詰将棋解答選手権 速報ブログ

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【チャンピオン戦出場者インタビュー】第12回 宮田敦史五段

2009年03月21日 18時00分00秒 | その他

チャンピオン戦出場者インタビュー,ラストはもちろんこの人.過去4回優勝の「スーパーあつし君」こと宮田敦史五段です.

--最初に解いた詰将棋は覚えていますか。それはいつですか。
宮田「最初に解いた詰将棋はよく覚えてないですが、解き始めたのは将棋を始めてすぐだったと思います。将棋を始めたのは確か小学2年です。他の所でそう答えたので、恐らくそれで合っているかと」

--詰将棋にのめり込むことになったきっかけは?
宮田「解き始めたのは小さな子供の頃だから、そんなに深い事、難しい事は考えてないと思います。自分に合ってるとかそういう風に考えていたのではなく、本能なんだと思います…ちょっと長くなるんですけど、いいですか?」

--はい、もちろん。
宮田「一桁の年齢の時以来、5年間以上も毎日ジャムサンドとホットミルクしか飲み食いしていないという少年がいたそうなんです。その子も深い理由があってそうしていたのではなく、ただそうしていたという…詰将棋が面白い、ジャムサンドが美味しいというのはあったと思いますが、やはり少年ならではの本能という気がします」

--本能…すごいですね。では、例えば1日あたり、どれくらい詰将棋を解いていますか。
宮田「ひょっとしたら全くやらない日も…やらない日は新聞の簡単な詰将棋を1問やって終わりかな。だから1分くらい? 長い日はそりゃほとんど一日中。寝たり食べたり以外はやっているという日もありました。でもまあ、そういう日は珍しいです。一ヶ月に一度くらい」

--詰将棋パラダイス一冊、最短どれくらいで解いた事がありますか。
宮田「2009年1月号は、全ての問題を1日で解きました。普通の詰将棋も、フェアリー(※1)も、推理将棋(※2)も全部。それ以前に1日で解いた事は…多分無かったと思います。あるとしたら、奨励会の頃でしょうね」

--なぜ速く解けるのですか。自己分析をお願いします。
宮田「手数を考えて、この変化は違うのではないかと判断して捨てる事はあります。これが作意だと思ったら、一直線で進む事もあります。ただし、作意がわかったあとに必ず確認はしますが。問題にもよりますけど、私はまず目についた手から読んでいます。よっぽど冴えているときは、詰み形が先に見える事もありますが、30手を超えるような問題では無理です。読むスピードが速いか、判断が速いかですか? うーん…(1分経過)。…速い時は、速く見えちゃうという感じなんですよ。最近出された問題で、速く解けた時があったんですが、なんとなくこうかな?というのが全部当たってたんです。自分でこうやるとかいうルールは特にありません。なぜ速く解けるか…見えちゃうから…わからない。指し将棋の第一感みたいなものかもしれない。以前、奨励会旅行のバスの中で詰将棋を出された時に、自分が一番速く解けた事があったんです。それで手順を言ったら、後ろの方から『そこに捨てる手が見えなかった!』って声が聴こえて。自分は速く見えたんです。
 そうそう、例えば駄洒落とかも子供は気付くのが速いらしいんです。それを子供に訊いたら、だってわかっちゃうんだもん!と答える。そういう感じ。手数の短い問題、だいたい11手くらいまでは知識の蓄積が大きいというような気もしますね」

--詰将棋の解図スピードは年齢を重ねるごとに落ちていきますか。また、自分はスピードが落ちたと感じる時がありますか。
宮田「調子の良し悪しはあります。ただ、三段の時と四段に上がった頃を比べたら、四段に上がった頃のほうが落ちたなという感じはしました。でもそれは、もしかしたら問題の質が上がったという可能性もあります。その後も三段の頃より解けていたと思うこともなかったので、三段の頃がひとつのピークだったのかもしれません。でもやはり、速い遅いは調子の問題もあります」

--創作はしますか? 作るとすれば、解く時との感覚の違いはありますか。
宮田「創作はしますが、最近は自分から作ろうと思って作る事はなくなりました。依頼があった時か、もしくは実戦を元に図面化しようかなというくらい。ストック数は…小さい本なら出せると思います。数字でいえば…100は厳しいかな。創作と解図は、そりゃ違うでしょうね。創作は手順から始める場合と、形から始める場合があって、手順からだと解図とは全然違うでしょう。
 形で作る場合の方が解図に近いでしょうか。形で始めてうまくいかない時には、最初の形を変えていく事もあります」

--詰将棋が無くなったら、今まで詰将棋に費やしてきた時間を何に使いますか。
宮田「そんなの詰将棋が無くなった以外は何も変わらないですよ(笑)。普通に生活していくだけです。詰将棋をやるのと同じくらいの時間を、次の一手などに費やすというわけではないと思います」


