、中小メーカーが多いファッションではなおさらだろう。
リスクを踏める大手SPAが少しでも市場を掘り起こすと、メーカー他が一気になだれ込むというわけだ。今では百貨店から量販店他までが扱う発熱インナーが良い例だ。
そこで気になるのがトレンドファッションを牽引するセレクトショップがどう出るかである。昨年冬、ビューティー&ユース・ユナイテッドアローズのレジ横には、機能性インナーのパック商品がユニクロより1000円程度高い値段で陳列されていた。
だとすると、この冬はともかく、来冬にはSPAバイング系のセレクトも、あったかジーンズを売り出すのだろうか。セレクトショップであっても、経営効率を考えるとマスマーケットにも、脚を踏み入れなければならないのはわかるが、バイヤーにもジレンマがあるだろう。
元来、冬場のボトムと言えばコーデュロイが定番だったが、それもすでに陳腐化している。また、素材製造の「畝」切り込みで出るクズが産業廃棄物となるとの指摘もある。だったら、起毛素材のままやピーチスキンでもいいのではないか。こしがあればヘビーデューティさが出せるし、ストレッチ系ならスタイリッシュに履きこなせる。コットンなのに暖かみが感じられ、何より肌触りがいい。
バイヤーに聞くと、これも「お客さんからの声は多いけど、メーカーが作らないから」とのおざなりな解答。ただ、セレクトショップのスタンスを堅持するなら、売れ筋商品の後追いだけはしてほしくない。他にはないオリジナルの「冬ボトム」にもぜひ、チャレンジすべきではないだろうか。