Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

Waiting For You ネタバレ感想

2021-03-02 00:00:00 | コリン・モーガン


まだ日本版がないので未見の方も多いこちらのネタバレ感想、私がUK密林で見られるうちに書いておきたく、申し訳ありません。

ミステリーものだとは作品情報でなんとなくわかりますよね。そのミステリーとは予告編にポールの両親と謎の女性が出てくること、何かを追ってポールがフランスくんだりまで行くことから、謎のフランス女性が実はポールの実母なのでは・・・?と思っていたのですが・・・

あの予告編、本編見てから見るとかなりネタバレしていたんだ?!と気づきます。

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これって、ミステリーだけど同時にちょっと怪奇モノというかゴーストストーリーだとは、気づいてビックリでした。

父が亡くなる前に、「ブラウン隊長」「あれは俺のものだ」「海からもらった真珠の袋」「俺が持っていたら」「まだ家にある」とポールの耳元で囁き、経営していたガレージが業績不振で遺産もなかったことから、母と出会う前の父は軍隊にいて、遺品から南フランスにいたらしいと分かった彼は、何か父の遺産があるのでは・・・とドーバー海峡を渡ります。

この時ポールが車ごと乗ったのが、ル・シャトルと呼ばれる車ごと乗り込むフォークストン〜カレー間を走る列車でした。ロンドン〜パリ間のユーロトンネルよりも車ならトンネル自体は短いですね。しかしカレーはフランス北部だから、ポール北から南までの旅お疲れです。

カフェに入ったら、そこの娘シルヴィーがブラウン隊長の娘にピアノを習っていたので家もわかりラッキー。

ぶじ家は見つけるも、隊長は死に無愛想な隊長の娘ミセス・ブラウンのみ。気のいい庭師を丸め込んで、建築の院生で18世紀のカントリーハウスが専攻だから調査させろと家に潜入。

丸め込み成功で家の部屋まであてがわれて歓迎ムードと思いきや「週350ユーロ、もちろん最短1週間からね」ということで、実は庭師がマダムに提案したんでしょうね。渋々街のATMでユーロを引き出すポール(笑)。

ルイ16世ゆかりの家は淡いグリーンの壁もエレガントで、同じヨーロッパの古い家を買った私の義理の両親の家がイケアで埋め尽くされてるのとえらい違いだわい、と思ってたら、この映画の監督さん、プロダクション・デザイナー出身でこれが初監督作だそうで、納得のセットです。

マダム・ブラウンって最初は英語がわからないふりをしていて、携帯で英語を喋っていたのを聞いたポールが「なぜ僕には英語で話さないんですか」ってムッとするシーンがあります。これ、彼女は心を閉ざしてむやみによそ者と関わりたくないからでしょうけど、英語ネイティヴ民はできるなら英語を話すべきだと単純に思ってるところがアングロサクソンって図々しいよなあとちょっと思っちゃった。

ポールは家中のサイズを測って図とともに紙に書きまくり。サイズを測るふりして家の大捜索をするも、父の遺産らしきものは影も形も・・・

ところで、この映画は冒頭から、このフランスの家の周りを走ったりおもちゃの車で遊ぶ男の子が出てくるんです。ストーリーが進むにつれ、ポールは覚えてないけど自分はかつてこの家に父に連れてこられたことがあると気づき、あの男の子はポールの過去かと思うのです。

一方、ポールの父はイエメンでブラウン隊長の部隊で仕事をしたわけですが、庭師のお父さんを殺したのが父だとわかってきます。死んだ男の妻と子供達をフランスの自宅で面倒見ていたので、ブラウンさんはいい人だったのでは。

そしてポールの父は上司の娘と付き合ってたけどやがてイギリスに帰り、ポールの母と出会い家庭を作ったというわけ。戦争トラウマと昔の恋人のことは奥さんには話さない頑固親父だったようです。でも奥さん=ポールママは、軍時代の話をすると怒ってたから、薄々知ってたよね。

ミセス・ブラウンもポールが恋人の忘形見と知ると急に優しくなって昔語りも始めたけれど、どうも遺産らしきものはない様子。

腑に落ちないポールが、庭師の息子の嫌味で気づいた、いつもミセス・ブラウンが座っている庭のベンチの下に何かが埋まっている説を頼りに夜中に掘り返すと、ミセス・ブラウンが気づいて起きてきて銃口を突きつけ「出てきたものをそのまま私に寄越しなさい」と。小さめのみかん箱くらいの箱をブルブル差し出すポール。

箱の中身は、ポールの父との息子、ポールの異母兄弟の弟・・・ああ、ポール、ミセス・ブラウンが起きてよかったね、真珠がザクザク入っているかと箱開けなくてよかったね、今度は君がトラウマに悩まされるところだったじゃないの。

真珠とは、英語でも「貴重なもの」という意味があるそうで、日本語でも「珠のような赤ちゃん」とはよくも言ったものだ。

家の周りで遊んでいた男の子はミセス・ブラウンの子だった。彼女は子供の墓を教会に作りパリに引っ越すので家をポールに譲ると言いだした。

父の遺産を探しに来たポールだけれど、家の図を描き調査をするうちに昔の情熱が蘇っていた。実は名門大学院に進んだものの、道を見失ってドロップアウトし、街の書店で母の勧めで働く自分にも疑問を持っていた。その無くしかけていた建築への情熱と、フランスで出会ったシルヴィーを連れてロンドンに戻る決心をしていたポールには、今は必要がないものだった。

ポールにとっては父の過去は最初受け入れがたいものだったろうけど、シルヴィーとの関係が始まった自分にとっては、若かった父を理解できる。

さて映画はここで終わるのですが、

過去を手放してパリに飛び立ったミセス・ブラウンは良いけれど、ロンドンで息子を待ってるポールママは、フランスの田舎の家をもらったって、夫の過去の女との証拠なんていらんものですよね。家を売ればお金になるけど、ポールにとっては家のままとっておきたいだろうし・・・ポール卒業したら、シルヴィーとあの家に住んで観光客に半分貸し出ししてママの年金の足しにするとかどうでしょう。いや、やっぱり庭師にあげてお父さんの罪を償う?



ポールが「休み取らせてくれないから辞める」前に働いてたIlfordの書店WaterstonesがIlfordのウィキに載ってました。グーグルマップは車が入れないためなのかちょうど入れなくて写真撮れなかった。