乗った後の景色

電車・気動車・バスに乗ることが好きな乗りマニアによる旅行雑ネタブログです。

韓国~九州乗り継ぎ(8)壱岐→唐津

2013-11-06 | 釜山→対馬→壱岐
(前回のつづきです。)
 釜山→対馬→壱岐と島伝いに乗り継いで最後は九州(島)に向かいます。壱岐から九州(島)への航路は複数ありますが、今回は印通寺港から出る唐津東港行きのフェリー(九州郵船)にしました。
 まず郷ノ浦の本町バス停から印通寺港に向けて壱岐交通で出発します。

 壱岐交通のバスには両替機がなく運賃箱があるのみです。

 両替は運転士さんによる人力(?)、さらに最前列の「マニア席」に腰掛けると側面方向幕のハンドルがついていてやっぱり人力という具合なのでちょっとうれしくなりました。


 あまり見かけない漢字(之繞に神)のバス停(読み方は「しめのお」)を通り、印通寺まではほぼずっと国道382号線を走ります。

 特に狭隘区間もなくあっさりと印通寺港に到着しました。

 まずフェリーターミナルで切符を買い荷物を預けて付近の見物に出ます。


 身軽になってまず向かったのは重家酒造です。ここでも前々回同様に焼酎を買いました。壱岐の焼酎メーカーは7社もありそう広くない島内によく成り立つものだと感心します。


 続けてバス通りを少し郷ノ浦方向に戻り電力界の実業家松永安左エ門の生地にちなんで作られた「松永安左エ門記念館」に足を向けました。敷地には旧西鉄福岡市内線(路面電車)の車両が保存されています。この車両は松永が福岡市内の路面電車(福博電気軌道)開業時の中心人物だったという縁で路線廃止後壱岐に来たとのことです。西鉄時代の1948年に製造された車両ではあるものの、ここに置かれると電力が戦時統制やそれに続く地域独占体制の時代になる前の電気事業と電車を同じ事業者が行うことが普通だった時代を思い起こさせる存在になります。
 そういえば壱岐には前々回で触れたように保存蒸気機関車もあるので鉄道がない島にしては鉄道に縁がありますね。


 観光案内を見ると松永安左エ門記念館のほか「唐人神」という祠や海沿いに立つ「マリンパル壱岐」という地元産商品の直売所が載っていたので寄ってからフェリーターミナルに戻りました。これらは徒歩圏なので助かります。



 フェリーに乗り込むと2等は桟敷と座席に加え無料貸出のござがあるのでちょっと驚きました。

 一種の補助席だとするとそれが必要なくらい混雑することがあるのでしょうが幸いがらがらです。


 印通寺港から1時間40分で暗くなった唐津東港に到着しました。唐津はカラの津、すなわち唐だか韓だかとにかく大陸方面と行き来する港の意味ですから、そこに(途中対馬・壱岐を経ているものの)大陸の釜山から着くというのはなんだかうれしいものです。(ちなみに韓国の忠清南道にも「唐津市」がありますがこれはまさしく(中国の)唐への港だったのでしょう。)


 唐津東港前に立つバス停「唐津フェリーターミナル」で大手口行きの昭和バスに乗ります。フェリーの到着を受けるバスにしては車両が小さく乗り込んだのは私一人とやや寂しい状態で、終着の大手口は唐津バスセンター内が降車所でした。


 新しいバスセンターでは「玄海エネルギーパーク」なる「いかにも」な行先表示が見えました。つまりは玄海原発に行くバスで、以前「やらせ」で名をとどろかせたことを思い出します。地図を見て玄海原発からはこのバスセンターまで15km足らずなのはもとより壱岐までも25kmしかないということに後から気づきました。事故のとき離島で迅速な避難というのもなかなか難しそうですけれども。


 唐津バスセンターからは博多バスターミナル行き「からつ号」に乗り、都市高速で一般路線バスを追い抜くシーンでまた韓国に戻ったような気分になったりしつつ1時間ほどで天神に着きました。釜山→博多は高速船ビートル(またはコビー)で2時間55分と便利ですが、島伝いに2泊3日かけて乗り継ぐのもオツなものです。


 天神周辺に投宿し、翌日帰京の際に乗った福岡→成田間が私のエアアジア・ジャパンお名残搭乗になりました。(エアアジア・ジャパンは10月26日に運行終了)


 今回の航空券は福岡→成田は手数料等込で5280円、往路の成田→釜山の4640円、釜山→福岡空港の交通費が約17000円ですから合計すると東京~新大阪間を新幹線指定席で往復する(通常期27500円)のと同じくらいで済んだことになります。エアアジアが安いのはもちろんですが、こうしてみると新幹線というのは高い乗り物だとも改めて思いました。エアアジア・ジャパン公式サイトには「また皆さまの元に戻ってきます。」とありましたから復活を期待しつつ「韓国~九州乗り継ぎ」話を終わりにします。

