星降るベランダ

めざせ、アルプスの空気、体内ツェルマット
クロネコチャンは月に~夜空には人の運命の数だけ星がまたたいている

虫を捕る少年

2007-10-15 | NO SMOKING
蝉の声で目覚めた夏休み、近くの緑道を通ると、虫捕り網を持った少年3人組を、ほぼ毎日のように見かけた。
いつか「君たち、そんなに捕って、その蝉どうするの?」と聞こうと思っていた。
ある日、その中の一人が、捕った蝉を放してるのを目撃した。

彼らがそこにいることで、うるさい蝉の声が、そこにあってしかるべき存在に、思えてくる。少年達のいるところには蝉の声はなくてはならない。彼らは青い空に白い雲と同じような組み合わせだ。

そして昨日、季節は10月の半ばなのに、あの蝉を放した少年は、まだ虫を捕っていた。

       

紫の種がいっぱいついたランタナの茂みが美しくて、カメラ向けてたら、
突然背後で、「あっ、カマキリの幼虫!」という少年の声がした。
スダチの木の枝を指さしてる。
「どこ?」「ここ」…指さした枝の中程にモコッとした塊がついている。
「写真撮っていい?」「うん、ええよ」
焦りながら、彼の指さす場所に向かってシャッターを押した。

       
(ピントしっかりずれてる)

すぐに「もういい?」と聞いて、私がうなずくと、少年はその枝を折って、今日も持っていた大きな虫かごに枝ごと、大切そうに、入れた。
幼虫(卵鞘=らんしょう)だけでなく、枝ごと持って行く彼は、きっと大切にカマキリを育てるのだろう。カマキリ○号なんて名付けて。

夜のベランダに出ると、いろんな虫たちの声が聞こえる。
今頃、今日の収穫に満足して眠ってる君の耳には聞こえてないだろうなぁ。
幼い頃に、虫と親しんだ君の世界観は、これからどんな風に広がっていくのだろう。
小さな虫博士、おやすみなさい…
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