南の国の会社社長の「遅ればせながら青春」

50を過ぎてからの青春時代があってもいい。香港から東京に移った南の国の会社社長が引き続き体験する青春の日々。

美味しいスコーンがテイクアウトで気軽に楽しめる香港のCRUMBS

2010-05-19 00:45:33 | HONG KONG

香港のコーズウェイベイのSOGOの裏手のキャノンストリート(景隆街)
にCrumbs(クラムズ)というお店があります。スコーンとフローズン
ヨーグルトの小さなテイクアウト店なのですが、ここのスコーンを
買って食べてみました。どうせテイクアウトだし、どうせ香港だから、
と正直あまり期待していませんでした。しかし、それがびっくり!
なんちゅう美味しさ!最低3個からということだったので、とりあえず
3個だけ買ってきたのですが、一つ食べたら、感動的な味。もう止まり
ません。3個ともあっという間に食べてしまいました。

お店の名前のCrumbsというのは、パンのカケラとかパン屑の意味。
このスコーンは無理すれば一口で食べれそうな小ささなのですが、
食べようとするとスコーンがボロボロと崩れそうになります。普通の
英国式のスコーンは、水平に二つに割ってクロテッドクリームと
ジャムをつけて食すのですが、このスコーンは水平に割ろうとすると
ボロボロに崩れてしまいそう。だからCrumbsという名前なのかも
しれません。このお店のスコーンは、そのままクリームやジャムを
つけなくても十分の甘みが煉り込められています。だからそのまま
かじっても本格的なスコーンの味が楽しめるというわけです。

本場イギリスのスコーンと比べたら邪道なのかもしれませんが、
味はかなりよいと個人的には思います。またこのすぐに崩れて
粉々になりそうな「もろさ」は、本場のスコーンよりも過剰なの
ですが、これがまたよい感じです。青春時代のもろく傷つきやすい
繊細な心を象徴しているようで(そんな哲学的なものではないです
が)、とても魅惑的なスイーツです。

香港は立ち食い文化が発達しているので、決して立ち食いのできな
かったスコーンがこの地で立ち食い軽食となったことは革命的です。
本場英国のスコーンは、クロテッドクリームやジャムを塗ったり
するという作業が必要だし、また紅茶も必要なので、立って食べる
ことは不可能でした。しかし香港のCrumbsのスコーンは、クロテッ
ドクリームを塗らなくても十分な味わいを有し、またサイズ的にも
小ぶりにして食べやすくするという革新を経て、スコーンが
おそらく歴史上初めてストリートに進出したのではないかと思います。

コーズウェイベイにあるCrumbsのお店の外観はこんな感じです。

先日の日曜日の夕方に、このお店でスコーンを買ってみようと
思ったのですが、満員でお店に近づくことさえできませんでした。
おそらく焼き上がりを待つ人でいっぱいだったのでしょう。
平日の夕方に再度挑戦したら、何とか買うことができました。

スコーンの種類は、レーズン、チーズ、チョコレートの三種類。
私が買ったのは一番ベーシックなレーズンですが、一個6ドル
(日本円で約70円ちょい)、チーズとチョコレートは一個7ドル
(83円くらい)。どれも最低3個からとなっています。

焼き上がったスコーンはこんな感じでお店のガラスケースに入れ
られています。少しづつしか焼かないので、すぐに売り切れて
しまいます。なので混んでいる時間帯は要注意です。


実はこのお店のことは香港の食べ物評価サイトの"OpenRice"で知り
ました。去年の暮れあたりからできていたようなんですが、かなり
評価が高いので注目していました。最新の評価はこちらです。

評価は3種類。舌なめずりしている顔が満足、OKは普通、右の涙
を流しているのが、がっかりです。がっかりは、例えば混んでいて
買えなかったとか、長時間待たされたというのもがっかり評価に
なるので、必ずしも味の評価とは限りません。しかしこれだけ
満足度が高いのは大したものです。

実際のサイトのアドレスはこちらです。
http://www.openrice.com/restaurant/sr2.htm?shopid=39857
ほとんど中国語、ときどき英語なのですが、いろいろと写真も
出ているので参考になるかと思います。

また、このお店のサイトもあります。

http://www.crumbs.com.hk
お店の地図はこちらです。


実は、スコーンは今から25年くらい前、出張でロンドンに行った
帰り、JALの飛行機に乗ったときに、機内食のデザートに小さな
スコーンがついていました。それが最初のスコーンとの出会いで
した。エコノミーでしたが、スコーンをデザートで出すというのは
実に粋でした。スコーンとは何かという説明や食べ方まで解説した
小さな紙が付いていました。そしてそこに付属しているのが、
クロテッドクリームというものであることを初めて知りました。
そして生まれて初めて味わったスコーン。これは感動でした。
世の中にこんなうまいもんがあったのか!というくらいの衝撃
だったのです。

それ以来、ロンドンに行ったときは、フォートナムメーソンの
ティールームに行ってスコーンを食べたり、スコットランドの
エジンバラに行ったときもホテルのティールームでスコーンを
食べたりしておりました。会社の部下に帰国子女の子がおり、
スコーンに詳しくて自分でも作れるというので、会社で
「スコーン研究会」を作り、日本にスコーンを流行らせるための
先駆者となろうと思っていたのですが、その後あまり進展は
しませんでした。

以前、偶然、飛行機に乗っているときにぱらぱらと機内誌を眺め
ていたら、コーンウォールというイギリスの南西の端にある地域
の紀行文がありました。そこに地元のクロテッドクリームの写真
が出ていたのを今でも鮮明に覚えています。クロテッドクリーム
の中でも表面の固まりの特別の部分を使ったものが絶品だという
話だったと記憶していますが、昔のことなので正確ではありません。


コーンウォールはイギリスの一番南の半島の先端部。その隣が
デボンです。上の地図で、ExeterとかPlymouthとか書いてある
あたりの半島が瘤のように膨らんだあたりですね。ちなみに
Plymouth(プリマス)は、17世紀にこの港からメイフラワー号
がアメリカを目指して出航したことで有名ですし、デボンは
「デボン紀」とかの名前で有名ですね。このデボンやコーン
ウォールあたりがクロテッドクリームの発祥の地とされて
おります。

英語で"clot"というのは「固める」とか「凝固させる」という
意味なのですが、牛乳の乳脂肪を固めたものです。脂肪分は
60%程度で、バターと生クリームの中間くらいの脂肪分です。
クロテッドクリームについてはまたいずれ詳しく論じたいと
思います。

さて、本題の香港のCrumbsのスコーン、本場の英国の人から
みるとちょっとこれは許せないと思うかもしれません。
といってもアメリカ式の固いスコーンに比べれば、英国式の
ほうに限りなく近いです。いずれにせよ、素人の私からすると、
その昔、JALの機内で食べたスコーンと同じような味がしました。
気軽なスイーツとしては絶品だと思います。

よろしければ、こちらもついでによろしくお願いします。

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