乗った後の景色

電車・気動車・バスに乗ることが好きな乗りマニアによる旅行雑ネタブログです。

南越後観光バス(2)紙パタ運賃表

2012-11-10 | 新潟県
(前回のつづきです。)
 十日町で南越後観光バスの津南(営業所)行きに乗りました。十日町~津南間の飯山線は本数が少ないのに対しバスの間隔は日中空いても1時間程度と頑張っているのでうれしくなります。


 約18km、40分近く乗って終点の津南営業所に到着しました。津南の町中から中津川を渡った対岸にあります。


 次の乗りバスまでしばらく時間があるので川を渡って町中に戻りウロウロすると立派な役場がありました。

 「農を以て立町の基と為す」という碑や各種の「宣言」はなかなかの迫力です。



 ホームセンターにこんな「雪国プレート」があるのはさすが、なんてのんきなことを言っていては叱られそうですが、東京23区内ではわずかに雪が積もることさえめっきり少なくなり直線距離にして200kmもないのになんたるギャップかとしみじみ思います。


 という具合に時間をつぶし16時過ぎにこの日最後に乗るバス大赤沢行きがやってきました。東急バスみたいな銀に赤帯のほかにこういう塗色もあります。


 このバスでお目当ての「紙パタ」に対面しました。バスが運賃の境界を越えるごとに紙の運賃表がパタ、パタと重なっていきます。このアナログのカラクリっぽさがなんともイイわけです。


 この路線は「人里狭隘区間」に「山道狭隘区間」の両方が続き、中津川に沿った細い国道405号線をずっと登って行きます。

 パタパタ見ながらの狭隘路線というのはさらに楽しいものです。


 すれ違いに苦労しながら上がっていくうちにだんだん日が暮れ、17時頃山の中の折返所大赤沢に到着しました。バスが通じているのはこの先県境を越えた長野県栄村の和山温泉までで、大赤沢行きは途中返しの便ですがそれでもかなり「お腹いっぱい」です。この一帯は秋山郷といい秘境と呼ばれるようなところですがこの道ではなるほどと納得させられます。


 十数分の折り返し時間に名所だという蛇淵の滝を大急ぎで見物しました。

 薄暗くなっていたものの滝は見えたので「乗りバス」のために往復したわけではなく滝見物のために乗ったと言えることになります。


 街灯もなく真っ暗な山道の下りをとんぼ返りして終点の飯山線津南駅で降りました。本当は森宮野原~津南~越後湯沢駅とショートカットするバスで近道して楽に帰京したかったのですが、残念ながらこの大赤沢からのバスが津南に戻る20分前に越後湯沢行きの終バスが出てしまうダイヤなので乗り継げません。


 津南駅には温泉がありますがここで入ったらダラけてしまい帰る気力がなくなりそうなのでパスしました。

 やはり駅にあるそば屋に新そばの知らせがあったのでこれを食べていくだけにします。



 あとは飯山線~ほくほく線~上越新幹線ととんぼ返りで帰京するだけです。新潟というと東京からは「国境」の先でうんと雪が降ったりするだけに韓国や台湾辺りより遠い世界というイメージなのですが、ケチらず新幹線に乗ればあっけないものでだまされたような気がします。


 というわけで無事「パタパタ」と動く様子を見ることができ宿題が片付きました。
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南越後観光バス(1)越後湯沢→十日町

2012-11-09 | 新潟県
 新潟を走る南越後観光バスで厚紙を使った運賃表(通称紙パタ)が使われていると聞き一度見に行かねばと宿題のように気になっていました。気がつけば11月で新潟は間もなく雨そして雪の季節になってしまいます。まあそのうち泊りがけでゆっくり見に行こう、くらいに思ってたのですが「紙パタ」は急速に減っているという話も聞こえてきます。これまでの人生「そのうち」で何度痛い目にあったことか、やっぱ宿題は年内に片付けよう、という気持ちがもち上がり衝動的に上越新幹線の切符を買ってしまいました。


