乗った後の景色

電車・気動車・バスに乗ることが好きな乗りマニアによる旅行雑ネタブログです。

田園都市のラウンドアバウト

2014-09-04 | イギリス
 今月日本にも「ラウンドアバウト」(環状交差点)ができたと聞きここを思い出しました。

 拡大します。ここが「イギリス初の」ラウンドアバウトというわけです。

 これがあるところにはこの電車に乗っていきます。

 というのはもちろんウソ(東急田園都市線)で、本当に乗っていったのはこっち、ボックスシートの160km/h出せる釣り掛け電車でした。

 イギリス初のラウンドアバウト最寄駅はロンドンのキングズクロス駅から55.7km先のレッチワースガーデンシティー駅です。レッチワースは1903年に建設が始まった世界初の田園都市(ガーデンシティ)で、その中にイギリス初のラウンドアバウトがあります。日本で田園都市と称された現東急目黒線の洗足や田園調布、田園都市線なんかを思い出すとレッチワースはロンドンからやや遠い感じがしますが、田園都市を考案しレッチワースを作ったエベネザー・ハワードによる田園都市は大都市に通勤するためのベッドタウンのことではなく、健康的な生活と産業のために設計された町、つまり職住近接が前提なのでロンドンから離れていていいわけです。また営利目的の分譲地でもありません。してみると日本でなんとなく路線名とかにまで使われている田園都市という言葉はレッチワースのようなガーデンシティーとは全然違う意味だと思っておいた方がよさそうです。ちなみに現在速達列車だとここからキングズクロス駅まで30分切るくらいなのでロンドン通勤もできます。(普通運賃は片道15.3ポンド・往復22ポンドとかなりのものですが。)


 これで終わっても何なのでレッチワースの画像をもう少し続けます。広いので町を見て歩いたり「First Garden City Heritage Museum」という資料館を見るだけでも結構時間を食いました。


 歩いて回ると結構大変で自転車でもあったらなあと思いつつ見物しました。


 整然とした町並である一方街路や住宅は様々で結構変化に富み、塀はなかったりあっても簡素なものや生垣なので全体に開放感があります。



 これは職住近接の職の方で、昔はコルセット工場だったのを多目的ビルに改装したそうです。


 というわけで2011年訪問時のちょっと古いものですがレッチワースガーデンシティの画像でした。
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ワイト島(2)内陸部のゴッズヒル

2011-12-22 | イギリス
 前回に引き続きイギリス南部の島、ワイト島の話です。
 今回はワイト島の中心ニューポート(Newport)という町から話を始めます。この町にあるバスターミナルは島内のほとんどの路線が集まる要所で、あまり広くはないものの2階建てバスが頻繁に出入りしていました。
(ワイト島の路線バス公式サイト)


 このターミナルで2系統のライド(Ryde)行きに乗ってゴッズヒル(Godshill)という集落に向かうことにします。ゴッズヒルを経由するライド行きのバスは2系統だけでなく3系統もありますが、2系統は途中狭隘区間を経由するためより楽しめました。


 15分ほど乗るとゴッズヒルに着きます。畑の中の小さな集落ですが観光客が多く来るようで買い物食事喫茶とお店が結構あって便利です。


 サイダー(Cider・リンゴ酒)の醸造所Godshill Ciderの売店もありました。


 茅葺屋根の脇から細い階段を登っていくと丘の上に諸聖徒教会(All Saints' Church)が鎮座まします。


 お墓に囲まれているので日本の田舎でお寺さんに上がって行く感覚と重なりました。


 上がったということは町を見下ろすことになり眺めは上々です。


 教会のすぐ下にはよく整備されたキレイな茅葺屋根の建物が並んでいますがあまり人の気配はありません。近づいてみると貸し別荘とあり納得。こういう趣のある建物を借りてのんびりするのも悪くないでしょうね。


 というところで2回続けたワイト島の話を終わりにします。古い電車が目的の日帰りだったので時間があまりなかったのですが、路線バスが利用しやすく、またどこもキレイに整備され気分よく過ごせそうな様子だったので次の機会があったら泊りがけにしたいと思いました。どこに行っても毎度そんな感想ばかりですけれども。
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ワイト島(1)海辺の町ヴェントナー

