ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

あべのハルカズBAR 61ページ目  アードベッグコリーヴレッカン57.1度

2014-06-16 11:37:51 | あべのハルカズBAR1 四話 完
【61ページ】


 あべのハルカズBARでは、酔っ払いの客が一人残っていた。

彼は、開店からずっと飲み続けて、カウンターに頭をつけて

寝ていた。


「お客様、そろそろ閉店の時間ですが」


 香菜が、客に声をかける。

客は、頭をもたげて、返事するが少し呂律(ろれつ)がまわらない。


「も、もうそんなしかんか?」

「はい、午前2時前です」

「も、もう一杯。アード、アードなんとかの度数の高いやつ。

これを飲んだら帰るから・・・・」


 香菜は、アードベックコリーヴレッカン57.1度をグラスに入れて、客の前に置く。



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 彼は、それを手に取り、水を飲むかのように、飲み干す。


 色や香りや味も楽しまず、そんな飲み方されたらアイラのアードベッグが可哀そうだ

と3姉妹は思った。


「ごちそうさん!

か、勘定を頼みま・・・

ちょ、ちょっとお手洗いに・・・・」


 客は、ふらつきながらトイレに向かうが、その途中で、チラッとドアの位置を

確認する。

トイレから出てきた客は、ふらついてドアの方に倒れかかった。


あべのハルカズBAR 60ページ目  ゴキブリの矢

2014-06-16 07:14:24 | あべのハルカズBAR1 四話 完
【60ページ】



「女性を山奥に連れて、どうするつもりだ!」


 4人組のリーダーらしき男が咎めた。


「女性?」


 晴数の手には、懐中電灯と青いアジサイの花が握られている。








「この辺りは平家の平維盛(たいら の これもり)の侍女の幽霊が出るらしい。

私達は、肝試しに来たのだが、幽霊が近くに立っていたのか?・・・」


「肝試しをしている間、パジェロを貸してくれないか?

俺達の車が故障してしまって困っている。」

「貸してあげてもいいが、君達の車のキーを預かってもいいかな?

パジェロを乗り逃げされたら我々も困るからね」


 静谷の返答に、4人組の顔は悪鬼のように変わった。


「怪我をしたくなかったら、車のキーと金を手渡すのだな」


「ゴキブリ!」と晴数が大声で叫ぶと、4人組が一瞬ひるんだ。


 静谷は、4人組みに向かって、無意識にゴキブリを投げつけていた。



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 彼らは、矢が次々に額に当たったと思い、喚き声をあげながら

車の方へ転げるように逃げて行った。

逃げる彼らの頭に向かってゴキブリが襲い、再び矢が突き当たる。

4人組は、頭の後ろを手で押さえながら、「ギャー」と泣き叫ぶ。


「ゴキブリの式神を使えたじゃないか」

「無意識のうちに呼び出していた。」