怪しい儲け話が来る

この間の社会貢献功労賞の受賞（その後、「賞はどこで受けますか」といった電話まであり、「せっかくですが辞退します」と丁重にお断りした）に続いて、今度は新たな投資の案件が届いた（よっぽどカネに困ってるように見えるんだろうか？）。

この投資は凄いゾ。「５万円の入会金のみで初回は無料。そして、ご参加頂いた会員様全員に６週間で300万円以上の利益をお届け致します！」っていうんだから。しかも、６週間で合計収入が300万円に満たなかった時のために、完全返金保証システムまでついている（ただし、パンフレットをよくよく見ても、何が返金補償の対象になるのかは明記されていない）。

で、何に投資するのかと言うと、それは「馬」だ。といっても馬主になれということではなく、要するに競馬で勝てる情報を提供する、という話。その情報提供料が20万円で、初回のみ完全無料となっている。

パンフレットによると

（前略）このような不安定な世の中でゆとりある生活と将来の安心の為に、弊社がご提案させて頂きますのが「馬券投資」です。弊社が推奨している馬券投資は、投資で最も懸念されるリスクを最小限に留めることが可能です。なぜなら、弊社は業界最古参の情報会社として、その人脈を最大限に活かし、主に馬主を中心に現役・OBを問わず競馬関係者の信用ある情報により、ギャンブルとはまったく異なる投資を確立し、25年間という長きにわたり数々の実績を築き上げてきました。

　信用のある情報とは、マスコミで入手出来る情報ではなく、競馬関係者達の思惑がそのままレース結果に反映される内容であり、一般には決して流出することのない絶対的な機密情報を指します。これは、主催者側とそれを取り巻く関係者のそれぞれの利害関係が成す、“馬券収入に直結する情報”なのです。

　弊社会員様になられた後は、競馬は真剣勝負だけでなく、主催者側と各競馬関係者達による人為的背景から成り立っているということが良くお分かりになられるはずです。(後略）

こんなのを読むと私なんかは素朴な疑問として、「そんな凄い『絶対的な機密情報』が常時手に入るんなら、誰にも教えずに自分たちだけでガッポリ儲ければいいのに、何でそうしないんだろう？」と思ってしまうのだ。

少なくともわざわざ会社まで作って情報を売っているということは、競馬での儲けより情報を売ることでの儲けの方が大きくなければ理屈に合わない。逆に言えば、この会社の業績を調べれば、その情報を元にして競馬で得られる利益の上限（つまり、その情報の本当の価値）が、ある程度そこから求められることになる。

で、肝心のその業績については具体的なことはわからないが、「一生懸命もっともらしく作りました」というのが見え見えの、このパンフレットの素人臭い垢抜けなさを見る限り、どう考えても好調とは思えない。業績が好調の会社ならプロのデザイナーに作らせるだろうし、プロが作ったらこういうふうにはならない──と言うか、絶対こうは作れない、と思う。プロと名乗るからには、最低限度のセンスとプライドくらいはあるだろうから。

この案内を送ってきた会社の名は、株式会社トヨタ・フィナンシャル・パートナーズ(T.F.P.)。トヨタ自動車にはトヨタ・ファイナンシャル・サービス株式会社という関連会社があるが、このT.F.P.はトヨタ自動車とはまったく関係なさそう。この社名は、表面上は社長の名前が豊田幸央だから、ということなのだろうが、このネーミングには意図的なものを感じる。

その昔、金のペーパー商法に絡み、最後は衆人環視の中で会長が刺殺された、豊田商事事件というのがあったが、この豊田商事も社名にわざと「豊田」と入れることで、トヨタ自動車の関連会社であるかのように顧客を錯覚させ、信用させることを意図していたんだった。

ま、それはともかく…世の中にそんな「うまい儲け話」なんてそうそうあるワケないし、仮にあったとしても、そんな話を見ず知らずの人間に教えてくれるようなお人好しもそうそういない。だいたい、そんな話が私なんかのところに来た時点でもう既に怪しいワケで、６週間で300万円は確かに魅力だけれど、この話ちょっと乗れませんなー。