昨日は数年ぶりに菊池渓谷に行った。
熊本県の北部に位置する菊地市の山間部で、阿蘇外輪山の伏流水を源とする菊池川の最上流部にある渓谷である。
夏は涼を求めて沢山の人が訪れる、ちょっとした名所である。
九州の人なら、特に北部地域の人ならもぐりでない限り殆ど知っているなどと、私はいつの頃からか勝手にのたまうようになった。
以前はあった物販の施設は極端に制限されて自然を満喫する地域へと意識的に変貌を重ねつつあり、単なる地域おこしとか物産館の様相を呈していた昔とは様変わりで、久し振りに訪れると土産物屋が一軒だけの、何か寂れたのかな等と勘違いするほど静かな雰囲気になっていた。
(入口の付近にある吊り橋から上流を望む)
上流に向かうコースには淵や滝が点在していて、遊歩道も自然ではあるが整備されていて年寄りにも子供にもやさしい。
清流が自慢の河川は多いが、ここの水は伏流水が大量に流れているため、深いところでも緑色ではなくて、透明から淡い水色そしてだんだん深くなるにつれてコバルトブルーに変化していく。
水温は夏でも12~3度Cほどで、足をひたすと30秒もすると頭がかき氷を食べる時のようにジンジンしてくるほどである。
木陰の遊歩道沿いには、百合の花や彼岸花に似たような趣の花が自然のままに顔を出していた。
昔はキャンプ場もあって野外活動の拠点的な施設もあったが、それらも一切撤去されてキャンプ禁止地域になっており、純粋に自然の森や水に親しむ場所として生まれ変わっている。
開発され造られた施設や、村おこし町おこしだといってやたら大きな物産館や直売所がそれぞれの地域に出来ているが、ここはその真逆の方向に進みつつある。
方向は間違ってはいないと私も思う。
日本全国金太郎飴的作り物の地域おこしは、もう飽きた。
ありのままの自然の中で、家族や友人とのんびり休日を過ごす、そうした生活スタイルを提示する場所がもっと増えてくる予感がする。