ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

あべのハルカズBAR 12ページ目 晴数のブログ 42号線から424号線へ

2014-05-15 22:45:29 | あべのハルカズBAR1 四話 完
【12ページ】


「何人も登ってくるよ」


 三段壁は、アドベンチャーワールド、千畳敷、円月島等と共に

白浜の有名な観光スポットであるが、昔は自殺のスポットとしても

密かに知られている場所であった。


「あっ、一人が崖を登ってこっちに来る!」

「よし!、車まで走って逃げよう!」


 父親と息子は、車に駆け込み、すばやく車のエンジンをかけた。


「まだ追っかけて来てる?」

「もう大丈夫みたい」

「そうか」


 父親は、アクセルを踏み、車を走らせた。

彼らは白浜から国道42号線を通り、梅の産地の南部で424号線へ折れる。

そこから山道を通り抜け、和歌山の手前の海南に出るつもりであった。


 ヘッドライトをつけ、真っ暗な山道を走っていると、前方で二つの目が光っていて、

いきなり道を横切った。


「今のは何?」

「たぶん、うさぎだろう」


 父親は、動物がまた飛び出してくるかもと思い、車のスピードを落とした。


「お父さん!」

「何?」



【和歌山 特産】 梅のヤマイチ本店 「香梅漬(こうばいづけ) 500g」※県内南部産農家指定 南高梅のみ使用
クリエーター情報なし
梅のヤマイチ本店

あべのハルカズBAR 11ページ目 晴数のブログ ちょっと怪奇なお話

2014-05-15 20:29:31 | あべのハルカズBAR1 四話 完
【11ページ】


 晴数は、ブログの記事を書いていた。

ブログタイトルは『ちょっよ怪奇なお話』である。


 父親と小学4年生の息子は白浜の三段壁に立っていた。

彼らは手をつなぎ断崖の下の海を1時間ほど見つめていた。

父親の右手には、那智大社のお守りが握られている。


 一週間前の日曜日、家の3階の部屋が物置のように物で溢れて

いたので整理した。

父親は那智大社のお守りを偶然見つけ、ポケットに入れる。

そして彼は処分する扇風機を持って、階段を降りようとした。


「あっ・・・」


 足を滑らせた彼は、スローモーションのように体が落ちていくのを感じた。


「やってしまった! 俺はお終いかな?」


 気が付くと、扇風機を持ったまま、足を伸ばして座っていた。

父親は、階段をすべり台を滑るように落ちたのだ。

彼はポケットから那智大社のお守りを取出し、このお蔭だと思った。


 小学4年生の息子は、父親の左手を急に強く握りしめた。


「何か見えるのか?」

「崖の下から人が上がってくるよ」

「父さんには何も・・・」




ポストカード「和歌山県熊野那智大社 那智大滝」フォトカード絵葉書はがきハガキ葉書postcard
クリエーター情報なし
株式会社アトリエミキ