定年後は旅に出よう/シルクロード雑学大学(シルクロードを楽しむ会)長澤法隆

定年後もライフワークのある人生を楽しみたい。シルクロード等の「歴史の道」を調べて学び、旅して記録する楽しみ方を伝えます。

シルクロードと日本人 天水で考えた 玄奘三蔵の足跡を追って

2018-10-14 11:24:52 | 中央アジアのシベリア抑留
   

講座「玄奘三蔵の足跡を踏破‥‥自転車とロバ車で天山山脈をめざす」

まで、あと1週間となった。10月21日(日)15時から、会場はJICA地球ひろば です。
詳しくは、こちらをクリックしてください。

1点気になることがあり、『シルクロード自転車西遊記』(地球と話す会ツール・ド・シルクロード編集委員会編、日中出版)を開いた。
この本は、わたしが計画した「ツール・ド・シルクロード20年計画」の1年目の記録で、1993年に西安から蘭州まで自転車で見聞した時の様子を記録している。Amazonで400円くらいよりある。


第1回目、西安から蘭州までサイクリングしたとき、参加者の大森靖子さんは、休憩の時に子どもたちと中国語で話していた。この記録(本)には、「中国生まれで、途中に連泊する天水は第2の故郷」といったことが書いてある。

数年前に、この一文が気になり満鉄会に問い合わせた(満鉄会は今は解散しています)。すると、満鉄会の方は、「天水会でしょう」という。天水会を調べて連絡をすると事務局の女性は、
「やすこちゃんの知り合いですか。一緒に西安から蘭州まで走ったんですか。靖子ちゃんは旅行の様子を会報に書いてくれたんですよ。みんな懐かしがって読んでいました」
と、サイクリングの最中に大森さんが一生懸命にメモをしていた理由が分かった。そして、
「靖子ちゃんはあんなに元気だったのに‥‥。随分前に亡くなったんですよ。いつだったかしら」
と意外な転回となった。サイクリングの時、大森さんは55歳でおかあさんと二人暮らしだった。

   

調べるとNHK出版から『留用された日本人』と言う本が出ていた。Amazonで700円くらいより.また、最近、「『満州』から集団連行された鉄道技術者たち」(堀井弘一郎著)が出ている。Amazonで3000円くらいより。留用された日本人の子供たちに取材を重ねて記録を残している。子どもたちは、すでに80歳近い。留用された日本人の鉄道技術者は、天水で約300人、家族を含めて900名ほど。天水から蘭州までの鉄道建設に携わった。約350㎞だった。

私は、熊谷に住んでいる天水会のメンバーである姉妹を訪ねて「ツール・ド・シルクロード20年計画」に参加した大森靖子さんの事を聞いたことがある。姉妹は天水で学校に通ったが、メンバーの大森さんは日本人学校のある鄭州の寄宿舎にいた。それで、詳しいことは分からなかった。ただ、天水会の発行していた会報を借りるのことができた。ただ、会報はそろていなかったことが残念だった。この姉妹は、旧姓宇野さんと言い、堀井さんの著書には宇野明さんと言う方が紹介されている。関係があるのだろうか。調べてみたい。

堀井弘一郎氏の著書には、「大谷光瑞らによる仏跡探訪の調査隊が天水にその足跡を残している」とある。満州から天水に強制的に移送された鉄道技術者が、天水に初めて足跡を残した日本人でないことがわかった。また、堀井さんは、資料を基に天水会の事を著書で紹介している。インタビューもしているのに、天水に暮らした日本人の生の声を紹介していないのは、もったいない。もっとも、鉄道技術者はほとんどが他界している。会報などに書かれたものを中心としたので、仕方なかったのだろう。これから話を聞けるのは、子供の頃を天水で過ごした世代となる。中国人と一緒に学んだ学校の事を聞きたい。とはいえ、彼らも80歳代だ。

 

天水会は、天水市を流れている藉河(シーホ)のほとりにある公園に石碑を建てて、鉄道建設に日本人が関わったことを記している。また、天水市には、日本人の鉄道技術者の子どもたちが、天水の子どもたちと一緒に学んだ小学校の敷地に伏儀中学校が建っている。また、当時の中学校は、鉄路信号廠(しょう、倉庫か)として今も使われている。天水へ行く機会があったら確かめたい。シルクロードの街と日本の間にこんなつながりのあることは、あまり知られていない。観光で天水に行ったときも、石碑を訪ねてほしい。

   

「シルクロードの現代日本人列伝」白鳥正夫著。これは、現在、シルクロードに関わった仕事や研究をしている人を紹介している。Amazonで100円くらいより。著者は、朝日新聞で朝日新聞創刊120周年記念プロジェクト「三蔵法師のシルクロード」(朝日新聞)にも係わっていた。この本は、玄奘三蔵の足跡、旅したルートを明らかにしようと、多くの学者も交えて現場に立ったりした記録。素人にもわかりやすく、写真も多いので貴重だと思う。中国とキルギスの国境にあるベデル峠のことも書いているが、「空から調査した」とある。まだ、ベデル峠に立った日本人はいないようだ。Amazonで100円くらいより。
また、この時に通訳を務めたキルギス人とベデル峠の近くまで行ったことがある。彼は「ヘリでこの辺りまで来た」と言っていた。彼に、キルギス側から見たベデルの大雑把な位置を教えてもらった。その通訳は今、アメリカにいると聞いている。
「玄奘三蔵」は、Amazonで400円くらいから購入できる。玄奘三蔵の足跡を求めて旅行するのだったら、是非ともも読んでほしい。

天水会の経緯と活動


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