Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

リリーのすべて

2016-03-19 00:00:00 | エディ・レッドメイン


噂どおりアール・デコのヨーロッパが美しいこの映画、初日の午後2時はなかなかお客さんが入ってて、「エディちゃんの営業が実ったか?!」と嬉しくなりました。「ヒットしますように!」って来日の時神社でお祈りしたそうですから。

いろいろと考えることありました。

リリーの本意ではないでしょうけど、エディ・レッドメインは男装の時の方が美しさがキラッキラして見えました。もともとエディはソフトな部分があるし、当時の男性の服も身体に添ったカットでハイウエストで禁欲の美しさとでも言いますのか。特にドキリとするのは、この写真の衣装の時。この時はもう心は女性だと意識していた時で、パンツスーツでも上がぴったりして下がバギーな、70年代のデヴィッド・ボウイのような中性的なシルエットなんですね。でもだからこそ、公園で男達に「彼女~!レズビアン~?!」みたいに言いよられて。ううー・・・。辛くてスクリーンを直視できませんでした。

でも顔の表情や仕草は女装の時の方が、本人が幸せなのが滲み出てたのがエディの役者としてのすごさ。

来日インタビューの中に、「僕は演劇の訓練を受けてないので引け目を感じるけど、それが仕事への原動力」と言ってたので驚いてしまいました!てっきり他の英国俳優と同じで一流の演劇教育を受けてるかと思ってました。
それでは俳優になったのはなぜなんでしょう?思いついた人、えらい!

アリシア・ヴィキャンデルは、少女のような容姿だけど声は低く演技する人のようで、かわいいんだけどカッコよかった。画家という職業を持つ女性でもあったので、100年前なのにカジュアルな服をオシャレに着こなしてました。彼女はスウェーデン人のわりに色素が濃く、アジア人にも見える時があります。この映画では金髪だったので褐色の肌がよりエキゾチックに見えました。

ゲルダとアイナーは、内面は外見と性が反対だったみたいに、彼女は男っぽかったです。劇中でもパーティーでくどいたのはゲルダだったと言っていましたし。ある意味、完璧なカップルでした。

ベン・ウィショー演じるヘンリクは、性適合手術の前も後も、大きな愛でリリーを見ていてくれて、もっと彼女の力になってくれたらいいのにと思いました。手術後のリリーは同性愛者のヘンリクと恋愛できないって台詞がありました。こういうアカデミー賞をとる一流映画でトランスジェンダーと同性愛の違いを示すのは理解が広まるいいチャンスになりそうで喜ばしいです。

ところで、考え込んでしまったのは・・・

リリーの時代の少し前のサフラジェット(女性参政権運動家)から始まり、フェミニズム運動は今でも続いて「女性は生きにくい」世の中、

性差というのは既成概念を持った大人が子供に人工的に植え付けるものである、と欧米では子供の玩具を「男の子用」「女の子用」と分けないポリシーまででてきているのに、

リリーのように、自分の生まれ持った性の身体に居心地の悪さを感じるのはなぜなんだろう・・・・ということです。

私ももの心ついた頃から思春期くらいまで、女の子でいることが恥ずかしいことのような気がしてました。世間の「女像」と自分の違いに抵抗があったし、母親から「女だからこうしろ、するな」とうるさく言われたのも嫌でした。

でも大人になって冷静に見ると、まわりの男子は一般に醜く、女性の方がキレイでいいや、といった感じで適合しような。キレイにしているといいこともあるし。それに親元離れて自由になりました。

でも今また冷静になって見ると、ある特定の男子は女子よりもカワイイことに気づいたので、男女どちらに生まれついてもそれほどの差はないんじゃないか、と思っています。男に生まれてエディになる確率と女に生まれてアリシアちゃんになる確率なんてほぼ同じかと。

それでもリリーのように自分の身体の性に違和感を持つ感情とはなんなんだろう。
画家として成功していたのに、キャリアを捨てても「なりたいものはお嫁さん」だったリリー・・・