(番外をおまけで付け加えました。)

(韓国~九州乗り継ぎ話一覧)
■(1)釜山→対馬(比田勝)
■(2)比田勝
■(3)韓国展望台
■(4)日本の離島最長路線バス(比田勝→厳原)
■(5)対馬(厳原)→壱岐(郷ノ浦)
■(6)郷ノ浦~勝本
■(7)フェリーみしま
■(8)壱岐(郷ノ浦)→唐津(このページ)
■(番外)福岡・釜山・対馬の麺もの
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韓国~九州乗り継ぎ(7)フェリーみしま

2013-11-02 | 釜山→対馬→壱岐
(前回のつづきです。)
 壱岐(本島)に付属する有人島は4つあり、そのうちの1つ(若宮島)は自衛隊のみなので一般人が居住している島は3つ(原島・長島・大島)ということになります。この3つの島はまとめて渡良三島といい、壱岐の中心郷ノ浦と各島を結ぶ「フェリーみしま」が行き来の足です。
 このフェリーの船着場は各島と郷ノ浦のほか壱岐本島にもう1ヵ所(渡良浦)あります。3島までは行く時間がなかったのですが、渡良浦までは郷ノ浦からフェリーの他にバス路線もあって乗りやすいので往復してみることにしました。

 というわけで郷ノ浦の中心本町バス停から渡良行きの壱岐交通バスに乗ります。

 この路線は後半に狭隘区間があるので楽しめました。鳥居を避けて狭くなっている箇所がまたいい感じです。鉄道だったらこことかここのようにガントレットにでもしたい、と変なことを考えたりもします。

 終点のひとつ前の渡良バス停で降りました。


 渡良は商店も人も少なく静かな漁港です。渡良バス停前にはフェリーの旧桟橋があり、現行の新しい桟橋は集落のはずれ(バスの終点)に移転しています。




 バス停の時刻表を見るとだいぶ時代がついていました。ということは最近便数が減った様子がないというわけでこれは結構なことです。


 集落を見物してからフェリーに乗ろうとひとつ手前で降りたのですが、雨が強くなってきたので早足で新しい桟橋の待合所に向かいます。 


 終点のバス停名はそのままの「三島フェリー待合所」です。新しい待合所で雨の音を聞きながらフェリーを待ちます。


 三島から来てこれから郷ノ浦に向かうフェリーが到着しました。



 ここでの乗客は私だけです。三島からの乗客も数人とごく少なめでした。


 フェリーは遠回りの陸路に比べ宇土湾をまっすぐ突っ切るので近道ということになります。11分で郷ノ浦ですからあっという間です。博多や対馬からの船が発着する郷ノ浦港よりも町の中心に近い船着場に着くのはローカルなフェリーらしい気がしました。


 船着場は積み込む荷物が並び出発を待つ乗客でにぎわっています。午後便は三島側に帰る乗客が多いようです。


 というわけで三島には行かず単なる郷ノ浦と渡良の往復ながら狭隘区間のあるバスとフェリーの両方に乗れ楽しめました。壱岐本島自体が離島でそのまた離島に向かうフェリー、ということからふとローカル線の先から出ている小私鉄っぽいと思ったりもします。釜山~九州という抜けられる乗り継ぎの途中ということもあってそんなことが面白く感じられました。
(つづきはこちらです。)

(韓国~九州乗り継ぎ話一覧)
■(1)釜山→対馬(比田勝)
■(2)比田勝
■(3)韓国展望台
■(4)(日本の離島最長路線バス(比田勝→厳原)
■(5)対馬(厳原)→壱岐(郷ノ浦)
■(6)郷ノ浦~勝本
■(7)フェリーみしま(このページ)
■(8)壱岐(郷ノ浦)→唐津
■(番外)福岡・釜山・対馬の麺もの
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韓国~九州乗り継ぎ(6)郷ノ浦~勝本

2013-11-01 | 釜山→対馬→壱岐
(前回のつづきです。)
 壱岐では乗り継ぎとは別に少々時間をとって「乗りバス」と「乗り渡船」をしました。その前にまず足を運んだのが郷ノ浦の町中にある本町バス停です。ここには壱岐交通バスの待合所や「壱岐交通ホテル」が入っていたビルが建っているのですが、それらの施設は既に閉鎖されています。


