富山きのこクラブ

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日和田高原に於けるきのこ観察記録

2007年12月19日 | きのこ

皆さんから聞きながら纏めた日和田リストですが、学名の間違い(IとLの小文字・属名の間違い・ダブり等)がたくさんあり、皆さんから指摘を受けました。申し訳ありません。
手直し訂正をしましたので再度送ります。何度か見直しをしましたがまだ間違いがあれば訂正して使用してください。
_/_/_/_/_/ 栗林 義弘 _/_/_/_/_/
日時:07’10月7日~8日 (天候7日晴れ・8日雨)
参加者(細谷、井口、後藤、谷口、安藤、伊藤夫妻、宮田夫妻、佐々木、栗林、)
観察記録
1 ヌメリアカチチタケ[Lactarius hysginus]
2 アワタケの仲間[Xerocomus sp]
3 ネズミシメジ[Tricholoma virgatum]
4 ミヤマタマゴタケ幼菌[Amanita imazekii]
5 シロナメツムタケ[Pholiota lenta]
6 シデチチタケ[Lactarius sp]
(ひだが密なタイプ、学名があるかもしれない)
⇒Lactarius circellatus Fr. f. circellatus、すなわちヒロハシデチチタケの基本品種に当たるものだと思います。日本新産種。
7 スミゾメシメジ[Lyophyllum semitale]
8 カクミノシメジ[Lyophyllum sykosporum]
9 クダアカゲシメジ[Tricholoma vaccinum]
10 ムラサキフウセンタケ[Cortinarius violaceus]
11 カラマツシメジ[Tricholoma psammopus]
12 キンチャワンタケ[Aleuria rhenana]
13 タマゴタケ[Amanita hemibapha]
14 サクラシメジモドキ[Hygrophorus purpurascens]
15 ナメニセムクエタケ[Phaeocollybia christinae]
16 ウツロイモタケ[Gyrocratera ploetteniana (仮)]
17 タマツキカレバタケ[Collybia cookei]
18 イロガワリベニタケ[Russula rubescens]
19 カラハツタケ[Lactarius torminosus]
20 キンチャフウセンタケ[Cortinarius aureobrunneus]
21 チャツムタケ[Gymnopilus liquiritiae]
22 コテングタケ[Amanita porphyria]
23 キツネタケモドキ[Laccaria ohaiensis]
24 アイシメジ[Tricholoma sejunctum]
25 ホテイシメジ[Clitocybe clavipes]
26 キチチタケ[Lactarius chrysorrheus]
27 ミネシメジ[Tricholoma saponaceum]
28 イボテングタケ[Amanita ibotengutake]
29 ツバフウセンタケ[Cortinarius armillatus]
30 ゴヨウイグチ[Suillus placidus]
31 クロラッパタケ[Craterellus cornucopioides]
32 コタマゴテングタケ[Amanita citrina]
33 アカカバイロタケ[Russula compacta]
34 ヤマイグチ[Leccinum scabrum]
35 クロチチタケ[Lactarius lignyotus]
36 ウスカワホウキタケ[Ramaria ephemeroderma]
37 カンバタケ[Piptoporus betulinus]
38 シロカイメンタケ[Piptoporus soloniensis]
39 ウスフジフウセンタケ[Cortinarius alboviolaceus]
40 ササクレフウセンタケ[Cortinarius pholideus]
41 アセタケ属[Inocybe sp]
42 ホンシメジ[Lyophyllum shimeji]
43 ヒメコナカブリツルタケ[Amanita farinosa]
44 ヒメベニテングタケ[Amanita rubrovolvata]
45 ベニテングタケ[Amanita muscaria]
46[Hysterangium sp]
47[Tremella sp]
48 ニガクリタケ[Hypholoma fasciculare]
49 ヒロハノキカイガラタケ[Gloeophyllum subferrugineum]
50 ジンガサドクフウセンタケ[Cortinarius pseudosalor]→Cortinarius rubellus Cooke
51 .ミドリガンタケ(仮)[Amanita sp]
Dscn2308(A. rubescensより青みががったもの)⇒Amanita rubescens var. annulosulphurea Gilletという、ガンタケの一変種ではないかと思います。つばが淡黄色を呈する点以外では、基本変種とあまり変わらないような気がします。               
52 アカヒダササタケ[Dermocybe semisanguinea]
53 カワムラジンガサタケ[Phaeocollybia sp]
54 ヌメリスギタケモドキ[Pholiota aurivella]
55 チシオタケ[Mycena haematopoda]
56 ムササビタケ[Psathyrella piluliformis]
57 カバイロツルタケ[Amanita vaginata]
⇒Amanita fulva (Schaeff.) Fr. 分子系統学的検討によって、これも独立種とされたようですので、表記の学名を用いるのが適当でしょう。
58 クリフウセンタケ[Cortinarius tenuipes]
59 オオツガタケ[Cortinarius claricolor]
60 ツチグリの幼菌[Astraeus hygrometricus]
61 ツノシメジ[Leucopholiota decorosa]
62 キブリイボタケ[Thelephora multipartita]
63 ヤマドリタケモドキ[Boletus reticulates]
64 オレンジガサ[Hygrocybe croceolutea]
65 カワリハツ[Russula cyanoxantha]
66 スミゾメヤマイグチ[Leccinum griseum]
67 シロキクラゲSP[Tremella sp]
68 ミヤマアシイグチ ???
69 タマウラベニタケ[Entoloma abortivum]
70 ヒトヨタケ[Coprinus atramentarius]
71 キッコウスギタケ[Pholiota destruens]
72 カワムラフウセンタケ[Cortinarius purpurascens]
73 クサハツ[Russula foetens]
74 ケショウシロハツ[Lactarius controversus]
75 フジイロタケ[Cortinarius largus]
76 タマゴテングダケモドキ[Amanita longistriata]
77 ニガイグチモドキ[Tylopilus neofelleus]
78 ウスタケ[Gomphus floccosus]
79 ツバアブラシメジ[Cortinarius collinitus]
80 コガネテングダケ[Amanita flavipes]
81 シミイッポンシメジ[Entoloma sp]
82 ヤブレオオフウセンタケ[Cortinarius infractus]
83 マムシフウセンタケ[Cortinarius trivialis Lange]
84 オオキヌハダトマヤタケ[ Inocybe fastigiata]
85 クリタケ[Hypholoma sublateritium]
86 Hypomyces菌[Hypomyces transformans]
⇒採取佐々木さん常盤さん同定

