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馮正虎の記者会見を聞きに行く

2009-04-27 19:18:27 | Weblog

今日の午後都内で馮正虎の記者会見があった。2月に北京で上海市当局に拉致され、41日間の拘束ののち3月末に釈放された。昨年裁判所に海外渡航禁止処分を受けていたが、今回上海の警察が出国黙認を示唆、実際は六四までのあいだ外国でおとなしくしておいてほしいということだったらしい。本人も休養を兼ねて4月1日に来日。

拉致監禁の詳細は:http://fzh999.net/show.asp?id=668
来日の経緯は:http://fzh999.net/show.asp?id=667

記者会見といっても、実際は講演会のようなもの。この手の記者会見に参加するのは20年前の5月に復旦大学で開かれた上海高自聯の記者会見に行って以来だ。

写真:http://cid-1fa24382321fe8ff.skydrive.live.com/self.aspx/
sinpenzakki/P1010002.jpg

馮正虎の以下のような発言が印象に残った。

≪ほかの国と同じように中国でも人権の実現は、一人ひとりが自分の行動で権利守ることによって初めて達成される。そのためには、恐怖心を打破しなければならない。権力の不当性を声高に叫ぶだけでは、独裁権力の敵対者に自分を仕立ててしまうので、一般庶民は恐怖に駆られて逃げてしまう。権力に対する恐怖心を断ち切って誰もが声を上げられる環境を作ることに努力しなければならない。そのためには、権力の不当一般あるいは存在の不当性ではなく、権力が自分で決めた法律を守らないことを具体的に取り上げて抗議の声を上げていくべきだ。中国の場合、中央政府が決めたことを地方政府(その配下の裁判所を含む)が守っていないことに抗議し、中央に請願(直訴)することは重要な手法の一つだ。政府の、あるいは担当者の権利侵害に対して抗議の声を上げていくことは、民衆が自らの権利を自覚し、人間としての尊厳を回復する自己教育のプロセスでもあるし、中共政権の役人に対する教育のプロセスでもあり、いわば相互教育のプロセスなのだ。≫

北京での直訴の問題解決率が当局発表で0.2%という厳しい現状の中で、彼の住む上海では北京に請願に行く市民がどんどん増えていて、それが少しずつでも当局の対応を良い方向に変えてきているという実感が彼の楽観を支えているのだった。このような楽観主義と寛容の精神に支えられた個人主体のゆるやかな結びつきの運動は、魅力的だし、これからも広がっていくだろう。大したものだ。

ちなみに中央政府は地元での問題解決に努め、中央への直訴を減らすよう地方政府に強く要求している(特にオリンピック期間中はひどかった)。そのため、業績評価の低下、出世への悪影響を恐れる地方政府の役人は地方警察や請願担当部門の職員を動員して、北京で請願者の人狩りを大々的に行っている。だから、最近は今回馮正虎が拘禁されていたような闇監獄がやたらと増えている。チベット、東トルキスタンに限らず、中国内地でも全体的人権状況は決して楽観できるものではない。