川柳鑑賞

病歴を自慢している寂しがり

老人社会の現実として誰でもが味わうことである。病気のことが話題となる。一人になると寂しさがいっぱい、誰かに話すことによって気が晴れる。

＊健康の時には、健康のありがたさが分からない。ましてや、老人となると、後悔も含めて、人にしゃべりたい病気のことがいっぱい頭の中につまってくる。
自慢するわけではないが、つい人に話したくなってしまうのである。
私には、まだ自慢するほどの病歴はない。

雑詠

たんぽぽの綿毛善意はさりげなく　　　　S

自選句

昼中に鳴く青春のきりぎりす
薫風を吸えない死者の鼻の穴
炎天にいのちが歩く白い街
松代天鬼