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演技派

2021-06-21 07:01:41 | 一治療家の視点

俳優の佐藤二朗が、ある言葉に憤っているとJCASTニュースが報じている。その言葉とは「演技派俳優」。ちなみに元記事のURLは↓
https://www.j-cast.com/2021/06/18414122.html?fbclid=IwAR3OcwMls7zc8TtI9uS_AWXTaV2IPTFElFlO49Ybwx05BMLjVr7LE7fTC0I

以下、その記事の一部を引用すると──

佐藤さんは2021年6月17日にツイッターで、
「以前、テレビである俳優さんを紹介するのに『演技派俳優』とのテロップ。正直ここまできたかと思った」

とうんざりしたように書き込み、「演技のプロが俳優なんだよ」と指摘した。そしてその上で、「『演技派俳優』という表現が、いかに俳優をバカにした表現か痛切に分かるはずです」と続けている。

「演技派俳優」とか「演技派女優」といった言い方はこれまでも普通にあったし、私などはそれを一種の褒め言葉だと思っていたので、この佐藤二朗の書き込みは正直、「その発想はなかった」という感じだ。が一方で、「演技のプロが俳優」という気持ちでやってきた人にとって、「演技派俳優」という言い方は「俳優をバカにした表現」だというのも分からないではない。私自身がブログやSNSなどにこうした言葉を使ったことがあるかはよく覚えていないが、言葉の選択にはこれまで以上に気を使う必要はありそうだ。


それはそうと「演技派俳優」が「俳優をバカにした表現」でマズイとすると、例えば「演技派治療家」というのはどうだろう?

いや、どうだろう?という前に、そもそも「演技派治療家」って何?ということになるか。

考えられる可能性は2つ。
1つは、治療家をやる傍ら市民劇団などに籍を置いて、アマチュア俳優として舞台に立っている人。この場合、「演技派治療家」というのは「治療家なのに俳優としての演技も(プロ並みに?)上手い」というニュアンスがあって、もしかしたら褒め言葉かもしれない。
もう1つは、患者から「治りますか?」と聞かれたら、根拠など何もなくても即座に「治ります」と答え(られ)る治療家。こちらも、どおくまんの『嗚呼!! 花の応援団』じゃないが、まさに「役者やのぉ」である。

後者については、自身も治療家で、また治療家に経営指南をしている先生で、そう指導している人がいる(私は面識がないが、本人がメルマガの中で明確にそう書いていた)。「そう答えることが治療家の覚悟であり、患者へのやさしさだ」というのが、その理由だという。実際、患者に聞いてみると「嘘でもいいからそう言ってほしい」という人はいるので、経営上の1つの戦術としてアリなのだろう。だが、それは時に大きな問題を引き起こす。それについては過去記事「ダメ治療にハマらない方法」に述べているので、必要ならそちらをご覧頂きたい。

ちなみに私は(上に挙げた2つのいずれの意味でも)「演技派治療家」は目指していない。そして佐藤二朗の

「ただ、芝居にだけは我々は彼岸にいたい」

という言葉は忘れないようにしようと思う。


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