定年後は旅に出よう/シルクロード雑学大学(シルクロードを楽しむ会)長澤法隆

定年後もライフワークのある人生を楽しみたい。シルクロード等の「歴史の道」を調べて学び、旅して記録する楽しみ方を伝えます。

シルクロードへと続く古代道路 東山道武蔵路1

2019-01-21 19:36:29 | 古代道路

西国分寺の近くにある古代道路、東山道武蔵路へ散歩に行った。約1300年前に道路遺跡を復元した公園だ。国分寺市には、古代道路を復元した公園が、私の知っている限りでは3か所ある。3か所はとても近い。小学校、団地の移転や造成、公園の整備の際に、約1300年前の古代道路が発見されたらしい。

 
以前、西国分寺から栃木県の壬生まで、何回かに分けてウォーキングを主宰した。参加者のひとりに、当時の日本ウォーキング協会のメンバーがいた。彼は「20キロ以上歩かないとウォーキングじゃない」「もっと距離を稼ごう」と、ウォーキングの定義を自分の足で判断していた。今夏者の好奇心もさまざま、年齢も体力もさまざま。

私の至らなさで、1回のウォーキングで15キロから20キロをあるく事になった。昨日まで開催していた写真展に、一緒に歩いたご夫婦が来てくれた。奥さんは、「そうなのよね。先を急ぐだけで、あれこれ考える時間がなかったのよ」という。その通りだと思う。このお正月、当時70歳代の参加者に年賀状を送ったが、返事はなかった。記憶に残らないウォーキングだったのか。残念なことだ。亡くなっているのなら、子どもたちから連絡がないことは悲しいことだ。1991年に一緒にタクラマカン砂漠を旅した仲間の場合、奥さんから砂漠の友人が81歳で亡くなったと寒中見舞いがあった。彼の年賀状には、毎回感謝の言葉が並んでいた。仏教にも知識が深く、それでシルクロードを旅したいと思ったのだろう。

これらの反省から、のんびりと古代道路を利用した当時の人の目線、当時の風景を考えながら、そして、建設工事も含めて古代道路がシルクロードと何らかのつながりがあったことを調べたり考えながら歩き、サイクリングしたいと思う。シルクロードを通した日本と各国の文化的なつながりを感じるウォーキングやサイクリング。今回は、その下見だ。

 

国分寺にある復元した古代道路の近くには、国分寺や尼僧寺の遺跡もある。尼僧寺の遺跡を歩いたら、陶片が落ちていた。

  

厚みのある小さな陶片は、尼僧寺と関係しているかもしれない。もう一つの陶片は、釉薬(着色のための作業)を塗っている。一緒に歩きたい人には、こういう陶片を見てもらい、時代と文化を感じてほしいと思う。

  

この遺跡公園は、子どもたちの遊び場。遺跡の事は、国分寺市の学校では小学生の時から教えているという。転勤族の子弟が多い時代、国分寺の遺跡を思い出して「ふるさと」と考える子供が増えてほしい。

 

尼僧寺の近くには、伝鎌倉街道がある。尼僧寺の遺跡を整備しているボランティアの人に聞いたら、「切り通しの上から敵を責めるために作ったのでは」とのこと。想像が膨らむ一言だった。こういう出会いと会話が、遺跡やその土地の形態から歴史への想像力を豊かにしてくれると思った。ウォーキングもサイクリングもそんな小さな旅としたいものだ。

 

JR国分寺駅の北東側に姿見の池がある。ここでも古代道路遺跡が発掘されている。版築という工法を使っている。版築は、中国では秦の時代の遺跡でも見つかっている。また、岩手県の二戸の遺跡からはガラス片が発掘され、成分分析の結果ペルシャ原産だという。小さな旅、日本の古代道路歩いたりサイクリングしながら、日本とシルクロードを結ぶ国際交流や文化交流に思いをはせたい。


