川柳の背景

受賞した知らせ日本を活気づけ
この句は、「波紋」という題で詠んだ句である。
受賞したと書かれていても、どんな賞かは書かれておらず、句としては平凡な句としか思えない。
これは川柳が１７字で詠まなければならないことによるものである。
しかしながら、そのあとに続く言葉が、日本を活気づけと書いてあるのだから、たぶん大きな賞だろうということは推測できる。
実は、この句を詠む少し前に、山中伸弥教授がノーベル賞を受賞したのである。
その背景を知れば、ある程度は納得もできるというものである。
私なら、もっと上手に盛り込めるという人がいたら、ぜひ詠んでもらいたい。

長屋の川柳論

抽象名詞

ご隠居さん「川柳では、上五に抽象名詞を持ってくると、いかにも川柳という句ができる。
例えば、
価値観もグラリと揺れた震度七
これを、大地震が来て、大事な家も壊れ、家族も失い…というようなことを句に詠もうとすると、とても詠み切れない。
ところが、上五に価値観もともってくると、ずばりと句が決まるというものだ。」
八っアン　「分かった。
貧乏は少しきついがまた楽し
という句はどうだい。」
熊さん　　「そんな句なら掃いて捨てるほどできるよ。」
ご隠居さん「まあ、八っアンや熊さんまで簡単に詠めるというのだから、ここはいくつか穴埋め問題を出しておしまいとしよう。」

自選句

恋心四角いものも丸く見え
登れないスカイツリーを囲む蟻
怒り出す一歩手前を妻は知り

平野さちを

柳誌

限界を自分で決めて超えられず