ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

3 ピアニストの音符 120ページ目

2009-12-25 23:24:23 | ワインバーでのひととき1~5アイデア集
【120ページ】


ピアニスト  あっ! 待ち合わせに遅れないように、時計を15分進めて

       いたんだ!


彼女は、にこやかに微笑んだ。そして彼の持っている楽器店の紙袋に気づいた。


令嬢     ここに来る前に、どこかに寄っていたのですか?

ピアニスト  楽器店に寄っていたのです。

       ここで食事した後、馴染みのお店にお誘いしたいのです。    

       そこには、ピアノがあるので、ショパンの曲を聴いていただきたい

       と思っています。

       それでショパンの曲を探していたのです。

令嬢     いい音符買えましたか?

ピアニスト  はい。

       我々にとっては、ありふれたドレミの音符でも、ショパンが並べ

       ると名曲になるものですね?


そこで、川辺は深いため息をついた。


社長     特にダメな一言はないですが?

ピアニスト  これは、彼女の音符買えました?という問いに、こう答えればよか

       ったと思い続けている返答なのです。 

       実際は、無神経にも楽譜のことですか?と聞き返してしまったので

       す。

       すると、彼女の顔から笑顔が消え、その場がシーンと凍りついて

       しまったのです。