2011-12-21 | イギリス
 先月ロンドン地下鉄の中古電車に乗るためイギリスの南部のワイト島(Isle of Wight)に行きました。その際バスにも乗り少し島内をウロウロしたのでその話を2回に続けます。
 件の元ロンドン地下鉄はワイト島東部を南北に結ぶ路線です。イギリス本土との連絡船が発着する北端のライド(Ryde)で乗って南端のシャンクリン(Shanklin)駅で降りると駅舎はバス停にもなっています。ここで3系統のニューポート(Newport)行きに乗りました。イギリスらしいというのか大都市のバスではなくとも2階建てなのがうれしく、何とかと高いところは、の例え通り2階に上がって最前列に陣取ります。
(ワイト島の路線バス公式サイト)


 ワイト島には茅葺の屋根を持った建物が多く名物の一つになっていて、例えばシャンクリンにあるOld Villageという観光名所を通るとバスからよく見えました。


 20分ちょっと緑の多いのんびりした道を走ると海辺の斜面にくっついたヴェントナーという町に着きます。オフシーズンだからかも知れませんが落ち着いた静かな町の様子がよさげに見えたのでなんとなく降りてみました。(3系統は上り下り両方向ともこの画像の停留所で発着)ちなみにワイト島は離島ながらかつては鉄道が発達していてここヴェントナーにも2路線来ていたそうです。


 海を見下ろすと眺めがよく喫茶店も数軒あってぼんやり時間をつぶすには悪くなさそうな雰囲気でした。


 海辺に下りる道は庭園風に整備されていますが、降りた先は割とどうということもない感じの海岸で一応お土産や飲み物の売店や公衆便所があったりします。



 海沿いでは船溜りの上に突き出た魚屋さんとフィッシュアンドチップス屋さんの建物が目立っていました。(フィッシュアンドチップス店の営業時間は火~土12:00~15:00・16:30~19:30、日12:00~15:00、月休とのこと)海を見ながら食べるとオツかもしれません。


 ワイト島(2)に続きます。
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ダーウェント峡谷の工場群

2011-12-08 | イギリス
 前回のワークスワースから6.1系統のバスに乗って北に丘を越えるとダーウェント川(River Derwent)が流れるダーウェント峡谷に突き当たります。ここは18世紀後半にリチャード・アークライトが水力の紡績工場を複数建設し産業革命の先駆けとなった場所です。当時の工場は今も残り「ダーウェント峡谷の工場群」として世界遺産に登録されています。そのうち2ヶ所の工場を見物して来ました。

 最初に足を運んだのはダーウェント峡谷で最初に作られた水力紡績工場「クロムフォード・ミル(Cromford Mill)」です。(管理するArkwright Society公式サイト)1772年に操業を始めたここは紡績という枠の話にとどまらず現代につながる大規模な「工場」の始まりにもなった、というわけですが今はごく静かなところでした。
 ワークスワースからのバスが着く停留所から工場までは歩いて数分で着くのですが、敷地に沿って入口まで建物が高い壁のように続くためなんだか圧迫感がありました。この高い建物で囲まれている理由は機械化された工場なんかできたら職を失うからと暴徒と化してやって来る労働者を恐れたためだそうです。門には威嚇しもしものときには攻撃するため大砲まで備え付けられていたといいますから凄いものですが、合理化と雇用の減少という今も解決できない問題点がとっくからあって抵抗もあったとなると世の中進歩しているようで肝心のところにあまり進歩がないのはなんだかなあという気にさせられます。またこの工場ができた当初は子供と女性が労働者の中心で7歳の児童まで働いていたそうです。


 現代に話を戻します。入口につくと特に入場料というものはなく(ガイドツアーを利用する場合は要参加費)すぐ敷地内に入れ、中にはお土産や食べ物にお花屋さんと見学とか観光でない人も楽しめるような雰囲気でした。

 水路や動力に使われた水車の跡が残っています。水路にマスがゆったりと泳いでいるのを見ているとツワモノどもが夢の跡という感じです。


 さてクロムフォード・ミルからダーウェント川を1kmちょっと上流にさかのぼるとマッソン・ミル(Masson Mill・1783年開業)というやはりアークライトが作った紡績工場の跡が見えてきます。

