ワクチン開発、第3段階で9割がぽしゃります。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200518-00000003-biz_lifeh-hlth
世界中の人々が、新型コロナウイルスのワクチンを今か今かと待っています。
1年~1年半後にできるという現在の予測が、実現すると信じているのです。ワクチンは、それよりもっと早くできるかもしれない、とする報道もあります。
開発中のすべてのワクチンや治療法の進捗状況を、随時チェックしているウェブサイトすら存在しています。
多くの人は、1年ほど大人しくしてさえいれば、そのあとは普通の生活に戻れるだろうと考えているようです。
「ワクチンは開発できるし、実際に実現するだろう」と期待するもっともな理由はあるものの、現実はもっとずっと複雑です。
正常な環境であっても、ワクチン開発というものは込み入った不安定なプロセスです。
パンデミックという状況によりプレッシャーがかかって開発が加速したとしても、ワクチンが1年~1年半でできるという保証はありません。
それどころか、将来的にワクチンができるという保証もないのです。
たとえば、HIVのワクチンはいまだに存在しません。優秀な研究者たちが何十年も努力してきたにもかかわらずです。
テキサス大学健康科学センター・ヒューストン校公衆衛生学部(UTHealth School of Public Health)の感染症疫学者・Catherine Troisi氏は、「(ワクチン開発は)単なる科学ではなく、高度な技術です」と語ります。
どの抗体が有効かを予測するのが最大の困難
ワクチン開発の持つ限界の1つは、何が有効かを予測するのが難しいことです。
ワクチンの働きは、免疫システムを刺激して抗体をつくることです。抗体はウイルスを認識し、ほかの免疫細胞の反応を引き起こします。
「新型コロナウイルスに対する免疫の働きについて、すべてがわかっているわけではありません」とTroisi氏は説明します。
科学者たちは、どの抗体が有効なのか、そしてウイルスのどの部分が、こうした抗体をつくる刺激となるかを、これから確認しなければならないのです。
たとえば、開発中のワクチンの多くが、ウイルスの表面にある「スパイクタンパク質」に対する抗体をつくることに力を入れています。
この抗体が、感染後に回復した人たちの中に見られるからです。
ところが、感染後に回復した人たちに見られるからという理由だけでは、その抗体が問題のウイルスを撃退するための免疫システムを活性化するのに有効だとは言えません。
私たちがまだ発見していないほかの抗体が、実際に免疫を授けることができる抗体かもしれないからです。
免疫システムを活性化して抗体をつくるようにするためには、まずは、ウイルスのどの部分が抗体の産生を刺激するのかを特定しなければなりません。
あとは、その部分を抗原としてつくられたワクチンによって産生される抗体が、免疫をもたらすのに有効であることを期待して待つわけです。
このプロセスは慎重を要します。ワクチン候補が人に試されてみないことには、有効かどうかわからないのですから、なおさらです。
悪いニュースばかりではない
良いニュースもあります。
ヒューストン・メソジスト病院の研究医John Cooke氏は「ワクチン開発に使えるツールは、以前より良くなっています」と語っています。
同氏は、製薬会社GeneOneと協力して、新型コロナウイルス用のRNAワクチンの開発に取り組んでいます。
たとえば、新型コロナウイルスのゲノム配列は迅速に解析されました。
ゲノム配列は、見込みのあるワクチンを開発するために必須の情報です。
ワクチンのいくつかは、すでに試験が行われています。ワクチン候補は、これまでになかったほどのスピードで開発・製造されているのです。
ワクチン開発は数が勝負
さまざまな意味で、効果的なワクチンの開発は数が勝負です。
そのうちの1つが成功することを願って、たくさんの方法を試さなければなりません。
「開発中のワクチンの数は十分でしょうか?」と、Cooke氏は問いかけます。「ほかには、どんなワクチンができてくるでしょうか?」
たくさんのワクチンを開発し、ワクチンの機能を設計する際に多くの異なる方法を試すことがこれほど重要なのは、そのためです。
どのワクチンが成功するかを予測できる良い方法はありません。
100個のワクチンのうち成功するのが1つだとして、現在開発中のワクチンが99個しかないとしたらどうなるでしょう?
ありがたいことに、ワクチン候補の開発を進めている企業は数多くあります。
しかも、たくさんの異なるアプローチで開発を進めています。
「このワクチンの開発には、非常に多くの革新的なアイデアが使われています」とCooke氏は述べています。
安全性・効果の試験は極めて重要
こうした試みの1つひとつを、慎重かつ徹底的に試験し、その安全性と効果を評価する必要があります。
臨床試験にはフェーズⅠ、Ⅱ、Ⅲがあり、志願者への治験が行われ、効果があるかどうか、危険なあるいは好ましくない副作用がないかどうかが評価されます。
治験のスピードを上げる方法はあるにしても、長いプロセスであることに変わりはありません。
現在治験が行われているワクチンが安全で、有効に働くことが期待されますが、そうなる保証はありません。
私たちは、有効なワクチンが見つかるまで、ひたすら試し続けなければなりません。後から開発されたワクチンが有効かもしれません。
その場合、ウイルスの危険性と共に生きる時間は長くならざるを得ません。
ワクチンが安全かつ効果的だと確認することは、非常に重要です。
ワクチンが慌てて市場に出され、あとになってから、「危険な副作用がある」あるいは「あまり効かない」ことがわかれば、問題を増やすだけです。
ウイルスが突然変異する可能性も
毎年、私たちは新たにインフルエンザ予防接種を受けます。予防接種を受けても、ときにはインフルエンザに感染してしまうこともあります。
これは、インフルエンザが急速に変異するウイルスだからです。Cooke氏は次のように説明しています。
ウイルスは突然変異することがあります。開発したワクチンに影響されないレベルにまで、変異してしまうことがあるのです。
もし新型コロナウイルスが急速に変異するタイプのウイルスなら、予防接種を毎年受けなければならないかもしれません。
ただし、Troisi氏が指摘するように、これまでこのウイルスには、多くの変異は見られていません。
しかしこのウイルスが変異しなければならないような進化的圧力を受けていないことも事実です。
ワクチンができて、もっと多くの人が免疫を持つようになれば、変異は増えるかもしれません。
考えたくないことですが、ワクチンの登場までに何年もかかる可能性はあります。
あるいは、ワクチンができない可能性もあります。低いけれど、可能性はあるのです。
もしそうなった場合、未来はどのようになるだろう…と、少し考えてみる価値はあるでしょう。
コメントから
間違えないでほしいのですが、ワクチン接種の受動免疫で抗体ができたとしても、罹患しないわけではありません。重症化が防げるだけです。インフルエンザ予防接種は肺炎の重症化を防ぐだけで罹患しなわけではありません。コロナウイルスに関しても、いったん罹患して自分に抗体ができたとしても重症化しないだけで、他人には移す可能性があるんですよ。その点からはワクチンが万全ではありません。同様に薬剤に関しても罹患機関を短縮するだけで重症化を防ぐことしかできません。死亡症例は減少するはずですが、ワクチンできたから、薬剤ができたから安心だよ、というのは大間違いです。
ウィルスが変異していて急に重篤化する事も有る新型コロナ、ワクチン
が出来れば一番良いが、数種類の特効薬だけでも出来れば不安は減少する