【今大会について】

--過去は出場した大会は必ず優勝。今回も優勝しなければのプレッシャーはありますか。
宮田「はい。プレッシャーはあります」

--今大会、ライバルと目しているのは? また--今大会に参加している、していないを別にして、密かに「この人は自分より速いのではないか」と思っている人はいますか。
宮田「今大会のライバルは…そりゃ、やっぱり谷川先生。それと前々回のチャンピオンの北浜さんに、前回同点で時間勝負になった奨励会の黒川君。あと若島正さんが出場したら、間違いなく負けると思います。若島さんは自分が作った詰将棋を解いてもらう方が楽しいのか、それとも自分が出たら(周りが)ひどい目に遭うから遠慮しているという事なのか(笑)」

--解答選手権に向けて特別な対策はしていますか。
宮田「特に何もしてません。タイムトライアル的に時計を使ったり、解く問題数を増やしたりという事もありません」

--昨年の問題についての感想を。
宮田「あれは…もう少し時間があればどうにかなるというものではないです(笑)。正解者無しが2問もあったのですから、ちょっと難しすぎましたね。1問ならまだしも」

--優勝と全問正解。どちらかだけとしたら、どっちが欲しいですか。
宮田「(しばらく考えて)…全問正解です。いや、口ではそう言っていても、ちゃんと確認する前に解答を出してしまうかもしれません。そのあたりは実戦心理というか…。自分より先に誰かが解答を出しにいったら?気持ちでは焦るだろうけれど、必要以上に焦らないようにしたいです」

--初級戦や一般戦の参加者へのアドバイスを。
宮田「初級の方は、いきなり難しい問題に挑戦するのではなく、1手詰から解いた方がいいです。1手詰を正確に、段々速く解けるようになったら、3手詰。そして5手詰へ。手数の短い詰将棋は、基本的な問題を多く解いた方がいいです。角をどこにどかして開き王手するかというものより、金頭桂のようなものを多く。最初の内は速く解くより、正確に解く事を心がけた方がいいと思います。解図法としては、例えば7手詰で持ち駒が4枚なら、攻方の指し手は全て駒を打つ手になります。打つ以外の手で詰んだら余詰か変化なので、そういったものを捨てることで速く解く事ができます。
 作意だったら、全部持ち駒を打つ手。少なくとも初手は持ち駒を使う。そういった絞り込みをします。それから、なんでこんなところに駒がいるのかな?と考えるなど、盤上からヒントを導き出すのが、速く解くコツだと思います。詰将棋をやっていて楽しいのは、やっぱり閃いた事ですね。閃いて、読みがどんどん進んでいく時が楽しい。これで合っていそうだなという時が楽しい。うん、楽しいです」

※追記
インタビューの数日後(3月2日)に、宮田さんから連絡がありました。
「詰パラ一冊を最短でどれくらいで解いた事があるかと言う質問ですが、3月号(今年)も、フェアリーと推理将棋を含めて全部一日で解けました。あと、3月号は6時間半で全部解け、1月号はもっと掛かったので、最短記録を更新しました(笑)」

(インタビューは2月27日。東京・将棋会館にて。インタビュアー:後藤元気)

(※1)フェアリー…詰パラのコーナー「フェアリーランド」の事.「フェアリー」とはばか詰・安南ルールなど,通常の詰将棋とはルールが異なる変則詰将棋の総称.
(※2)推理将棋…会話などで条件をいくつか提示して,指し始めからその局面までの棋譜を問う問題.初期には「将棋プルーフゲーム」と言われていた.問題作成が本格的に始められてからまだ2年ほどの新しい分野である.

【過去の成績】
第1回…優勝
第2回…優勝
第3回…優勝
第5回…優勝

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1 コメント

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記事、おもしろいです (指さない将棋ファン)
2009-03-28 23:38:18
Keyさん
以前、Keyさんのご本宅の方で、このブログでどのような記事が読みたいか、というアンケートがありましたが、あの時私がお願いした内容に、ばっちり適合した記事ばかりで、いつも楽しんでいます。今回のエントリも、宮田五段の詰将棋力の凄さがド素人にもひしひしとわかる内容で、とてもおもしろく読みました。『詰将棋パラダイス』については、うわさにしか聞いたことはありませんが、ようするに、大学受験のときの『大学への数学』(おわかりにならなければ失礼)みたいな、この世のものとは思えない難問ばかりが出ているとんでもない雑誌と理解すればよいのですよね。渡辺竜王が、一問六時間半かかることがある、とおっしゃっている雑誌を、六時間半で一冊とは!と、素朴に感動しつつ、野次馬的にエンジョイしております。

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