 こちらは現在ショッピングセンターに生まれ変わっていてちょっと不思議な雰囲気です。

 このショッピングセンターとなったマッソン・ミルの一部は「労働繊維博物館」(公式サイト・要入場料)になっていて工場時代の歴史をうかがい知ることができます。


 マッソン・ミルでは水力の後蒸気機関が導入されたのでボイラーが残っていますが、水力時代水車を回すためダーウェント川から引いた水路もまたその姿を残しています。


 緑の中で穏やかに流れるダーウェント川や工場の水路を見ているとただの田舎の工場跡があるなあという感じで、こんなところが世界を大きく変え今に続く産業革命の始まりになったとはなんだかピンと来ませんでした。「ただの」と感じてしまうくらい工場というものが広がった結果現代があるのですから話が逆なのですけれども。


 という具合に2つの工場跡を見て世界遺産見物をおしまいにしました。マッソン・ミルからさらにダーウェント川を1kmほどさかのぼるとMatlock Bathという町があり鉄道の駅やロープウェイ(訪問時オフシーズンで休業中)もあってそこそこ賑わっています。この辺りは観光地として整備され鉄道やバスも割に便利なためクルマでない私でも歩きやすいところでした。
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ワークスワース Wirksworth

2011-12-06 | イギリス
 今回はイングランド中部、ダービーシャーに位置するワークスワース(Wirksworth)という町の話です。現在は静かな田舎町といった風情ながら、鉱山や採石場があり、また産業革命期には紡績工場も置かれたりと様々な産業が栄えた歴史を持っています。と言ってもそうした産業遺産の見物はここではしてはいないのですけれども。

 宿をワークスワースの南東にあるダービー(Derby)にとったのでまずは移動の話です。長距離・短距離のバスが集まるダービーのバスターミナルはダービー駅から歩いて10~15分ほどとやや離れています。ここでワークスワースを経てMatlock、Bakewell方面に向かう6.1系統というバスに乗りました。(前乗り前降りの運賃前払でレシート状の切符を発行。降車時の回収はせず。)

 所要時間は50分ほどと結構乗ります。運賃は3.5ポンド、訪問時1ポンド≒130円だったので高くは感じません。降りたのはワークスワースの町の中心、Wirksworth Market Placeバス停です。このバス停前から東へと町外れまで歩くと保存鉄道Ecclesbourne Valley Railway(イクリズボーン渓谷鉄道)のワークスワース駅がありますが、この鉄道の話はサイトのコンテンツ(こちら)をご覧ください。


 近くにヘリテージセンターというものがあるという看板があったので行ってみるとオフシーズンでお休みでした。そのまま丘を上がって行く道があったので見晴らしがよくなるかと進んでみたところ壁が高いので眺めは今ひとつです。


 町の目抜き通り(バス通り)に下りて南に進むと中世かららしいという建物の跡が残る壁があり、ビール醸造場とパン屋さんの看板が見えました。そういえば小腹が減ってきたかもと気づきます。


 まずパン屋さんの方へと看板に従って横道に入ると1890年創業をうたうその名もOLD BAKE HOUSEがありました。

 入ってみると先客がいて、さらに後からも人が次々に入ってきて、と結構賑わっています。あれこれとうまそうに並ぶのを前にどれにするか迷いつつパイとお菓子を買いました。


 「壁」に戻りベンチに腰かけ美味しくお腹をつくったら今度はビールが飲みたくなるところです。看板には4パイント入る容器がぶら下がっていて、容器つきなら9ポンド、容器を持って来て中身だけなら7ポンドとあり、見ているとその入れ物をぶら下げて買いに来るオジさんやおじいさんが出入りしています。

 1パイントは568mlですから旅行中に4パイント買っても後が大変です。入って聞いてみると一番小さいのが2パイントの紙パックだそうですが、それでも一度には飲めません。

 なので今飲みたいんだけど、と言うとじゃ好きなの飲んでって、と各種試飲させていただきました。どれも美味しかったのでこれなら持ち歩いて飲むのもいいなあと思ったくらいなのですが酒に弱く飲むと眠くなるので歩き回るときや乗り鉄のときは控えざるを得ません。

 タダで飲ませてもらったからというわけではありませんがこのビール醸造場「WIRKSWORTH BREWERY」の公式サイトを貼っておきます。サイトには営業時間が金11:00~17:00・土9:00~16:00とありますが訪問時は金・土共9:00~17:00でしたからどうも流動的のようです。

 少々気持ちよくなったところで見に行くとはバチ当たりのような気もしつつ、目抜き通りの東側にある聖メアリー教会を一回り見物したら上述の保存鉄道の発車時刻が近づいていたので駅に向かいました。


 というわけで食べて飲んだ話ばかりになってしまいましたが保存鉄道と併せて気持ちよく過ごせ良い印象です。
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