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カンチャン狂騒曲

日々の事をあれこれと、大山鳴動してネズミ1匹がコンセプト。趣味さまざまなどを際限なく・・。

私の「わけあり小説」の1ページ

2017-01-17 14:31:51 | 日記
 「15のわけあり小説」という短編集を読んでいる。

 目次に*の印がついたものはよく知られた事件に基づいたもの、無印は作者の想像が生み出したものと最初に断ってある。

 
 (「15のわけあり小説」ジェフリー・アーチャー著 戸田裕之訳 2011・5新潮社刊)

 作品はスピード感があって面白いが、作者自身の人生の軌跡も物語に劣らず波瀾万丈であったようだ。

 普通の人の平淡な人生でも小説の一冊くらいは書ける体験をしているそうだ。

 その意思の有無と表現力の優劣が重大な問題ではあるが。

 私も現在右肩が上がり気味のグラフの前で、しばし考え込んでいる。

 
 (PSA値のグラフ)

 前立腺癌の場合、PSA値「4」を超えると医者の眉が少し動く。

 私の場合は、たしか4.7くらいでMRI検査をし何も発見出来ず「生検」で発見された。

 「骨シンチ」と「CT」で骨や他の部位に転移・拡散などないかを調べた後、ステージ1ということで「ブラキ」という療法を選択した。

 前立腺を除去するのではなく、小さな放射線源を癌の直近の周囲に埋め込む治療法で、あと1週間で5年が経過する。

 私のHNになっている猫の「シロ」が亡くなって今月末で5年というのに符合する。

 「ブラキ」の療法の場合、治療後の最小のPSA値プラス2の値になったら再発や転移を一応疑ってみるというのがある。

 昨年の5月ころオーバーしたので、一週間後PASを試したら下がっていた。

 9月にも同じ事があったが、今度は間を置いて12月に測定したら3.1になっていて、年明けに「骨シンチ」と造影剤を入れての「CT]による検査を受けた。

 その結果は今日知らされたが、どちらの検査にも異常が認められなかった。

 担当医は、選択肢は2つあり「薬を使ってPSA値を下げる」方法と「発見は出来なかったので様子見」という処置のいずれを選択するかを問うてきた。

 さあ、与えられた情報に基づいて状況判断を迫られることになったのだ。

 NHKのテレビで「歴史における重大局面での選択」を問う面白い番組があるが、個人的にはそれに匹敵する選択だ。

 すでに家を出るとき私自身の想定問答は終わっていた。

 ただ想定が「再発・転移あり」か、「再発・転移なし」のどっち?だったのだ。

 再発・転移には薬は絶対であって、選択の余地はほぼない。

 異常が認められないのに数値が上がっているという新たな問題を提起されたのだ。

 かといって数値を下げるために薬を使うのは、首を傾げざるを得ない。

 数値は結果であって、下げることが根本的な原因の除去ではない。

 高血圧の薬を飲んで、高血圧の原因が除去されないのと同じだ。

 しかし異常が認められなかったのは見逃されたからだ、現に数値は上がっているじゃないかと言ったらどうする?

 文章にしたらもっと長い別の角度からの判断材料を検討したことは勿論であるが、データと医者の顔を見比べながら15秒後に返事をした。

 「様子見にします」

 「はい、わかりました。3月の末頃もう一度血液のPSA値を見てみましょう」

 かくて私の「わけあり小説」は、今日の1ページだけを書き終えたのだった。

 もちろん、この物語はわけありのまま当分続く。

 「癖のある肴が欲しい今日の酒」

 
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