ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

あべのハルカズBAR 58ページ目  青い花のアジサイ

2014-06-13 23:38:49 | あべのハルカズBAR1 四話 完
【58ページ】



 晴数は、龍守旅館に運ばれると、意識が戻り、

消化の良いとり雑炊を食べ、温泉で軽く汗を流した後、

夕方まで眠った。


 夕食は、龍谷の間でゆっくりとった。

龍守夫妻は、昨夜の状況を聞きたいと思っていたが、

黙って食事の世話をした。


「おじさん、午後6時に出発すると、静谷さんに伝えて

おいてください」

「今夜も行かないといけないのか?」

「はい。それと新しい懐中電灯も用意するようにお願いします。」


 龍守夫妻が部屋から出て行き、晴数は何気なく部屋を見まわすと、

花瓶に青い花のアジサイが生けられていた。


「今夜は、彼女を連れて行こう」


 晴数は、龍守夫妻が用意してくれた衣服に、浴衣から着替えて、

花瓶の青い花のアジサイを抜いて一階に降りて行った。

龍守夫妻に軽く会釈をして、玄関を出ると、静谷が待っていた。

静谷は、晴数の手に持っている青い花のアジサイを見てニヤリと

笑う。


「晴数兄さん、その青い花のアジサイ生けたの俺だよ!」

「それじゃ、静谷の希望に答えて、青いスカートのかわいい女の子を出そう」



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あべのハルカズBAR 57ページ目  晴数と龍神の闘い 

2014-06-13 20:12:42 | あべのハルカズBAR1 四話 完
【57ページ】



 晴数の身を守っている結界に、龍神がぶつかった衝撃で、

彼は地面に叩きつけられる。


 晴数は、すぐに立ち上がって、動きを封じる呪文を唱える。

しかし、それも一瞬。

再び龍神が襲いかかってきて、晴数は地面に打ちつけられた。


 一晩中、龍神に動きを封じる術をかける、一瞬動きが止まる、

龍神が襲いかかる、その繰り返しであった。


 朝日が昇るころ、晴数は最後の力を振り絞って、龍神を元に戻すと、

そのまま倒れて、結界も解けてしまった。

式神の女子高生の結界も解けて、そこには懐中電灯と萎れた赤いアジサイ

の花が残っていた。


 パジェロに乗った龍守 静雄が、スカイタワーに着くと、晴数を探した。


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「龍神はいない・・・・

晴数はどこに行った?」


 静雄は必死に辺りを探す。

やっと、スカイタワーの裏側の下で倒れている晴数を見つけると、

何度も地面に叩きつけられて、すり汚れた衣服に驚く。

静雄は、すばやく晴数に近づき、彼の口に、耳をあてる。

「生きている!」


 静雄はホッとした表情を浮かた。


あべのハルカズBAR 56ページ目  パナマ帽の客がナイフで 

2014-06-13 19:45:14 | あべのハルカズBAR1 四話 完
【56ページ】



「お釣りはいらないよ」


 パナマ帽の男は振り向いて、出口に向かって歩き、

ドアノブに手をかけた。

その時突然、彼の意識を縛っていたものから解き放された。


「俺は、女になるために、金を奪いに来たのだ」


 彼は、心底から怒りがこみ上げてくると、ナイフを出しながら

3姉妹の方に振り返った。


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「ふふふ、お遊びはここまでだ!

マスター室の金庫を開けてもらおうか。

抵抗すれば、3人の命はない」


 3姉妹の顔は青ざめ、呆然と見つめあった。


「晴数お兄様に何か・・・・」


 3姉妹の心の中は、心配と不安でいっぱいになった。


「早くしろ!

言う通りにすれば、殺さない」


パナマ帽の男は、カウンター内に入り、ナイフを3姉妹に近づける。

その時、ナイフを突き出した右手首にハンマーに打ち殴られたような衝撃

が走り、彼はナイフを床に落として、蹲(うずくま)った」



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「晴数お兄様は大丈夫よ」


 3姉妹は、ほっとした表情を見せた。