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アンガー(怒り)・マネジメントとしての「百会(ひゃくえ)タップ」

2022-11-22 10:50:58 | 症例から考える

本屋に行くと「怒らない技術」だとか「怒られない技術」だとか「怒らせない技術」などといった本をよく見かける。そのくらい世の中、怒りを溜め込んでいる人が多いのだろう。だから、アンガー・マネジメントは今の世を生き抜くための重要なスキルになっていると見られる。

そのアンガー・マネジメントにはさまざまな手法があるようだが、私がある人から教えてもらった方法は非常に手軽で、自分でもやってみてそれなりに効果もあると思われるので、ここで紹介しよう。

その方法は、簡単に言えば「百会タップ」である。百会穴は頭頂部の、教科書的には「前髪際正中線直上5寸、あるいは両耳尖を結ぶ線上の中点」にあるツボで、そこを軽くタッピングする。ただそれだけ。

この百会穴について、手持ちの『針灸学[経穴篇]』(東洋学術出版社)には

[由来]「百」は多いことを形容しており、「会」は聚会(集まること)を意味する。百会とは百脈が聚会(集まる)ことを指している。また、頭は諸陽の会である。本穴は頭頂の正中にあり、三陽五会のところであることから百会と命名された。

[作用機序]①百会は身体の最も高い部位にあり、陽気が集まるところである。本穴への針灸施術は陽気を調え、各臓器の下垂を治療することができる。…
②本穴は手足三陽、足の厥陰肝経の交会穴である。これらの経脈と頭顔面部・五官は非常に広いつながりがある。…

などと書かれている(なお、五官とは五臓と関連する感覚器で、眼・舌・口唇・鼻・耳のこと)。

ここからは百会がアンガー・マネジメントに使えることが直接見えてこないが、「百会タップ」を教えてくれた人によると、「腹が立つ」、「はらわたが煮えくりかえる」、「腹に据えかねる」などというように怒りは腹で生じ、「怒髪天をつく」というように上へ上へ頭まで登っていくのだという。そして、そのエネルギーは頭頂から抜けていくのだが、それが上手く抜けていかないと頭部にそのまま溜まってしまうらしい(怒りが強いと「声が震える」、「顔が真っ赤になる」、「目が釣り上がる」、「唇がワナワナする」といった具合に頭顔面部に出るのも、怒りのエネルギーが抜けずに頭顔面部に溜まってしまうことによるものだ、と)。

つまりは経穴の作用機序に立ち戻ると、上の[作用機序]①、②の応用で、百会をアンガー・マネジメントにも使える、ということなのだろう。

実際には「怒髪天をつく」ような強烈な怒りの最中には「百会タップ」など思い出している余裕はないから分からないが、ある程度落ち着いた時にやってみると、気持ちがスッと楽になる感じはある。また、これは怒りに限らず、何かの感情が自分の中にしつこく残ってモヤモヤしている時などにも使える。

なお時と場合にもよるが、百会をワンポイントでタッピングするより、百会を含む頭頂部を面として軽く掌でタップする方が、より効果があるように思う。まずはお試しあれ。


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