上海万博が始まって間もなく一週間になりますが、香港のマスコミは
かなり赤裸裸に中国の醜態を報道しています。同じ中国でありながら
これほどまでに大陸のことを嫌っているのかと思えるほど、その報道
姿勢は辛辣です。中国のマスコミは、情報統制がゆきとどいているの
で、綺麗な部分しか報道しません。また日本のマスコミも、政治問題
への影響を恐れて、報道姿勢は慎重で、および腰です。ところが香港
のマスコミは、怖いものなし。開き直って中国の問題点を遠慮会釈な
しにばしばし突いてきます。
私は香港に住んでいるので、香港のマスコミ情報に日常的に触れる
ことができるという利点があります。香港マスコミはもともと、
三面記事的スキャンダルが大好きなので、上海万博も恰好な話題の
宝庫となります。中国当局の皆さんは、由々しき事態だと思うので
すが、第三者の私としては、興味本位で眺められるので、実に面白い
です。香港に住んでてよかったと思えるのはこんな時です。
5月4日に、中国館の前で、香港のテレビ局のカメラマンが撮影して
いたカメラが警備員に壊されるという事件がありました。日本でも
時事通信の記事によれば、次のように紹介されています。
中国の上海万博会場で4日、香港のテレビ局ATVのカメラマンが
中国館入り口の様子を撮影していたところ、ボランティアの万博
スタッフが取材を妨害し、テレビカメラを壊す事件があった。
香港のテレビ・ラジオが伝えた。スタッフは「邪魔だ。撮影するな」
と叫んで、何度も手で強くカメラをたたいたため、カメラの
ファインダー部分が破損した。入場者が押し寄せて混乱する様子の
撮影を阻止しようとしたとみられる。香港メディアは中国館の入場
予約券配布をめぐるトラブルなど上海万博の混乱ぶりを連日大きく
報道。香港紙・太陽報は4日の論評で「今回の万博は中国の台頭を
示すというより、だらしなさを暴露する舞台となった」と批判し、
「整然と開催された1970年の大阪万博とは対照的だ」と指摘した。
この記事の一番上にアップした写真がその写真なのですが、こちら
に動画もあります。香港のテレビのニュースでさんざん放送して
いました。
中国館の混雑具合を取材していたらしいのですが、通行の邪魔に
なるというので何度も注意を受け、ついにはビデオカメラの
液晶画面部分を壊されてしまいます。この混乱具合は、客のほう
も管理側のほうも、取材側も、もう修羅場です。
この眼鏡をかけた緑のユニフォームを来たボランティアは
楊君という名前の青年なんですが、彼も正義感でこのような行動に
及んでしまいます。ビデオカメラを壊された香港のカメラマンは
「なんで壊すんじゃ!」と言って楊君に詰めよります。また香港
マスコミ側も複数で、別のカメラが見事に現場をスクープしてい
ます。このチームワークは見事!しかもマスコミ側の女性が、
「あんたどうしてくれるの、何か言いなさいよ!」と詰め寄る
ところも迫力満点。
別のニュースの映像も見てみましょう。基本的には同じ素材を使っ
ていますが、ニュースの纏め方がちょっと異なっています。
結局、楊君とカメラマンは警備室に連れていかれ、楊君が謝罪。
カメラマンも通行の邪魔になるようなところで撮影していたこと
を謝罪。楊君がカメラ機材の修理代と、代用機のレンタル代を
支払うことで合意したというような結果になったのだとか。
ちょ、ちょっと待ってよ。これ、ボランティアの楊君一人の責任
にしてしまう当局の上司はひどいんじゃない?楊君はあくまでも
ボランティアでやってるんだし、こんな杜撰な管理をしている
事務局にこそ問題があるんじゃないの、と思ってしまいます。
中国本土では、こんな事件はなかったことになっているので
しょうが、香港では大ニュースでした。
ついでに、こちらは香港のテレビで放映された万博初日の混乱
の様子です。
実に恐ろしい。阿鼻叫喚の地獄図です。欲をむき出しにした人間
の醜さが実に見事にとらえられています。
こちらも初日の混乱の様子です。
皆さん怒っていますね。こういうのを見るのが万博の醍醐味です。
よろしければ、こちらもついでによろしくお願いします。
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