乗った後の景色

電車・気動車・バスに乗ることが好きな乗りマニアによる旅行雑ネタブログです。

韓国~九州乗り継ぎ(4)日本の離島最長路線バス

2013-10-24 | 釜山→対馬→壱岐
(前回のつづきです。)
 対馬は南北に細長く、北部の拠点比田勝から対馬の中心南部の厳原まではかなりの距離があります。この間を結ぶのが対馬交通のバス路線「縦貫線」で、便数は一日4往復と少ないものの約85kmを約2時間半かけて走る大物です。おそらく日本の「離島の」一般路線バスとしては最長と思われます。この路線に乗って比田勝から厳原へと南下することにしました。

 比田勝の町中に対馬交通バスの拠点上県営業所があります。ここの停留所名は「比田勝」です。

 敷地にはきちんとした待合室や出札口があり、ここで1000円の一日乗車券「1日フリーパス券」を買っておきました。この切符は対馬島内の対馬交通・対馬市営バス全線に乗れるものですが土・日・祝日とお正月・ゴールデンウィーク・お盆の各10日間限定なので平日は使えません。ただし外国人用は平日も利用可能とのことです。JRの外国人用フリー切符「ジャパンレールパス」などと同様の切符があるのはさすが「日本で一番外国に近いところ」だと感心しました。

 ここから出発するバスはちゃんと待合所前に横付けしてから発車します。

 貸切車両は厚遇されているのか単に待合所前に停車してから発車する必要がないからか道路に面した上屋の下に置かれています。


 ここを夕方に出る厳原行き最終便に乗りました。厳原行きの始発停留所はこの営業所ではなく数百メートル離れた「上対馬病院」で、営業所まで来ると律儀に一旦敷地に入ってちゃんと待合室前から発車します。画像は上対馬病院からやって来たところで、右に見える建物が貸切車両の上屋です。四角い穴から見えるようにツシマヤマネコが描かれた車両がありました。

 この路線はほぼずっと国道382号線を走って行きます。てっきり全線2車線以上に拡張済みかと思っていたらまだ1車線の狭隘区間が散らばっていて意外でした。ただトンネルがいくつも穿たれいわゆる羊腸のような峠越え区間はほぼ解消されているのでごくすんなり走っていきます。


 1時間15分南下した仁位停留所に豊玉営業所があり、ここが縦貫線のほぼ中間地点です。5分ほど停車時間がありここで運転士さんが交代しました。(ここで交代しない便もあるとのことです。)

 営業所は国道を挟んで両側に敷地がひろがっています。


こじんまりとした待合室をのぞいてみたところなかなか良い雰囲気でした。


 仁位を出るとつるべ落としそのままの夕暮れです。対馬はもともと一つのつながった島だったのが二つの運河にちょん切られる形で三つに分かれていて、まず万関瀬戸にかかる万関橋(画像上左)、さらに大船越瀬戸にかかる大船越橋(上右)と渡る頃には真っ暗になりました。
 その後一旦国道から離れ「対馬やまねこ空港」(下左)に寄ると5分停車が挟まるダイヤですがやや遅れて着いたため軽い時間調整程度で出発します。一般の路線バスとは違う塗装の空港シャトルバス(下右)が待機しているのが見えました。

 空港を出るとごくすんなりと郊外然とした道を走りますが、厳原の町中に入る手前で一旦国道を逸れ海沿いの小浦を経由するのでやや目先が変わります。厳原の町中に入るとほどなく着く厳原バス停で降りると比田勝から2時間26分、運賃は3250円にもなり1000円で済む一日乗車券の威力に感謝せずにはいられません。ちなみにせっかく直通しているのに比田勝から通して乗っていたのは私だけだったので(そういえば運転士さんも途中で交代しています)ちょっともったいない気がしました。

 なおこの路線は町の中心にあるこの厳原バス停からさらに5分ほど走った厳原病院が終点で、比田勝側も上対馬病院が始発ですから病院発病院行きということになります。厳原病院に向かうラストスパートを見送って「乗りバス」を終えました。

