乗った後の景色

電車・気動車・バスに乗ることが好きな乗りマニアによる旅行雑ネタブログです。

大瀬崎(後編・バス)

2012-08-05 | 静岡県
(前回の続きです。)
 伊豆半島の西の「肩」、静岡県沼津市にある大瀬崎に着きました。海岸は大瀬海水浴場になっています。右寄りに小さく見えるのが前回の沼津港から乗ってきた船と桟橋です。


 大瀬崎の海は透明度が高くダイビングスポットとして賑わっています。となれば当然泳ぐか潜るかが目的で来るようなところです。


 今回まずは「乗り」目的で海に入るような準備はしてきていません。さすがにちょっともったいない気もしてきますがそれはあきらめ、とりあえず歩いて見物できる「大瀬神社」にだけ行ってみることにします。


 大瀬神社は引手力命神社ともいい大瀬崎の先端部を占めています。土地柄さすがというべきか海上安全とかダイバー向けの水難除け肌守の字が見え、赤いフンドシがたくさん奉納されているので面白く感じました。


 大瀬崎で気になるのは細く出っ張った岬の先っちょなのになぜか真ん中に結構大きな淡水の池があることです。その池は「神池」といい、海に水を張ったスプーンのような岬が浮いているようなイメージです。


 そこも境内の中で見物するには料金大人100円が必要とあり、入口を見張る係員がいないときは各自箱に入れる自己申告制でした。「正直者は徳を得る!!」とあるので私も100円分くらいは徳を得たかもしれません。


 というわけで境内の奥つまり大瀬崎の奥に歩いていくとすぐに神池です。近くで見ると鯉がうぞうぞいるただの濁った池という感じですが、周りが海だと思うとさすがにちょっと妙な気がしました。よくうまいこと淡水が溜まって海水が混じらないものですね。


 神池と並ぶ大瀬神社の見どころにビャクシンの古木があり、その中でも立派でいかにもご神木という雰囲気になっているのがこれです。


 大瀬崎の先端まで行くと灯台と防衛省の小さな実験所がありました。何を実験しているのかよくわかりませんが、ごく小さい建物なので何か海に関係するデータの観測でもしているのでしょうか。


(おまけ)
 その後飛行機に乗っていて窓から大瀬崎が見えたことがあったのでその画像を貼ります。小さくしか見えなくても変わった形なので結構目立っていました。


 という具合に大瀬崎の見物を終えたら沼津駅まで乗りバスです。大瀬海水浴場のすぐ近くに沼津登山東海バスの「大瀬岬」停留所があり普段はここで沼津駅から来たバスが折り返しています。

 ところが標柱の注意書きを見ると夏季は大瀬崎は観光客の自家用車による路上駐車で混むため、路線バスはこの大瀬岬バス停までは入らず遠く不便な臨時バス停で折り返すとのことです。「公共」交通を自家用車のギセイにするのは間違っているような気がしますけれども。


 と文句言っても始まらないので臨時バス停に向かいました。坂道を上がり静岡県道17号まで出て、ここから普段は路線バスが走っていない戸田方向にしばらく進むと路肩のスペースに臨時と書かれた標柱が置いてあります。あとはこれと言って何もない場所で本当にタダ折り返すためだけの停留所という感じです。


 沼津駅とこの大瀬岬を結ぶバスは1日2往復しかありません。ひと気がない臨時バス停で「終バス」が来なかったらどうしよう、となんとなく心細くなった頃にバスがやって来てホッとしました。


 予想通りというべきかこの臨時バス停から乗ったのは私だけでした。実は、というのか平常時の大瀬岬バス停から歩くには臨時大瀬岬バス停より一つ沼津駅寄りの富士見台バス停の方が近いので、臨時バス停から乗るという時点で物好きだと証明されてしまいます。
 となればそうそう他に乗る人もなく最初の一人になりました。最前列の「マニア席」に陣取ると狭隘区間が結構ありなかなか楽しめます。


 途中の江梨から先は区間便が増えるためすれ違うバスも見られました。

 (臨時の)大瀬岬から80分ちょっとで暗くなった沼津駅南口に到着です。


 最後にやや蛇足ですが、この沼津駅~大瀬岬のバスに沼津港~大瀬崎の航路がない時期日帰りで乗ろうとすると例えば東海道線の始発列車で東京駅を出ても朝の便に間に合いません。となると夕方の便でとんぼ返りするほかなくなります。なので都内在住だと今回のように航路のある夏季の訪問ということにならざるを得ません。ただそうすると今度は航路のある時期と先に述べた臨時バス停設置期間がかぶってしまうという問題が出てきます。(本来の)大瀬岬~富士見台間に乗らないと気になる完乗にこだわる向きはとんぼ返りするか、あるいは江梨~大瀬岬間を片道だけ徒歩で制してしまうなど何らかの手が必要です、などと考えてみるとなかなか大変な路線ですね。
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大瀬崎(前編・渡船)

2012-08-02 | 静岡県
 なぜかこのところ伊豆・箱根方面に引っ張られています。箱根下田と続き今度はちょっと西側に行きたくなりました。
 そこで目をつけたのが伊豆半島の北西に位置する沼津市の大瀬崎というところです。(大瀬の読みは「おせ」・最寄バス停は「大瀬岬」)地図を見ると伊豆半島の「肩」のように出っ張った形が何となくそそられます。さらに沼津駅~大瀬岬間にはバス、沼津港~大瀬崎間には渡船があり往復で違う経路をとることができるので行ってみることにしました。
(沼津港~大瀬間の航路は7月中旬から8月までの季節運航なので乗る前に運航日・時刻の確認が必須。運航する千鳥観光汽船公式サイトはこちら。)

