【ML251 (Marketing Lab 251)】文化マーケティング・トレンド分析

トレンド分析ML251の文化マーケティング関連Blogです。ML251の主業務はトレンド分析をコアにしたデスクリサーチ。

アイドル文化とGS(グループサウンズ)

2012年04月21日 | サブカルチャーから捉えた日本人像
TVでAKB48とか観てると、「こりゃGSですね」とよく思います。
コスチュームのことですけど。
GSとはガソリンスタンドのことではありません。
1960年代のグループサウンズです。
(私はタイガースが一番だったかな。プロマイド集めに熱中してました)

■GSはヴィジュアル系の源

昨年発刊された、サエキけんぞうさんの『ロックとメディア社会』。

サエキさんが教鞭をとられている獨協大学での全学総合講座(メディア社会とロック)を基にされてますので、とても整理されていてわかりやすい書籍です。

1965年5月にリリースされた田辺昭知とザ・スパイダースのシングル「フリフリ」がGSの始まりといわれているそうです。
その初期形態がベンチャーズ的なエレキ・サウンドのブームを継承しつつも、ビートルズ、ローリング・ストーンズといったボーカル中心のロックンロールを土台にしておらず、欧米のロックバンドスタイルがそのまま輸入されにくかった当時の状況については、同書で詳しく述べられています。
70年代を目前に、GSがポシャッた経緯も詳しく述べられています。
そのあたりのことは、『創られた「日本の心神話」』の内容ともリンクします。

で、ヴィジュアル系バンドは、ついに開花することのなかったGSの遺伝子を受け継いでいるとのサエキ氏のご指摘(「ヴィジュアル系=GSの子孫」論)はすんなりと理解できます。

「GS全盛時の持ち味」=「中性的な甘酸っぱさ、軽さ」
 ⇒ 当時のロックが潜在的に持っていた黒人音楽志向性とは相容れないもの(同書206ページ)

で、ヴィジュアル系バンドは、経済効果としても音楽の生産量としてもGSの何十倍のスケール。
海外進出でも成果をあげている事実は、日本独自に発展した音楽文化が、自動車のように経済効果をあげられることを実証。
拙著でも書きましたが、もともと日本の文化にはユニセックス的な指向性があって、世界からも高評価を得ています。
歌舞伎とか典型的ですが、結構、倒錯的なものを当たり前のものとして持っているわけです。

GS以降、3~5年の期間で興隆や衰退を繰り返し、「洋楽をベースにしたポップス」という分野が、J-POPの登場までジャンルが普遍化してこなかった経緯についてご興味のある方は、同書をお読みください。

■アイドル=ロリータ文化は日本の普遍的文化

さらに、アイドルもそうなんじゃないかな? と私は考えます。
アニメとともに、日本独自の発展を遂げてきたアイドルですが、さえき氏の定義を引用します。

・「アイドル[IDOL]」という言葉は英語で「崇拝の対象になる人」
・そこから派生して「人気のある芸能人や多方面で活躍する歌手、タレント、声優」を指す
・狭義には「少女性・少年性の魅力を強くアピールする歌手、タレント、声優」

サエキ氏は、日本のアイドル文化の特徴を、以下のように的確に私的されています(黒字部分は引用個所)。

おそらく日本のアイドルのコンセプトの軸は、「永遠に少年、少女であること」は変わらない。日本人は、世界でも有数の「老けない」ルックスを誇る民族だ。加齢からの解放は、ある意味人類共通の願いでもあり、今やアイドルという存在が、年齢から解き放たれたイメージの追求役を担っているともいえる。(同書266ページ)

サエキ氏は、人類の普遍的な嗜好として世界に通用しうる日本のアイドル文化が内包するものを、「ピーターパン的シンドローム」と名づけています(「ピーターパン」については、拙著のPDF版85ページで「ピーターパンシンドローム」に言及しています)。

90年代後半、わが国の“ディーヴァ”ブームと比較すると、アイドル文化との明らかに相違点が見られます。
“ディーヴァ”のキーポイントは、卓越した歌唱力とファッショナブルなストリートファッションですね。

で、現在のK-POPですが、これはアイドルではなく“ディーヴァ”です。
KARAや少女時代の特徴は、ヒップホップ色の濃い楽曲で、アメリカ風のセクシュアルなダンスをこなし、ルックスも粒が揃っている。
明らかにアイドルとは違います(昨年書いた拙著では、まだこのあたりが混同したままでしたね・・・)
ディーヴァのファンは女性が圧倒的ですが、現在のK-POPでもその傾向。

「本来はロリータ的魅力で男性ファンが多いモーニング娘。やAKB48のマーケットとは別途に存在している」(同書267ページ)のがK-POPマーケット。
このことはしっかりと押さえておいたほうがいいと思います。

冒頭、「AKB48とか、アイドルってGSですね」と書きましたが、コスチュームでもスタイリッシュに洗練されたK-POPと日本のアイドルは明らかに異なります。
日本のアイドルってGSなんですよ、ミニタリー風なコスチュームとか。
もちろん、日本の誇るももクロもそうです。

音楽性とファッションセンス。
日本独自のアイドル文化の産物であるAKB48の楽曲を、海外アーティストがディーヴァ的に解釈するとどうなるか?
それがこれ(↓)です。
カッチョええっすね。

フライングゲット (Flying Get) / AKB48 Cover by GILLE


「気になる話題&おもしろ動画」で見つけました。

ロックとメディア社会
サエキけんぞう
新泉社

***************************************
▼『コンテンツを求める私たちの「欲望」』
電子書籍(無料)、閲覧数5,200突破しました!

http://p.booklog.jp/book/43959
***************************************
お読み頂き有難うございます。
(↓)クリックの程、宜しくお願い申し上げます。


最新の画像もっと見る