定年後は旅に出よう/シルクロード雑学大学(シルクロードを楽しむ会)長澤法隆

定年後もライフワークのある人生を楽しみたい。シルクロード等の「歴史の道」を調べて学び、旅して記録する楽しみ方を伝えます。

シルクロード雑学大学 定年前に研修会を受けましたか

2018-04-16 11:40:06 | インフォメーション
   

昨日(2018年4月15日)、シルクロード雑学大学の定例会では、定年前に会社で研修会を受けたかを出席者に聞いてみた。

今年で70歳になるというYさんは、3か月後に早期退職したいと会社に申し出て、総務部と掛け合って急遽定年前の研修に参加を申し出たという。10年ほど前の話だが、急な退職だったようだ。

話の内容は、税金と年金を主とした定年後の経済面の話だった。趣味や生きがいに関する講座はなかったという。

ただし、学生時代に登山などのアウトドアに取り組んでいて、会社が忙しい時は中断していたものの、退職する5年ほど前から再開していたという。その中に、サイクリングも入っていた。それに若い時からシルクロードに関心があり、シルクロードに関する本は読んでいた。

そんなことがあり、定年後にシルクロード雑学大学に入り、トルコから西のルートに参加している。

最初に紹介している本の「定年後」(岩波書店)を開くと、
第1章 ひとりの旅立ち
第2章 仕事を創る
第3章 楽しむ、学ぶ
第4章 家族を見つめる
第5章 地域社会に生きる
第6章 終の住処
となっている。

定年後と話は変わるが、今の社会に通じるテーマが見える。

第4章の家族を見つめるの中に、大学を卒業して就職した息子が転職する話が出てくる。企業の側から語られることの多い転職だが、個人の立場に身を置いて考えれば、偏差値、倒産しない会社、聞こえのいい会社、給料のいい会社という視点で就職したが、自分が取り組みたいことと異なったり、自分を生かしているという味わい方ができなたったということだろう。もっても社会は大きく変わっており、どこの会社が生き残り、繁栄し、あるいは倒産や規模を縮小するか先が読めない時代だ。好きな仕事に取り組むことを、充実した人生ととらえる人が増えてきたように思う。

日本は、1964年の東京オリンピックの少し前までは、農業や漁業、林業を含めた自営業が圧倒的に多かった。それが急に、多くの人が大学へ進むようになり、サラリーマンになるようになった。だが、その生き方が大多数の人にぴったりしているか。ほころびが見え始めたのではないか。半農半Xという生き方が、少し前に語られるようになったが、自分に合った生き方を求める人が増えてきたように思う。

大学を出て転職し、あるいは好きなテーマに取り組むために大企業ではなく新興企業や自営業を選ぶ、そんな生き方を取材したいと思っている。企画書を出しても、大手の出版社は広告の関係から無理なテーマだと思うのだが。

定年後の過ごし方を模索していたら、上記の本を見てほしい。

シルクロード雑学大学のようなところで、他の定年退職者に過ごし方を聞いてみることもいい。

  
この写真は、定年後に夫婦でバイクで旅行をしているカップルです。奥さんはサイドカーに乗っていると話していました。ボスニア・ヘルツェゴビナのホテルで一緒になったと思います。シルクロードを仲間と一緒にサイクリングしていると、いろんな国の人が定年後にシルクロードを旅行していることがわかります。彼らのと会話も楽しいものです。



定例会のお知らせ 4月15日(日)14時30分から シルクロード雑学大学

2018-04-15 11:03:00 | シルクロードの楽しみ方
  
「大人のための自転車入門」は、Amazonで1円からある。
「自転車でカラダを鍛える MTBからママチャリまでの徹底活用」は、Amazonで1円からある。
「自転車で健康になる」は、Amazonで600円くらいより。



シルクロード雑学大学の定例会のお知らせ

日時:4月15日14時30分より

会場:JICA地球ひろば 603号室

参加費:500円

備考:誰でも参加できます。予約不要。
  主に、定年に備えて勤務先でどのような研修を受けていたか。定年後向けの講座はいつごろから始まり、どんな内容だったかを話し合います。
  8月に計画しているトルクメニスタンへの遠征の準備会議も行います。

問合せ:シルクロード雑学大学 nagasawa_horyu★yahoo.co.jp(★印を半角@マークに変更してメールを送ってください)

  

「宝くじ」の販売は視覚障害者 スペインのフランコが始めた素敵な政策

2018-04-13 09:43:44 | シルクロードの楽しみ方


昨年(2017年)、スペインの「巡礼の道」をサイクリングした。一人ではなく、シルクロード雑学大学の仲間10名ほどと一緒だった。

多くの参加者は、「巡礼の道」と並行するようにして通っている一般道を走った。舗装されており、アップダウンも少ないからだ。

 

