「ツール・ド・シルクロード20年計画」、中国のカシュガルからキルギスのナリンを通ってイシククル湖の湖畔にあるバリクチをめざした事は、4回ある。でも、未だに中国からキルギスへと二つの国の国境をトルガルト峠を通って結んではいない。4回目の時は、それでも高地では天気に恵まれた。
高原の中で暮らしている家族に食料や水をもらったり、親切にしていただいた。子供たちも素直だった。
ナリンへ向かう道は、ほとんどがダートだった。何か所か舗装しているところがあったが、軍や国境警備と関係しているように感じた。ただ、道路がよくなることで車での移動時間が短くなり、途中の集落が集団で転居するなどして少なくなっているのだという。この現象は、世界中で同じだと思う。
ナリンの街の中には、とても水の流れの速いナリン河が流れている。この河は、シルダリアとなり中央アジアを横断し、アラル海に注ぐのだと聞いた。だが、注ぎ込む水量が少なくなり、アラル海はどんどん小さくなっているという。アラル海で漁をしていた漁船が、干上がった草原に取り残された写真を新聞などで見る事も多い。
だが、岩山に囲まれているナリン、バザールには野菜も果物もたくさんて扱われている。砂漠を思わせる街を囲む風景とは違い、農産物は豊かだった。
すでに、中国とイシククル湖を結ぶ道路は、全ルートが舗装されていると思う。中国が舗装の工事を請けたと思うが、中国にとっても中央アジアなどへの交易に欠かせないルートなのだ。それだけに、車の往来が増えていると思われる。サイクリストの人も気を付けてほしい。
尚、この国境を自転車で通るには中国政府の許可が必要となる。許可を受けていない場合、国際バスでの移動を求められるかと思う。ヨーロッパのサイクリストもこのルートをめざすのだが、国境で国際バスに乗ってカシュガルをめざしている姿を見ている。尚、日本人はこの国境の国際バスによる通過でも、許可がないためにウルムチ経由でキルギスへ向かったという話を友人から聞いたことがある。このルートを通る計画のある場合には、外務省を通して事前に調べてほしい。