ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 157ページ目 ロワール川巡り② 

2012-08-12 22:29:21 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【157ページ】


「マスター、今夜のソーミュールのワインおいしかったわ!

次のロワール川巡りは、古城が点在する美しい風景のトゥーレーヌ地区かしら?」

「その予定です。トゥーレーヌのおいしいワインを楽しみにしてください」

「ワインでロワール川巡りをしていると、本当に皆で行きたくなった!」

「私は、仕事があるのでたぶん行けないでしょう。

その時は、和さんに案内役と旅行のパートナーをお願いします。」


良子は、パートナーという言葉に少し顔を赤らめた。


「この前、ロワールのワイン関係者とも親交があるので、紹介していただけるとのこと

でしたが、一人で行くのは心細いわ!」

「いつでも案内させていただきますよ!」



※ワインバーでのひとときファースト(改訂)が完了しました。

次回の記事からは、ワインバーでのひとときセカンド(改訂)になります。

ワインバーでのひとときのシリーズアイデア集は7話構成でしたが、改訂のシリーズは4話構成で考えています。

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 156ページ目 ロワール川巡り② 

2012-08-11 22:00:09 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【156ページ】


「ソーミュールの赤ワインのブドウ品種は?」


良子がマスターに訊いた。


「ボルドーワインの名脇役のブドウ品種と言えば?」


マスターが逆に田辺に質問を返した。


「ボルドーワインの主役は、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロで、名脇役はカベルネ・フランだと思うけど?」

「ソーミュールの赤ワインは、カベルネ・フランが主役で、率直にその個性が味わえるのです。」

「和さん、飲んでもいい?」

「ええ、マスター!二人にソーミュールの赤を入れてください!」


マスターは、ソーミュールのシャンピニ地区で造られる赤ワイン、すなわちソーミュール・シャンピニを抜栓し、

二人のグラスに注いだ。

ソーミュール・シャンピニは、ただのソーミュールの赤ワインよりも格上になる。


「とてもおいしいワインね?」

「このカベルネ・フランは、おいしいのが欠点かな?」


和音は、ソーミュール・シャンピニを飲んだ後、つぶやいた。


「ええ?どうして?」


良子は、和音がつぶやいた意味が理解できなかった。


「カネルネ・フランは長期熟成にも向いている品種なのだが、若い頃からおいしく飲める。

だから熟成される前に飲まれてしまうのだよ。」

「熟成された本当のカベルネ・フランの実力を知る機会がすくないというこですね?」

「そういうことです。」と和音が言った。

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 155ページ目 ロワール川巡り② 

2012-08-07 21:09:01 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【155ページ】

テーブル席の丸山と仲間の話題は、スーパーのワイン売場に移っていた。


「最近のスーパーのワイン売場は、魅力がないねえ!」


丸山は嘆きながら言った。


「酸化防止剤無添加のワインばかりになってしまった!最近の傾向は、

料理に合うワインの提案ということで、国別や赤白関係なしにアトランダムに並べている!」

「俺もそんな売場見たことがある。」


丸山の仲間も相槌を打った。


「和食に合うワイン、イタリアンに合うワイン、中華に合うワイン、女子会に合うワイン、ヘルシーワイン

といった具合に並べていた。」


「ワインと料理のマリアージュという言葉がよく使われるが、私はその言葉は嫌いだ!」

「丸山ならどう表現する?」

「ワインと料理のロマンス! このワインはこの料理に合うといった具合に限定しないで、

いろんな料理とロマンスを楽しめばいいのだよ!」



「ソーミュール・ムスーは、初めて飲んだけどおいしいわね?」

「ロワールスパークリングワインと言えばヴーヴレが有名だったが、最近ソーミュール・ムスーの方が

人気がでてきているのです。」


マスターが良子に説明した。


「次はソーミュールの赤ワインです。

ロワールの赤ワインの中でももっともコクがあると言われています。」

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 154ページ目 ロワール川巡り② 

2012-08-06 20:48:51 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【154ページ】


「このワインのおおかみのような力強さ、迫力に一瞬圧倒されそうになったの!

しかし、このワインの余韻からは、若々しさや初々しさが感じられ、おおかみではなく、

おおかみのこどもだったのです。」


良子は、再びワイングラスを手に取り、飲み干した。


「これから熟成すれば、すばらしいおおかみになりそうだわ!

マスター、このワインをマリーナヴィレッジのハウスワインとして使いたいから、

大量に仕入れできないかしら?」


マスターは、笑っているだけであった。


「このワインもボルドーのプレミアム? もしかして、メドックの格付け・・・・?」

「メドック五大シャトーワインのひとつシャトー・マルゴー2005年です。」

「これが最高評価を受けたというシャトー・マルゴー2000年?

マスター、貴重なワインありがとう!」


マスターは、笑顔でうなずいた。


「良子さん、今夜もロワール川巡りしませんか?」


和音が、良子にロワールのワインを誘うと、


「ええ、ぜひ。 さっそく船長に案内してもらいましょう。」

「今夜は、ロゼワインのアンジュ地区から上流に上って、ソーミュール地区を案内します。」


マスターは、スパークリングワインを一本取り出した。


「ソーミュール地区では、36の村から赤、白、スパークリングワインと多彩なワインが

造られています。最初の一本はソーミュール・ムスーという軽いスパークリングワインです。」



ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 153ページ目 ロワール川巡り② 

2012-08-05 21:40:59 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【153ページ】

和音は、スロヴェニアの地場品種ソーヴィニヨナスの白ワインのラベルを見せた。


「マスターは、おしくて、珍しいワインを見つけるので感心するわ!」

「褒めてもらったので、赤ワインで珍しいワインをサービスします!」


マスターは、和音から馴染みのお客にサービスしてあげてと手渡された

シャトー・マルゴー2005年を抜栓し、グラスに注いだ。


「田辺さん、どうぞ!」

「私だけいただいてもいいのかしら?」


和音とマスターは同時にうなずいた。


「では・・・・」


良子は、グラスを手に取り、一口飲んだ。


「とてもおいしいワインだわ! これボルドーワイン?」


マスターは、笑みを浮かべてうなずいた。


「ここに入る前に、店内でおおかみのこどもが映されているのしばらく見ていたの。

今このワインを飲んで、あのおおかみのこどもに似ているとふと思ったわ!」

「おおかみのこどもですか?」

「おおかみのこども?」


 マスターは、どうしておおかみのこどもに例えたか知りたいと思い、

和音は、彼は話題の映画が映されているのを見たのだが、良子さんは何を見たのだろう?と

疑問に思った。