富山きのこクラブ

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チャムクエタケモドキの所属

2010年03月24日 | きのこ

栗林様
黒川様
富山きのこクラブの皆様へ

植物園の橋屋です。
チャムクエタケモドキの所属するチャムクエタケ属ですが、いろいろな科に分類する場合があるようです。本郷図鑑では、チャムクエタケ属はチャヒラタケ科に入れてありますが、この中でも感じが違いますよね。
そこで本郷図鑑の最初に書かれているハラタケ目の検索表を見てみると、一番最後にチャヒラタケ科とフウセンタケ科が出ていて、文章を読むといったいどこで分類するのか、いっそう混乱する感じがします。こんな時は分子分類などの情報も入れて、どんな形態を分類に使うと一番良いのかを考えて見る必要があるのでしょう。

「きのこ雑記」の浅井さんが3月23日のページに詳しく書かれていますので、これを引用したいと思います。
(ここから)チャムクエタケ属 Tubaria は最近数10年所属する「科」が次々に変わっている(雑記2003年3月25日)。Singer著「The Agaricales in Modern Taxonomy 4th. ed.」(1986)や伊藤整哉著「日本菌類誌第2巻第5号」(1959)ではCrepidotaceae(チャヒラタケ科)とされる。保育社「原色日本新菌類図鑑」(1987)や池田良幸著「石川のきのこ図鑑」(2005)でもCrepidotaceaeにおかれる。
 一方「スイス菌類図鑑Vol.4」(1995)ではStrophariaceae(モエギタケ科)とされる。「Dictionary of the Fungi」第8版(1995)ではCrepidotaceaeとされていたが、第9版(2001)ではCortinariaceae(フウセンタケ科) となり、第10版(2008)ではInocybaceae(アセタケ科)と記述があらためられている。Index Fungorumで有名なCABI databases でもInocybaceaeに置かれている。
 さらに安比フォーレの配付資料「新分類体系リスト」ではTubariaceae(チャムクエタケ科)となっている。Tubariaceaeという「科」が提起されたのが最近で「Dictionary of the Fungi」第10版には間に合わなかったのかもしれないが、CABI databasesでは「Tubariaceae」とはなっていない。 (ここまで)

きのこの分類体系は、まだ確定したものではなく、特に分子のもたらした情報を取り込んで、今後変化する可能性があると思います。
いったん覚えてもまた変わるのでは…、と考えるのではなく、今の分類が今後どうなって行くのか?目と耳を研ぎ澄ませて、新しい情報を入れ、それが本当に正しいかを検証しつつ自分のものにしてゆける良い機会として捉えて欲しいなあと思っています。

_/_/_/_/_/  富山県中央植物園 橋屋 誠 _/_/_/_/_/


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