 厳原バス停前にはショッピングセンターやホール、図書館が入っている複合施設「TIARA(ティアラ)」(対馬市交流センター)があり、韓国語と日本語で書かれた「歓迎・ようこそお越しくださいました。」という横断幕に迎えられるとまだ韓国から着いたような気分が抜けません。釜山~比田勝間の高速船の所要時間が1時間10分なのに対し釜山~厳原間も釜山から1時間55分とやはりバスの比田勝~厳原間より短く韓国がごく近いわけです。


 改めて考えてみると対馬には釜山~比田勝間の「日本最短の国際航路」の隣にそれより時間も距離も長い「日本(の離島)最長路線バス」が走っているというわけでなかなか面白い対比だと思います。

(つづきはこちらです。)

(韓国~九州乗り継ぎ話一覧)
■(1)釜山→対馬(比田勝)
■(2)比田勝
■(3)韓国展望台
■(4)日本の離島最長路線バス(比田勝→厳原)(このページ)
■(5)対馬(厳原)→壱岐(郷ノ浦)
■(6)郷ノ浦~勝本
■(7)フェリーみしま
■(8)壱岐(郷ノ浦)→唐津
■(番外)福岡・釜山・対馬の麺もの

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2 コメント

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沖縄の77番などと比べても… (MAKIKYU)
2013-10-24 12:32:36
こんにちは。

離島の路線バスで長距離路線、これは沖縄本島を離島とみなすか否かでも、見解が変わるところかと思いますが、1番か否かは別としても、離島はおろか国内全体で見渡しても長大路線である事は確かですね。

運行距離的にも、沖縄の那覇~名護間を結ぶ77番や20・120番並みかそれ以上で、運賃の高額さと言う点では確実に離島バス日本一の存在ですね。

この路線の存在は、北方4島を除く島の中では、沖縄本島・佐渡島・奄美大島に次ぐ大きさを誇る大きな島である上に、島の中心都市がかなり南に位置している対馬ならではの路線と感じます。
(沖縄本島と奄美大島も、名護や名瀬で乗り継ぎとなる長大路線を2つ繋げば、厳原~比田勝に匹敵する路線ができそうですが、需要を考えると実現余地は余り大きくない気がします)

運賃が超高額な割には、一日乗車券が激安なのも、非常にアンバランスな印象があり、結構利用価値があると感じる沖縄本島(第一産業交通グループと沖縄バス共同運行路線で土休日のみ:2000円)や奄美大島(道の島交通:1日券は2000円で3000円の2日券などもあり)のフリー乗車券以上の威力がありますが、平日は外国人のみというのは、国内本土からの観光客バス利用は余り考慮していないのでは…とも感じます。

釜山が福岡よりも近い土地ですので、九州や本州など国内本土からの訪問客向けにも、発売価格は多少上げても壱岐の様にフリー乗車券が毎日発売される事(島民は土休日のみ)を願いたいものです。

またこちらは沖縄本島・佐渡島・奄美大島へは足を運んでいても、対馬は高速船で脇を通るだけですので、機会があれば一度乗車してみたいものです。

空を飛ぶのがダメな身としては、首都圏→釜山→対馬というルートはとても考えられず、足を運ぶとしても首都圏→福岡(博多)→対馬→釜山(或いはその逆)になりそうですが…
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Unknown (乗後景)
2013-10-25 01:53:00
MAKIKYUさんコメントありがとうございます。

沖縄の77番は80kmを切っているようですから沖縄本島を離島に含めても対馬の縦貫線が最長になるようです。ご指摘のように島の大きさよりも拠点の大きさや位置関係が長距離路線が生まれる上での重要な要因になるというのは面白いものですね。

対馬は国内からの観光客が減少傾向である一方韓国からの観光客が増加する現状を考えると国内観光客対策が遅れがちになるのは仕方ない面があるのでしょう。
国内の島外からの観光客用とするなら物価差を考慮しなくていいわけですし、確かに多少高くなるとしても平日用があるとありがたいと思います。

飛行機が苦手でらっしゃると遠出は大変ですが、その点下関・九州~釜山の航路は充実しているので新幹線と組み合わせれば意外に早く着けますね。私も対馬を再訪する機会が作れたら東京から陸路で九州に向かいたいと思っています。
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