ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 152ページ目 ロワール川巡り② 

2012-08-03 20:49:14 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【152ページ】


 良子が奥のドアを開けると、そこはワインバーになっている。


「いらっしゃい!」


美紀が挨拶をした。


「こんばんは! おおかみのこども可愛いわ!」

「和音さんもじっと見ていたわよ!」

「そう?」


良子は、カウンターの奥に座っている和音に近づき、笑顔で話しかけた。


「こんばんは! 横に座ってもいいかしら?」

「もちろん!」


良子は、和音の隣に腰かけた。


「何のワインを飲んでいるの?」

「マスター、グラスをひとつお願いします。」


マスターがワイングラスを二人の前に置くと、和音はボトルを手に取り、グラスに注いだ。


「飲んでみて」

「アンズ、トロピカルフルーツの香りにミネラルや草のスパイス。」


良子は、グラスを口元に近づけ、一口含む。


「はつらつとしたとした酸味、フレッシュな柑橘のような爽やかでバランスのとれた味わい、

これはスロヴェニアのワインかしら?」

「さすが、勉強家の良子さんだ!」

「いえ、このワインは初めてだったの。 店内に入った時、今日のお奨めのボードのワイン名が

ちらっと目に入って、それでは?と思っただけ」