 突然思い立ったので出発が遅くなり東京駅に着いたのはお昼近くです。駅弁売り場を物色すると200系新幹線のケースに入った「新幹線弁当」680円が目に入ったので衝動買いしました。裏を見るとデパートの地下でよく見る「古市庵」とのことです。


 中身は太巻きとおかずで量の少なさにやや後悔しました。まあお子様向けなのは見ればわかるからこっちが悪いんですが。これじゃ足りないからあとでまたなんか食べよう。と軽めの昼食をとっているうちに国境を越えて越後湯沢に着きました。


 駅前に出るとここは南越後観光バスのエリアで、都民やっていると東急バスを思い出してしまう銀に赤帯が目に付きます。午後からでは色づいた山をのんびり見ているヒマはなく、まずは六日町車庫前行きで乗りバスの開始です。


 国道それも新道をずっと行くバスですからあまり変化はありませんが上越線を見ながら走るのでなかなか楽しめました。30分ちょっとで六日町の町外れにある六日町車庫・六日町営業所(南越後観光バス本社)に到着です。約19km乗って420円と南越後観光バス(越後交通系全体もですが)は運賃が安めなので助かります。ちなみに1000円の回数券は100円券12枚綴りの1200円分となかなかおトクです。


 六日町営業所は上越線と北越急行ほくほく線に挟まれた位置にあります。その両方を見ながらバスに乗ってきた道を2kmばかり歩いて戻り六日町駅に出ました。


 これで「お子様ランチ」を入れたお腹が早くも燃料切れになります。六日町駅前のショッピングセンターに入ったら「くるみ入り」というのが珍しく感じまた太巻きを買ってしまいました。(「こっち」では多いんだそうですね。)ほくほく線に乗って早速つまみます。



 ほくほく線はトンネルばかりの新線なので正直それほど乗って楽しいという感じでもないのですが、山をぶちぬいた路線なのでこことここが実は近かったんだ、みたいな面白さはありますね。あっという間に十日町に着き高架ホームに降り立ちます。


 すると下から「ボーッ」という怪しい音と煙もくもくが見えるのでひょっとすると?と思って地平ホームに下りたらやはりでした。


 なんでもイベント前の試運転なのだそうです。私は蒸気機関車にあまり興味がないのでここ(飯山線)で運転するとは全然知りませんでした。改めて見ると「お尻」も意外と愛嬌があるものですね。


 どうせならトンネルだらけのほくほく線で運転したらもっとスゴイなあ、などとしょうもないことを考えながらバスに乗るため駅前に出ます。ロータリーの片隅でバスを待っていて「なんだか煙たくなってきたな」と思ったところでああ線路上で「焚き火」してるんだったと気づき、こう充満するんじゃなるほど昔「汽車」が嫌われたわけだと感心しました。C11はちっこいイメージですが煙は案外スゴイんですね。こういう体感的な部分を残す意味でも動態保存は大事だと思いました。


 (2)につづきます。
コメント (4)
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「きたぐに」お名残乗車

2012-01-22 | 新潟県
 3月で定期運用がなくなる新潟~大阪間の急行「きたぐに」に乗りに行くことにしました。
 国内の鉄道というと私鉄びいきで国鉄の車両にはお気に入りが少ないのですが、このきたぐにに使われる583系電車は大好きです。そもそも寝台車に乗ろうか、と思ったときほとんどが客車で「寝台電車」なんていうと583系とサンライズの285系を除くと最近中国に登場したCRH2くらいしか思いつきません。客車より電車・気動車が好きな私はこの時点で好きにならざるを得ない方に追い込まれていきます。285系は個室のモハネなんてのがあったりでうれしいもののインバータ時代の電車なのがちょっと残念で、新幹線とか高速鉄道の類になると寝台・座席問わずあまり乗りたいとも思わないのでCRH2はちょっと、という具合に「好き度」は583系に及びません。また寝台を解体すれば座席車になり交直流問わず走れるサブロクナローゲージ(1067mmであのボッテリ感だとナローに見えます)電車、という器用にギュッと詰め込んだ感とでもいうような魅力を感じます。