この「巡礼の道」サイクリングの時に、「宝くじ」を買った。名刺よりも一回り大きなサイズ、1枚1・5ユーロだった。
スペインの街頭で「宝くじ」を売っているのは、視覚障害者だという。
独裁者として名をはせているフランコの時に、「宝くじ」を販売するのは視覚に障害のある人達と決めたとのこと。視覚障害者が自立するために、フランコが導入したシステムだという。販売するだけでなく、会社全体を運営する主体も視覚障害者とのこと。販売以外にも、会社の様々なセクションで、視覚障害者が各自の能力を発揮して社会の一員として活動している。

さらに、この会社は利益の面でみても優良企業であり、多くの企業に投資をしているという。障害者に配慮している企業に投資をしたり、設立に力を貸しているように聞いたが、実際は調べていない。調査はこれからの課題だ。ただ言えることは、「宝くじ」の運営や販売は視覚障害者が行っており、他の障害者にも配慮した企業をあと押ししているとも聞いた。

視覚障害以外にも、様々な障害者が自立する一助になっているのはもちろんだが、彼らの持っている能力を社会に生かすことが期待されて始まった。この考え方が国民の間で共有されている点が素敵だと思う。

フランコが考えたのは、「障害者も社会の一員として働くことが、国や社会の発展のためには大事」だと考えての事だと聞いている。日本もそうなってほしいものだ。

さて、「巡礼の道」の成り立ちを資料で読んで、わたしは昔通りに村の教会を結んでいる凸凹の細い道を自転車で走ることにした。
わたしの他に3名ほどが古いルートを選んで走った。ほとんど車が通らない。ただし、どうしても走行距離が伸びない。その分は、伴走している車で運んでもらいながら「巡礼の道」をサイクリングしたのだった。



事前に日本の気仙沼の砂浜でホタテ貝の貝殻を拾い、「巡礼の道」を歩いている人に手渡してもいる。「東日本大震災の被災地や被災者の復興も願って『巡礼の道』を歩いていほしい」と伝えた。多くの人が「いい考えだね」などと言って受け取ってくれた。
「巡礼者」の印は、ホタテ貝の貝殻、杖、ヒョウタンなのだ。

これから『巡礼の道』を歩いたりサイクリングする人には、東北の海岸でホタテ貝の貝殻を背負って復興を願ってもほしいと思う。
また、視覚障害者の自立のために、スペインで宝くじを買ってほしい。自分自身の楽しみにもなると思う。
宝くじは、毎日当選者を選んでいるという。また、マドリッドなどの都会では、歩道にある電話ボックスのような形をしたところで、地方では街頭にある雑誌のスタンドのような販売所に宝くじを並べて、脇に視覚障害者が立って販売しています。是非、声をかけてください。

日本でのこのシステムが取り入れられることを願っています。動いてくれる国会議員がいましたら、ぜひ連絡をください。地方議員も視察に訪れてください。視察の案内をしてくれる日本人もスペインにいます。視覚障害者の女性です。

「ツール・ド・シルクロード20年計画」キルギス10

2018-04-08 13:44:05 | ツール・ド・シルクロード キルギス
  

「ツール・ド・シルクロード20年計画」、中国のカシュガルからキルギスのナリンを通ってイシククル湖の湖畔にあるバリクチをめざした事は、4回ある。でも、未だに中国からキルギスへと二つの国の国境をトルガルト峠を通って結んではいない。4回目の時は、それでも高地では天気に恵まれた。

  

高原の中で暮らしている家族に食料や水をもらったり、親切にしていただいた。子供たちも素直だった。
ナリンへ向かう道は、ほとんどがダートだった。何か所か舗装しているところがあったが、軍や国境警備と関係しているように感じた。ただ、道路がよくなることで車での移動時間が短くなり、途中の集落が集団で転居するなどして少なくなっているのだという。この現象は、世界中で同じだと思う。

  

ナリンの街の中には、とても水の流れの速いナリン河が流れている。この河は、シルダリアとなり中央アジアを横断し、アラル海に注ぐのだと聞いた。だが、注ぎ込む水量が少なくなり、アラル海はどんどん小さくなっているという。アラル海で漁をしていた漁船が、干上がった草原に取り残された写真を新聞などで見る事も多い。

     

だが、岩山に囲まれているナリン、バザールには野菜も果物もたくさんて扱われている。砂漠を思わせる街を囲む風景とは違い、農産物は豊かだった。

すでに、中国とイシククル湖を結ぶ道路は、全ルートが舗装されていると思う。中国が舗装の工事を請けたと思うが、中国にとっても中央アジアなどへの交易に欠かせないルートなのだ。それだけに、車の往来が増えていると思われる。サイクリストの人も気を付けてほしい。

尚、この国境を自転車で通るには中国政府の許可が必要となる。許可を受けていない場合、国際バスでの移動を求められるかと思う。ヨーロッパのサイクリストもこのルートをめざすのだが、国境で国際バスに乗ってカシュガルをめざしている姿を見ている。尚、日本人はこの国境の国際バスによる通過でも、許可がないためにウルムチ経由でキルギスへ向かったという話を友人から聞いたことがある。このルートを通る計画のある場合には、外務省を通して事前に調べてほしい。

