順番
たれも知らないものが手から手の闇を通りすぎたのだ
これは何の「比喩」だろうか。
たれも知らない「もの」と書かれているが、「もの」なのか。「手」ではないのか。手と手をつなぐ。そのつないで「手」の「つなぐ」という動詞の中を、「手」というものが通りすぎる。あるいは「つなぐ」という動詞そのものが通りすぎるのだが、動詞(動き)は固定したものとして指し示すことができないので「もの」という表現になる。
そして、そのとき「つなぐ」にしろ「通りすぎる」にしろ、動詞というものは「名詞」に比べると「闇」のように暗いのだ。「ある」ことはわかる。しかし、その「ある」は光のなかで見えるようなものではない。
たとえて言えば、肉体の内部で肉体を動かしている「力」。
それは目に見えない。しかし、「ある」ことは確かだ。
私は、いったい何を書いているのだろうか。
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詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
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