 そのきたぐにに乗るため新潟駅に入りました。現在のきたぐには食堂車はもとより車内販売もなく、車内自販機は使用停止という具合で乗ったら何も買えませんから飲み物や非常食のパンなど用意しておかねばなりません。ああ食堂車が生きていた時代の583系に乗りたかったなあと思ってしまいます。
 列車の内外では数はそれほどでもないもののカメラ持った鉄道マニアが私以外にもウロウロしています。外からならまだしもでかいカメラでもって狭い車内、ことにセットされた寝台のカーテンをめくってはパシャパシャとやっているのが何人も続くのではさすがに苦情につながるとみえ、ホーム上や車内では「撮影のお客様は他のお客様のご迷惑とならないようご配慮をお願いします」と何度も放送が流れていました。


 と言ってもパンタグラフ下の中段(後述)がだいたい埋まっている他はガラガラですから大して迷惑でもない感じではあります。お名残乗車が増えるはずの時期になってもこれでは廃止になるわけだと納得しました。


 583系のB寝台は基本的に上・中・下の3段式ですが、モハネ582はパンタグラフ下の天井がやや低くなっているためその部分の寝台には上段がなく中・下の2段だけです。(上段がないのに中段というのは考えてみればちょっと変な感じですが。)天井が低いと言っても上段分の高さがまるまるつぶれるほどではなく、余る分の高さは中段のスペースになっています。そのためパンタグラフ下の中段は他の中段より高さに余裕があり広々としているのですが、料金は他の中段と同様なのでお得な寝台ということになるわけです。
 というからにはもちろんそのパンタグラフ下の中段を指定しました。広いといってもこんなもんですから「本来の」中段・上段の高さは推して知るべしというところです。幅も広いとはいいかねますが私は大柄ではないので特に不満は感じません。


 不満と言えばお得なモハネ582の寝台車が喫煙車なのはちょっと残念です。寝台内と寝台間の通路ではさすがに禁煙でもデッキや洗面所に煙がこもりますから。まあでも灰皿にしぶとく残る国鉄マークを見ることができたのでよしとします。

 浴衣に着替えたりしているうちに新潟を22:58に発車するわけですが、約1時間後の長岡過ぎまでずっと車内放送が続くのでうるさくてかないませんでした。寝台車なんて朝まで乗る客ばっかだろうから発車後1回放送するくらいでいいじゃんと思いましたが乗り間違える乗客なんているのでしょうか。

 夜最後の放送「おやすみ放送」が終わるとあとはかなり控えめのモーター音とジョイント音が聞こえ幸せな時間になります。客車ながら発電用のエンジン音が絶え間なく響いてやかましかった14系を思うと面白い対比かもしれません。おかげですぐに熟睡してしまい起こされたのは大津到着前の6:00頃に始まる「おはよう放送」でした。大阪到着が6:49で乗る時間が短いんだからもう少し寝かせて欲しいんだけど大阪でノロノロ降りられるとホームを塞いじゃうからとっとと起きとけってことかなあ、などとやや卑屈になったりもします。おやすみ放送・おはよう放送の味わいは好きなのですけれども。
 ところで私は横手方向(枕木と平行)に配置される寝台(ブルトレのB寝台とか)だとよく眠れず苦手なのですが、長手方向(進行方向と平行)に配置される寝台(プルマン式とか)だとどういうわけか割とよく眠れます。と言ってもバカ高いA寝台のプルマン式では乗る気がおきませんが、583系ならB寝台でもプルマン式なのでその意味でも好きです。そういえば寝台車の寝台の向きって横手方向・長手方向・あるいは斜めのどれが好まれるのかちょっと気になるところですが、皆さんはいかがでしょうか。

 まだ暗い大阪駅ではカメラを持った鉄ちゃんが何人か待っていたので私も混ざります。もう乗る機会はないだろうなあ、という寂しさ含みではあるものの大変楽しい乗り鉄ならぬ寝鉄(?)でした。


(おまけ)
 なんとなく583系っぽく見えてしまうオランダの電車ICM(4000・4200系)です。こちらは寝台ではなく座席車ですけれども。
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