定年後、シルクロードを旅する基礎知識

2018-04-06 14:09:32 | シルクロードの楽しみ方
  

「定年後にシルクロードを旅しよう」と、『定年』を待ち遠しく思っていた人も多いと思う。定年を前にして、定年後の生き方に結びつく本を読んだり、各地の歴史をノートにまとめている人も多いだろう。シルクロード雑学大学では、定年後は自転車や徒歩でシルクロードを見聞して、ユーラシア大陸の東西世界の交流を実感しようと考えた。実施したのは「ツール・ド・シルクロード20年計画」という自転車旅行だった。そして記録したのが下記の書籍だった。
「シルクロード自転車西遊記」はAmazonで、400円位から購入できます。「ツール・ド・シルクロード20年計画」1年目の記録です。本の表紙の写真は、秦嶺山脈の尾根道で出会った農民です。尾根道では、雄大な風景と暮らしぶりに出会うことができました。

自転車に疲れたらバスで移動して景色を楽しむこともいい。その時にシルクロードで暮らす人たちとの会話を楽めたら、自転車以外の楽しみで旅を意味づけることができるだろう。事前に、旅行仲間との会話の時間を作ったり、事前に本を読んだりして好奇心に味付けすることも、シルクロードを楽しむためには大切だと思う。旅先での出会いを楽しもう。事前にシルクロードの歴史や旅人の記録を読んで、現地ではシルクロードの風や人を楽しんでほしい。定年後というチャンスを生かすのは、事前の準備が大切だと感じている。若いときと定年後では、時間お流れが違うことも知っておこう。

わたしが「ツール・ド・シルクロード20年計画」をスタートして参加者に声をかけたのは1993年の事。事前に「唐代歴史研究」、「陜西古代道路交通史」に目を通して、玄奘三蔵の生きていた唐の時代の交通路を調べて走行ルートを決め、中国の旅行会社に確かめていた。とはいえ、当時は中国も外国人の立ち入りを受け入れていなかった未開放地区が多く、一部のルートを変更して実施した。秦嶺山脈の尾根を走り、休憩の時にどこまでも続く麦畑を見て、農民の生活力や食や暮らしぶりに想い馳せていた。
今ではトンネルと橋でルートはすっかり変わっているが、古い時代の旅人の観た風景と苦労を体験したい。バスと徒歩を組み合わせてもいいと思う。

まあ、秦嶺山脈の峰を行き、麦畑の波を尾根道ををもう一度走りたいものだ。

  

シルクロードを旅したどんな人のルートを走りあいのか。そのルートを知るためにも「シルクロードの旅人」(長澤和俊著、徳間書店)

は読んでほしい。そんな本は持っているよ、読んでいるよという人が大半だと思うが念のために。張騫、法顕、玄奘三蔵、マルコ・ポーロ、ヘディンの旅のヨースを伝え、簡単なルート地図もある。シルクロードの旅人の当時の様子を知ることができる。定年後のシルクロード旅行のルートをや訪問先の街を決めるのに便利だ。この本から、様々な資料に触れる機会を作ってほしい。

「西域物語」(井上靖著、新潮文庫)

こちらは、シルクロード全域ではなく、中国の新疆ウイグル自治区や中央アジアなどの基礎知識を確かめたい人にぜひとも読んでおいてほしい。時代は変わっても、基本的なところは変わっていない。私たちは中央アジアのキルギスに入っている。だが、井上靖氏は、玄奘三蔵が立ち寄ったと伝えられているキルギス共和国のイシククル湖を見たかった。だが、当時、この地域を配下に置いていたソビエトの意向で見る事ができなかった。その理由は明らかになっていない。

また、西安を詳しく知りたいという場合、1週間での旅行では無理だが、「長安旅遊」(学研)
が一般の人に向いていると思う。Amazonで290円からあった。その前の2冊は、Amazonで1円から取り扱っていた。

定年後、シルクロードを調べて旅して、オリジナルのアルバムを作ったりして、自分の目で見たシルクロードもまとめてほしい。人生最後のワークとなるでしょう。

今は高速道路が多くなり、インターチェンジの近くは車の往来が危険なところが多くなっている。どうせシルクロードを走るのだったら幹線道路から離れて、田舎の道を進むことを選んではどうでしょうか。高速道路を走ったのでは、沿道からの声援も食料の補給も期待できません。もしもの事故や病気の時にも逃げ道は少ないと思います。

  

また、シルクロードはどんどん変わっています。ウズベキスタンから日本へ留学している人が「私が子供の頃に過ごしたサマルカンドは、長澤さんの写真の中にあるだけ。今は、どんどんビルが建っていて、国立や立川よりもずっと今風ですよ」と言っていた。実際に、新宿よりも高層ビルが立ち並んでいるシルクロードの都市は多い。蘭州もウルムチも『昔はよかったなあ』と私も思った。たかが20年程前しか知らないのに」。

本で読んだようなシルクロードに出会い、風景や光景を見たい歴史に触れたいと思ったら、旅に出ることを勧めます。

では、本を楽しみ思いをはせて、シルクロードの旅をお楽しみください。