「今回の標本はアミタケ(Suillus)を寄主とするHypomyces transformans と考えられます。本菌は無隔壁の子嚢胞子を特徴とし、富士山や八ヶ岳のやや高層部で採集されていますが胞子発芽や培養が難しく、長期保存をした菌株が出来ておりません。多くの子嚢殻がまだ未熟ですが暫く追培養して基礎データーを取らせていただきます。…」

井口さんより
カワリハツについてですが、少なくとも本州(特にやや標高が高い地帯)では、ひだがまったく分岐しないタイプと、ひだが繰り返し二叉分岐するタイプとが区別されます。ともに肉は無味無臭で、胞子紋は純白色を呈し、硫酸第一鉄にはほとんど反応しません。従来、特に北米では、前者を狭義のカワリハツとし、後者を Russula variata の学名で扱う人が多いようです。ただし、最近では、ひだが分岐するものをカワリハツの一変種(var. variata Banning ex Sing.)として扱う意見が主流のようです。 ついでに、アオムラサキハツなども、カワリハツの変種として扱う見解がだんだん浸透してきているみたいです。
Dscn2303  ついでに。 日和田高原で採集された Phaeocollybiaは、真正の「カワムラジンガサタケ」ではなかったようです。かさにかなり強い粘性がある(顕著なゼラチン層がある)ことや、胞子が小型(大きさ 6.3-8.8×3.8-4.6マイクロメートル)であることなどからすると、本郷博士が、その生涯最後の論文で日本新産種として記述した「アカアシナガタケ(P. ligubris [Fr.] Heim)」ではないかと考えられます。ちなみに、本郷博士は、この論文の供試標本を日和田高原で採集されたとのことです。