富山きのこクラブの皆様へ
植物園の橋屋です。
昨日付の「ささやき」を見ていましたら、これまで「カヤネダケ」と呼んでいたきのこの学名が変わったことを機会に、このきのこの和名を「スナジホウライタケ」と変えようと書かれていました。
和名には決まり事(学名には命名規約がある)がなく、自由に名付けることができます。
ですので、「カヤネダケ」に使われていた前の学名が指す種(日本に分布する種類かは現在不明。でも海外には実存するらしい。)がある以上、この学名と和名をセットに考えると、学名を変えたので和名も新たに決めた方が混乱が生じ難いという理由です。
この考えも理解できるものの、「カヤネダケ」という和名でインプットされたきのこのイメージを、「スナジホウライタケ」という名前に置き換えられるかという私たちの頭の中の方が問題でしょう。
(糟谷さんの書かれた「ささやき」の文章)
今月4日と6日のささやきに,カヤネダケことMarasmiellus mesosporusについて述べた.このきのこの和名について,その後,共同研究者の竹橋さんと相談し,沖縄の高橋春樹さんや指導教官の柿嶌先生のご意見も伺った結果,スナジホウライタケと改めることになった.その理由は,カヤネダケという和名は本来,川村清一によりCrinipellis scabella(川村はMarasmius caulicinalisの学名を使用)に対し命名されたためである.すでに別の菌に命名された和名を,再び別の菌に用いるのは混乱の原因になると判断したため,今回,新たな和名を与えることになった.砂浜のきのこに普段から親しんでいる人にすれば,カヤネダケという慣れ親しんだ和名を改めるのはちょっと心残りもあるが,新たな混乱の原因をわざわざつくるわけにはいかない.したがって今後,これまで我々がカヤネダケと呼んでいたきのこは,スナジホウライタケと改めることになる.
(ここまで)
_/_/_/_/_/ 富山県中央植物園 橋屋 誠 _/_/_/_/_/