ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

あべのハルカズBAR 119ページ目  DX妖怪ウォッチのオークション3000件

2014-08-12 05:57:57 | あべのハルカズBAR1 四話 完
【119ページ】



「ああ、DX妖怪ウォッチ零式という子供用のおもちゃだ!

サーチライトが点滅したり、160種類もの妖怪の声を聞く

ことができるそうだ。定価は3,200円。」



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 編集委員10人は、妖怪ウォッチをしげしげと見つめる。


「これも先程の金貨と同じで、表面だけを見てしまうと

子供のおもしゃで終わってしまう。

実は、」


 平山は、ここで言葉を止めて、編集員達の注意を引きつける。


「実はね、本物の妖怪を呼び出してしまったのだよ。

金の亡者という妖怪が子供の楽しみを食っちまっているんだ!

これは、今品切れ中で、多くの子供が買いたくても買えない状況だが、

その品切れに拍車をかけているのが、買い占めて転売している大人達。

今朝、ヤフーオークションでDX妖怪ウォッチ零式を検索すると、なんと

3,000件以上出品されていた。それも6個セットでの出品もあった。

それは入札中で、6万円以上の値段がついていたよ。定価の3倍以上だ!」


 平山は、ここまで話すと、妖怪ウォッチからメダルを取り出した。

メダルを取り出しても、妖怪ウォッチの点滅が消えたままだ。


「私を襲ってきた妖力が消えた」と平山は心の中で呟く。


「諸君に言いたいのは、今日から平和新聞は、表面だけ見て記事にしないと

いうことだ。

その第一弾として今週中に、各自スケジュールを調整して、出張で

靖国神社を参拝してきてほしい」

あべのハルカズBAR 118ページ目  へびが天井から

2014-08-11 23:40:47 | あべのハルカズBAR1 四話 完
【118ページ】



「平山社主!」


 朝比奈が手をあげて、発言を求めた。


「しかし、憲法九条は本物の金貨で、日本の平和を守ってきた

可能性もある」

「そうだ!そうだ!」

「今日の平山社主はおかしい!」


 編集委員が各々発言し出した。


「自衛隊自体が憲法違反だ!」

「首相、閣僚の靖国神社への参拝反対!」

「政府は、慰安婦の強制連行を認めろ!」

「竹島は韓国領、尖閣は中国のものだ!」

「日の丸、君が代反対!」


 彼らの叫び声に呼ばれたように、天井からヘビがバタバタとテーブルに落ちて来て、

平山社主に向かってくる。


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平山が、妖怪ウォッチを見ると、激しく点滅していた。


「やばい!」


 彼は、すばやくメダルを取出し、妖怪ウォッチに差し込む。


「あれ?平山社主、今日はいつものロレックスではなく、何の時計ですか?」


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 平山は、腕時計をはずして、皆に見せる。


「この時計は何だと思う?」

「おもちゃの時計ですか?」

あべのハルカズBAR 117ページ目  金貨の中身がチョコ

2014-08-09 07:00:26 | あべのハルカズBAR1 四話 完
【117ページ】



「えっ?金貨ではないんだ!」

「それは金貨ではなかったのですか?」


 編集委員が口々に叫んだ。

平山社主は、彼らに金貨を裏返して見せる。


「裏面は銅貨になっています。

私も含めて、ここにいるメンバーは、誰も手に持って、裏面を

確認しなかった。」


 平山は、突然金貨を両手を持って、折り曲げた。


「あっ」


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 編集委員から驚きの声があがった。


「金貨だと思っていたのは、中身はチョコレートだった。

我々平和新聞は、憲法九条を守ることを信念として、活動して

きた。それで70年間日本の平和を守ってきたと自負していた。

もし憲法九条がこの金貨のようなものだったら?」


 平山は、編集員全員の顔を見つめてから話を続ける。


「憲法九条の表面は戦争放棄で、確かに日本は70年間侵略戦争を

起こしていない。しかし裏面は軍隊を持たせない無防備の顔である。

そして、憲法九条を折り曲げて割ってみると、日本の平和を守ると

いう金ではなく、中からチョコレート出てきて、実は日本を危険な目に

合わせていたかもしれない。」




あべのハルカズBAR 116ページ目  一面四猿の人 

2014-08-07 06:58:17 | あべのハルカズBAR1 四話 完
【116ページ】



 10時になり、緊急会議が開かれた。

「今日は、忙しい中、急に集まってもらって申し訳ない。

知人から、ある話を聞いたあと、急に先日の会議の議題であった

読者の声が気になりだしたのです。

知人の話というのは、お客様のクレームを買い取る会社があるという

内容でした。」

「クレームを買い取る?」


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 編集委員からざわつきの声があがった。

平山は、咳払いをして話を続ける。


「そう、クレームをお金で買い取るのだ!

そのクレームを項目ごとに分類して、商品開発や販売方法の提案など

を企業にフィードバックするそうだ。

我々は、お金でクレームを買わなくても、読者の声を聞けるではないか!

しかし、平和新聞の『読者の声』に掲載された声以外は活用していなかった。

いや、平和新聞の方針、社説とは違うということで、無視してきた。」


 平山は、先ほど編集委員10人に見せた金貨を取出し、手を上げて

全員に見せた。


「知人は、『これは何ですか?』と質問し、私は『金貨です』と答えた。

皆さんは、もう少し、詳しく答えてくれましたが、やはり金貨だと答えた。

しかしこれを金貨だと答えた人は、物事を一面しか見ない人、聞かない人、

言わない人、考えない人の一面四猿の人だと言われたのです」


あべのハルカズBAR 115ページ目  編集委員に金貨を見せる 

2014-08-07 06:19:25 | あべのハルカズBAR1 四話 完
【115ページ】



 平山社主は、安倍 晴喜が帰った後、平和新聞の編集委員10人に、

明日の月曜日の朝10時から緊急の会議を開催することをメールで

連絡した。又会議の前に、9時40分から順番に社主室に来るように

伝えた。


 月曜日の朝、9時40分に、一人目の編集委員が社主室を訪れた。


「おいしいコーヒーを秘書に入れてもらったから、これを持って

会議室で飲んでください。

ところで、これは何だか判る?」


 平山社主は、一枚の金貨を朝比奈に見せた。


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「これはカナダ王室造幣局発行のメイプルリーフ金貨ですね。

1オンスの重さで、99.99%の純度を誇っているそうですよ」

「そうか、ありがとう。

それとメールで連絡したが、前回の読者の声についての資料を

もう一度用意してくれた?」

「はい、11部とプロジェクターで見ることができます。」

「会議室で、コーヒーを飲んだ後、準備を頼む」

「はい」


 朝比奈が社主室から退出すると、二人目の編集委員が入って来た。

そして金貨を見せながら、平山は同じ質問をする。

その後も同じように編集委員全員に金貨を見せた。