富山きのこクラブ

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第59回きのこ観察会@太閤山ランド

2015年07月12日 | きのこ

富山きのこクラブの皆様

富山県中央植物園/友の会/きのこ部会の第59回きのこ観察会が太閤山ランドで行われ、19名の会員が参加しました。
10時、展望塔に集合です。梅雨が明けていないせいか、蒸し暑い!


12時前に同定場所に集合、同定会が始まりました。

コノハシメジ 
Tricholoma foliicola Har. Takah.

井口さんの「いきなりきのこ採り名人」
には、「そこそこ美味しい」とありますが、「追補版:北陸のきのこ図鑑」では食毒不明とあります。

いきなりきのこ採り名人 (小学館SJ・MOOK)
井口 潔
小学館

橋屋さんのコメント
井口さんが言うコノハシメジという分類群だと思います。
ただ、モリノカレバタケ属にも近く、私はモリノカレバタケ属で中毒しているため、「食毒不明」あたりが適していると考えます。

アミタケ 
Suillus bovinus (L.) Roussel


北陸では「しばたけ」と呼んで非常に好まれ、秋のきのこ狩の対象にします。探す人間が多いため、充分に育ったきれいな姿を見ることは難しいです。今回は初夏に発生したため、競争相手もなく採ることができました。

ヤマドリタケモドキ 
Boletus reticulatus Schaeff.


ヨーロッパで好まれるヤマドリタケとは別種で、やや肉質が柔らかいと言われますが、食べて美味しいきのこです。特に内部に虫が入っておらず、管孔が白い菌糸に覆われた幼菌のころっとしたものは上等の食材になります。初夏から初秋の比較的暑くて湿度の高い時期に発生するため、痛みやすいのが玉に瑕。

クロコタマゴテングタケ 
Amanita citrina (Schaeff.) Pers.var. grisea (Hongo) Hongo

コテングタケモドキ 
Amanita pseudoporphyria Hongo


~秋、丘陵帯のアカマツ・コナラ林で多く見られます。傘の表面は灰色がかった茶色で、かすり模様が見られる。この模様を橋屋さんは「もらもら」と言うけれどもよく伝わりません。これは京都の方言でしょうか?「ムラムラ」?

 

コガネヤマドリ 
Boletus aurantiosplendens T.J. Baroni

タマゴテングタケモドキ 
Amanita longistriata Imai


ひだがピンク色を帯びるテングタケ属の一種でアカハテングタケとも言ってます。傘には明瞭な条線があり、膜質のつばと袋状のつぼがあります。夏~秋、アタマツ・コナラ林によく発生し、テングタケ属のつくりを観察するのに適した教材になります。

テングタケの仲間
Amanita sp.


シロテタマゴングタケかと思ったら…
橋屋さんのコメント
テングタケ属は間違いありませんが、タマゴテングタケモドキ(ひだがピンク)ではありません。
またシロタマゴテングタケは本当に日本に産するのか?橋屋は見たことがありません。

ミドリニガイグチ 
Tylopilus virens (Chiu) Hongo

アケボノアワタケ
Harrya chromapes (Frost) Halling, Nuhn, Osmundson, & Manfr. Binder
[Tylopilus chromapes (Frost) A.H.Smith & Theirs]


柄の基部は鮮やかな黄色を帯び、切るとこれがいっそう良くわかります。同じ特徴を持つものにミドリニガイグチがありますが、アケボノアワタケは傘が淡い赤味を帯びることで区別できます。以前はニガイグチ属でありましたが、最近はヤマイグチ属に移されたようです。
https://en.wikipedia.org/wiki/Harrya_chromapes
Halling, R.E. & al. 2012. Aust. Syst. Bot. 25:422. (-/Harrya chromapes = Tylopilus chromapes = Leccinum chromapes).,

シロクロハツ 
Russula albonigra (Kromb.) Fr.

キアシヤマドリタケ 
Boletus auripes Peck

モエギアミアシイグチ
Retiboletus nigerrimus (R. Heim) Manfr. Binder & Bresinsky

西日本に多く見られるそうで、富山県では比較的珍しいもの(植物園の橋屋さんが研究報告で取り上げておられます)。しかし、最近県中央の丘陵地帯ではコナラ林でよく見られるようになりました。

 アミアシオニイグチ
Strobilomyces hongoi Hiroto.Sato


オニイグチモドキ [Strobilomyces confusus Sing.]かと思ったら…橋屋さんから同定の情報を頂きました。
https://kaken.nii.ac.jp/d/p/09J07635/2010/3/ja.ja.html
http://www.mycologia.org/content/103/3/598.full

不明

橋屋さんのコメント
 ヨーロッパで有毒(かなりの死亡数がある)のフウセンタケ属(Cortinarius orellanus(Fr.) Fr.)と同じ分類群にある種であると橋屋は考えます。
 この仲間には日和田高原など亜高山針葉樹林に産するジンガサドクフウセンタケ(Cortinarius rubellus Cooke)(和名、学 名とも山梨の柴田尚先生が発表済)があり、柴田先生によれば毒成分オレアニンも含有しているとのことなので、今回採れたきのこもこの毒成 分が含まれないか、今すぐは難しいものの後日分析していただけるよう手配しているところです。
 フウセンタケの仲間には毒はないと言う方もあるようですが、このように「日本のフウセンタケ属は未知の種類が多く、種のわからないものは口にしな い」ことが大切と考えます。 

ムラサキヤマドリタケ 
Boletus violaceofuscus Chiu


傘の色は、暗紫色から黄色や褐色が斑にまざることがあり、一見同種か判断に迷う時があります。柄は暗紫色で、白い網目が見られ美しい。ヤマドリタケモドキと並んで、初夏から初秋のきのこ狩の
対象になるきのこです。

ニセアシベニイグチ 
Boletus pseudocalopus Hongo


山と渓谷社発行「日本のきのこ」では毒きのことされている種です。きのこを縦切りにするとゆっくりと青変し、また他種に比べて管孔が短いのが特徴です。

 約45種のきのこが所狭しとならびました。

帰りに吉峰樹木園に寄って、温泉に入ってから帰路につきました。
不明の硬質菌と思ったら…


 橋屋さんにお聞きすると、サケバタケ Pseudomerulius curtisii (Berk.)
何回か見たことのある種だけれど…覚えられないです。

次の第60回観察会は、8月30日(日)に有峰で行われます。
午前10時、ビジターセンター前駐車場に集合です。熊鈴をお忘れなく。

昼食後、同定会を行いますので、お弁当をお忘れなく。

 では。 


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