 その代わりに新たに設けられた待合所がバス通りからやや奥まったところにあり、ここで壱岐交通バス全線に乗れる一日乗車券(1000円)を買いました。壱岐交通の一日乗車券は誰でも買えるのは土休日のみ、平日は島外からの乗客しか買えないという「縛り」があります。隣の対馬交通の一日乗車券の「平日縛り」は「外国人のみ購入可」ですからだいぶ国境から遠くなった気がしました。

 なお壱岐交通はシーズンに定期観光バスを走らせています。午前便と午後便でそれぞれ周るところが違い、午前・午後通して利用することもできるようにうまく設定されているので使い勝手が良さそうです。


 さて本町でバスに乗り、まず焼酎メーカーに向かうことにしました。壱岐は麦焼酎(麹は米)の生産が盛んで、そう大きくない島内に7つもメーカーがあるというすごいところですから寄ってみたいと思ったわけです。郷ノ浦港発市民病院行きのバスで数分の病院前(または次の桜川)バス停で降りると近くに「山の守」というメーカーがあります。

 ここは定期観光バスも寄るところで、飛び込みでも見学・試飲・即売を受け付けてもらえるので助かります。訪問時は作っていない時期なので設備を覗くだけでしたが、ガラス窓越しにもろみを醗酵させるカメが並ぶ様子や蒸留機を見ると飲みたくなってしまいます。


 試飲コーナーには数種類の焼酎にチェイサー用の水まで用意されているので遠慮なくいただきます。美味しいので全種類飲んでみたら少しずつではあっても蒸留酒だけに結構回り午前中からだいぶ出来上がってしまいました。最後に焼酎を少々購入して先に進みます。

 さて「山の守」の徒歩圏には「天の川」という別の焼酎メーカーの売店があります。ここの工場は少し離れたところにあるそうなのでここでは買うだけでしたがハシゴして増えた焼酎の壜すなわちワレモノで重くなった荷物を持って千鳥足ということになりやや危なっかしい図が出来上がってしまいました。


 ともあれ無事焼酎の購入が済んだら「天の川」近くのバス停「団地入口」に出ます。時刻表を見たら湯ノ本・天ヶ原経由勝本行きという便があったのでこれに乗ってみることにしました。やって来た車体は小さいもののところどころ道が狭くなる区間があり眺望もききと変化に富みなかなか悪くない路線です。


 この路線は北の勝本側がY字状に分かれています。まず海岸線にぶち当たったところにあるY字の分岐点が勝本入口です。


 海岸線に沿ってY字の右側の分岐に進むと先端が天ヶ原でここで折り返します。


 分岐点の勝本入口(下の画像)に戻ってここで降りました。バスはさらに海岸線に沿ってY字左側の分岐の先(仲折)まで行って終点で折り返し、というコースをたどります。


 勝本では昼食に赤生ウニ丼を食べました。赤とはアカウニのことで、壱岐のウニにはムラサキウニとアカウニがあって旬が違いアカウニの方がやや高いのだそうです。


 美味しいアカウニに大満足したら落ち着いた雰囲気の勝本の町を少し散歩し、漁船と並ぶ勝本バス停で国分経由の郷ノ浦行きに乗りました。



 この路線は往路の湯ノ本経由のような海岸や狭隘区間がなく内陸の国道382号線を主に走る路線です。ちなみに国道382号線は対馬の比田勝~厳原間と九州本土の呼子港付近にも存在するのですが現在それぞれを結ぶ連絡航路がないので同じ国道といってもなんだかピンときません。
 国道からやや迂回して走る区間(国分寺付近)では蒸気機関車(8620形)が見えたのでびっくりしました。線路と縁がない離島で余生を過ごす蒸機というのも面白いものですね。


 郷ノ浦の本町バス停に戻ってきました。改めてみるとバスの正面に焼酎メーカーの広告があります。そういえば車内放送でも焼酎の広告が流れていましたし、荷物にもお腹にも焼酎を入れている、という具合に焼酎に囲まれながらの乗りバスになってしまいました。キライではない向きは誘惑に負けてもいいよう壱岐観光はクルマではなく壱岐交通の一般路線バスや定期観光バスを利用する方がよさそうです。


(つづきはこちらです。)

(韓国~九州乗り継ぎ話一覧)
■(1)釜山→対馬(比田勝)
■(2)比田勝
■(3)韓国展望台
■(4)日本の離島最長路線バス(比田勝→厳原)
■(5)対馬(厳原)→壱岐(郷ノ浦)
■(6)郷ノ浦~勝本(このページ)
■(7)フェリーみしま
■(8)壱岐(郷ノ浦)→唐津
■(番外)福岡・釜山・対馬の麺もの
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