 同じ方面が続くといっても毎回日帰りなのでまた都内にある自宅から出直しです。沼津まで東海道線や新幹線ではつまらないし、小田急の特急「あさぎり」は御殿場止まりになっちゃったし、ということで高速バスにしてみました。
 沼津行きの高速バスが出るのは新宿・渋谷・東京(駅)ですが、そうしたターミナル駅から乗るのも芸がないと東名高速上にある江田バス停からにしたらこれが失敗です。最寄駅の東急田園都市線あざみ野から江田バス停まではせいぜい10分くらいとは言え炎天下歩くと結構うんざりしました。江田駅のすぐ近くに作るとかもう少し高速バスと鉄道の連携を進められないものかと思ってしまいます。


 着いた江田バス停は住宅地から取り付いた路肩にある地味なものですが、近くは神奈川・静岡方面、遠くは名古屋・大阪まで行くバスが停まりますからなめてはいけません。



 名古屋や大阪といった行き先を見ると思わず乗りたくなってしまいますけれどさすがに衝動乗りには踏み切れません。この心境はどことなく地味な駅で長距離列車を見るときと似ています。そんな「大物」バスをやり過ごしたあとに富士急シティバスの沼津行きがやってきました。

 空気が悪く暑い高速道路の脇から涼しい車内に入るとホッとします。乗ってしまえばごくお馴染みの東名高速を1時間くらい下って裾野ICに達し、そこから一般道に入って約30分で沼津駅北口に着きました。


 とりあえずありがちなショッピングモールが目立つロータリーに降り立つと見慣れぬバスが見えます。あれこんな色のバスあったっけ、とよく見たら伊豆箱根バスでした。2008年にバス事業80周年を記念して昔の塗装のバスを登場させたとのことです。そのことに気づかなかったくらいこの辺りに来ることがなかったのがバレますが。


 沼津港行きのバスはこの北口からではなく南口発着です。なので南に行こうと思ったらなんと自由通路がありません。沼津駅では何度か降りているものの南北を「駅の外側から」行き来するということがなかったため初めて気づきました。通り抜けのために入場券買うのもくやしいので道を聞き、駅の西側にある「あまねガード(西周にちなむのだとか)」まで遠回りします。台湾の嘉義とか宜蘭みたいにタダで通す工夫があってもいいのになあと思ってしまいました。

 沼津駅は高架計画があるとかで、壁面に描かれた高架工事完成後の予想図を見ると今は沼津まで来なくなった特急「あさぎり」の小田急RSEらしき姿がありびっくりです。実現しない図になってしまいましたね。


 南口に出るとバスはいよいよ色とりどりです。箱根登山バスが東海バスとくっついてできた沼津登山東海バスは塗装がそれを表すようなデザインなので遊び心というか判じ物っぽいので面白く感じます。伊豆箱根バスのライオンズカラーを改めてみると北口で見た旧塗装車より野暮ったい気がしてきました。


 富士急バスターミナル前の交差点に立つと渋い富士急はもちろん「青い箱根登山バス色の」沼津登山東海バスに「東海バス色の」沼津登山東海バスに、と色々やって来るややこしくも面白い過渡期らしい状況です。



 そんなバス見物を挟みつつ沼津港行きの沼津登山東海バスに乗って10分ちょっとで沼津港に到着しました。


 まず乗る船の状況をチェックします。降りた停留所の向かいにある「ひものセンター」内に大瀬崎行き(千鳥観光汽船)の券売所があり、ひものセンターを抜けた側の港の一角が乗船所です。


 沼津港には食堂や海産物の売店が多数集まり観光地になっていますが、今回はそちらよりも乗り物がらみのものを見物します。
 東京方面と沼津港の間には直通する高速バスもあるのですがこのときは1日1往復で時間が合わせられず使えませんでした。

 その貴重な(?)京王バスが曲がっている角(千本港町交差点)を見るとかつて沼津駅から伸びていた貨物線「蛇松線」を記念する説明板が設置され歩道にレールが埋め込まれています。



 近くには沼津駅の駅弁でお馴染み「桃中軒」の工場がありました。これも一応鉄道関係つまり乗り物がらみと言えそうです。


 という具合に時間をつぶしていたら大瀬から船がやって来ました。ちゃんと行先表示もあります。旅客定員は椅子席24名・立席32名・合計56名とのことです。


 出航するとまず「びゅうお」という名の水門をくぐります。ここには展望台が併設され観光施設になっているほか、津波のときの避難場所でもあるそうです。港のお店の方が「いざというときあそこまで走って階段登り終わるまでに間に合うのかなあ」なんて笑っていましたが、万一のときはとにかく急ぐしかありませんね。


 水門を出て東を見ると伊豆半島の西海岸が結構遠くに見えます。帰りはその海岸線を走るバスに乗る予定なのですが、あんなに遠回りするのかとびっくりしました。この洋上をショートカットする航路が30分強の所要時間なのに対しバスは(沼津側は港ではなく駅ですが)81分かかるのもむべなるかなです。
 この航路は晴れていれば北側に富士山がよく見えるはずなのですが曇っていて見えませんでした。ただ曇った方が日差しが弱まるので助かる面もありますが。少々の水しぶきを浴びつつ短い船旅を楽しみます。


 大瀬崎に到着しました。逆光の沼津港であわてて乗ったため船の姿がよく見えませんでしたが、改めて見るとなかなか浮かれた柄の船体です。


 乗り物目当てで来ていて復路は乗りバスになりますが、せっかく来たので少々大瀬を見物することにしました。
(後編に続きます。)
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