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「自由=贅沢・欲 x お金」が生み出す社会『漂砂のうたう』

2022-07-31 11:34:44 | 人生を「生かす」には
江戸時代の士農工商が明治になり人々の差別が無くなる「自由」と「夢」を描いたこの小説である。公家、武士たちが生きる糧に選んだ仕事、遊郭に絡む男と遊女となった女、お金に左右されるその生き様と人間模様は中々厳しく辛いものがある。現代でも残念ながら「自由=贅沢・欲」と「お金」は人生を一変させる力があり、特に権威と名誉は「金」との繋がりが切っても切れないものがあるのは現代社会の常だ。
『漂砂のうたう』木内昇
「概要」明治10年、根津遊郭。御家人の次男坊だった定九郎は、過去を隠し仲見世の「立番」として働いていた。花魁や遊郭に絡む男たち。新時代に取り残された人々の挫折と屈託、夢を描く
ー明治時代の初期、武士、公家人たちは様変わりする社会で自分達の仕事を手にして新たな社会に溶け込もうとしている。武士の家に生まれ、そのままであれば家督を継いで家系をも守るはずだった兄弟が、兄は車轢き、弟定九郎は遊郭の立場(客引き)になり奮闘する。
ー政府の解放令で遊郭(名称が変わり「貸座敷」)でも根津の遊郭は格が低く、客引きするお店も少ない中、一人の花魁、小野菊に熱を上げるお客が多く繁盛していた。そこにヤクザ者が花魁を引き抜きを計画立てた。
ー「金魚は生簀から出たらどうなるんかのう」疑問が湧いた。「花魁にとっちゃ「自由」ってのは路頭に迷うのと同じことさ。生きる場を無くすってことだ。でもね、花魁が籠の中の鳥なのは、廓に閉じ込められてっからじゃあないんだよ。外の世界を信じていないからさ。身の回りにいる本の一握りの人間しか見ようとしないからさ。それじゃ籠から放れた放れたところで、自由にはならない」



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