参考資料は
  
「完全踏査 古代の道 畿内・東海道・東山道・北陸道」は、Amazonで800円くらいより。
「完全踏査 続古代の道 山陰道・山陽道・南海道・西海道」は、Amazonで5000円くらいより。
「ローマの道の物語」は、Amazonで100円くらいより。同じ著者の「ローマの道 遍歴と散策 道・水道・橋」は、Amazonで300円くらいより。古代の土木技術の高いことがよくわかる。
他にも数百円の新書もあるので、Amazonや日本の古書店といったサイトで調べてほしい。日本の古代道路に関する2巻には、新刊に古代道路の地図が付いていた。この地図を見ながら各県史などを調べたところ、東山道の北にある軽米という町の遺跡から5世紀のガラスが発掘されていることが判った。シルクロードを通って伝わったガラスは、日本列島を縦断して東北の北部にまで届いていた証拠だろう。シルクロードと日本列島も人の往来があり、ガラスが伝わったのだろう。そう考えて、このガラスを見たいと思って軽米を訪れたことがある。久慈の琥珀は、都に献上されていたと研究者は受け止めている。軽米を通ったかもしれない。軽米も久慈も、そして最も北にあった志波城遺跡も、もう一度訪れてみたい。

上記で紹介している資料である本の付録「全国七道駅路図」。
→→→国土交通省で紹介している古代道路

北海道、東北、関東、関西、九州など、地域の出版社や新聞社の出版物を通して、地元の図書館で資料をコピーして、地域の歴史や道、街道にスポットを当てて調べて歩いて、記録にまとめる方法もある。定年後と言っても、体力も気力も若いときの様には動いてくれない。意外と時間は短い。早くテーマを見付けて、ブログで少しづつ紹介するなどして、定年後の過ごし方を有意義な形にできるといいと思う。生きる励みになるし、同好の士が集まってくれると思う。

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古代道路を歩く 東山道武蔵路跡

2019-01-10 18:29:33 | 古代道路


一昨日(1月8日)、JR西国分寺駅の近くにある古代道路である東山道武蔵路跡へ行った。約1300年前に武蔵国分寺の脇を南北に通っていた道路の遺跡。団地の脇を南北に走っている約400メートルに渡る公園がある。時々散歩にいている。

古代道路を復元した公園は、遺跡を埋め戻した後、表面を舗装してある。公園と言っても、ブランコも鉄棒もない。ただ、舗装しているだけだ。車が通らないので、子どもの自転車の練習に利用している親子もあれば、通学路としても利用されている。幅は12メートルある。



下校途中に道路で遊んでいる中学生に聞いたところ、この公園が古代道路であることは中学校の授業で習っているのだという。
この公園の南側、約2分ほど歩いたところにも、東山道武蔵野路跡を利用した公園がある。

  
「完全踏破 古代の道」は、Amazonで800円くらいより。
「完全踏破 続古代の道」はAmazonで5000円くらいより。
「ローマの道の物語(藤原武著、原書房)は、Amazonで70円くらいより。

以前、古代道路を推理して数回に分けて歩き、栃木県の壬生まで行ったことがある。その時は、日本歩け歩け協会のメンバーも参加していて、「1日に20キロも歩かないのは、ウォーキングじゃない」などと言われ、歩くだけだった。古代道路の雰囲気を楽しみ、川を渡るときには、洪水で移動した川筋の痕跡を見ると言ったゆとりもなかった。何よりも、当時70歳代の女性もいた。自分が働き盛りで体力がある時でも、様々な人がいると年齢も歩く目的も考慮しなければならない。

今年もう一度古代道路を歩いたりサイクリングで巡り、古代の人がどんな自然の中を移動したのか、人の移動を妨げた自然はどんなものだったのか、考えたり推理したり痕跡を求め、そして記録しながら巡りたいと思う。
シルクロードを旅したら、ローマ街道を調べて大西洋に臨むロカ岬まで歴史を調べながら旅してほしい。イスタンブールにローマ時代の水道橋が残っている。街の中なので観光客はみんな見ていると思う。その他に、バルカン半島やスロベニア、イタリアやフランス、スペインの田舎道や山の中にも、ローマ時代の橋や水道橋などがある。石の文化では、具体的に古代の土木技術などを現代に残している。
中国の秦の時代の宮殿の跡から、配水管としてる使われていた陶器の配管が見つかってもいる。10年くらい前には、その配水管を下水に利用している小学校があった。今でも探せばあるかもしれない。そんな発見を求めて、定年後は、仲間と一緒に「探検」として歴史と旅と読書を楽しみたい。


「完全踏査 古代の道」の付録「全国七道駅路図」